【裁判のお知らせ】著作者人格権等侵害行為差止等請求事件
11月26日(火)中目黒ビジネスコート 308号法廷 午後1時30分~
原告 被告に懲戒を申し立てた一般人 
被告 高野隆弁護士(第二東京)

訴    状

令和6年7月26日

東京地方裁判所民事部 御中

原告訴訟代理人弁護士  太 田 真 也

著作者人格権等侵害行為差止等請求事件

訴訟物の価額  金 310万円

貼用印紙額     2万1000円

当事者目録

原 告  被告に懲戒を申し立てた一般人 

〒101-0032 東京都千代田区岩本町三丁目11番8号イワモトチョービル2階ハローオフィス秋葉原225号室

神田のカメさん法律事務所(送達場所)

原告訴訟代理人弁護士   太 田 真 也

〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町2‐7 第6東ビル901

被 告   高 野  隆

第1 請求の趣旨

1 被告は、インターネット上の「刑事裁判を考える:高野隆@ブログ」

(URL http://blog.livedoor.jp/plltakano/archives/65954899.html)に掲載されている別紙掲載記事目録記載の掲載記事を削除せよ。

2 被告は、原告に対し、金150万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え

3 訴訟費用は、被告の負担とする

との判決並びに仮執行の宣言を求める。

第2 請求の原因

1 当事者

(1) 原告について

原告は、被告について、懲戒請求(第二東京弁護士会令和2年(コ)第1号)を申し立てた懲戒請求者である。

(2) 被告について

被告は、東京都千代田区で、「高野隆法律事務所」を経営している弁護士であり、「刑事裁判を考える:高野隆@ブログ」(以下、「本件ブログ」という)(URL http://blog.livedoor.jp/plltakano/)に記事を掲載している。

2 著作権及び著作者人格権侵害行為、並びにプライバシー権侵害行為

(1) 事案の概要

本件ブログ1の「懲戒請求に対する弁明書」(甲第1号証)という掲載記事において、原告作成の令和2年1月4日付懲戒請求書 (甲第2号証)が、原告の許諾なしに掲載され、原告の同意なしに公表及び公衆送信されている(甲第3号証)。

また、同記事(甲第1号証)において、懲戒請求者として、原告の実名や住所が、原告の同意なしに公開されている。

(2) 著作物性

原告作成の令和2年1月4日付懲戒請求書 (甲第2号証)は、被告について、原告が、第二東京弁護士会に懲戒請求を申し立てた際の、懲戒請求書である。

本件懲戒請求書は、被告の非違行為の事実をわかりやすく表現するために、主張の展開方法や表現方法について、工夫が凝らされており、原告の個性が強く現れているものであり、単に事実を羅列しただけのものや定型的なありふれた表現を用いたものではない。

したがって、本件懲戒請求書は、「思想又は感情を創作的に表現したもの」(著作権法第2条1項1号)といえるので、著作物といえると思料される(甲第4号証)。

(3) 著作権及び著作者人格権の侵害

上述のごとく、本件ブログでは、被告が掲載した記事において、原告作成の令和2年1月4日付懲戒請求書 (甲第2号証)が、原告の許諾なしに掲載され、原告の同意なしに公表及び公衆送信されている。

したがって、本件ブログの被告が掲載した記事により、原告の著作物に関する公衆送信権(著作権法第23条1項)及び公表権(著作権法第18条1項)が侵害されていることは明らかである。

(4) プライバシー権の侵害

また、本件ブログの「懲戒請求に対する弁明書」(甲第1号証)という掲載記事において、懲戒請求者として、原告の実名が、原告の同意なしに公開されている。

この点については、前訴らおいて、プライバシー権の侵害とならないという判断はなされているが(甲第6号証の1及び2)、上記のとおり、前訴における控訴審判決については、マスコミでも大きく報じられて、インターネット上においても、控訴審判決に関するニュース記事が検索順位の上位に表示されるようになっていることから (甲第7号証) 、現時点においては、懲戒請求者として、原告の実名や住所は、既に公開の必要のなくなった情報であるといえる。

したがって、現時点においても、同記事(甲第1号証)において、懲戒請求者として、原告の実名が、原告の同意なしに公開されていることは、原告のブライバシーを侵害するものといえる。

(5)  前訴における判断

原告は、被告に対し、著作権及び著作者人格権に基づく差止請求権(著作権法第112条1項)、ならびに人格権としてのプライバシー権に基づく差止請求権として、掲載記事削除請求権を有していると主張して、訴訟を提起したところ(東京地方裁判所令和2年(ワ)第4481号事件、知的財産高等裁判所令和3年 (ネ) 第10046号事件)、控訴審において、「原告の被告に対する公衆送信権及び公表権に基づく権利行使は権利濫用に当たり、許されないものと認めるのが相当である」との判断がなされた(甲第5号証の1及び2)。

(6) 年数の経過による権利濫用となる根拠事実(目的の正当性)の消滅

ア 前訴における控訴審判決については、マスコミでも大きく報じられて、インターネット上においても、控訴審判決に関するニュース記事が検索順位の上位に表示されるようになっている (甲第6号証)。

そのため、「懲戒請求に対する反論を公にし、懲戒請求に理由がないことを示すなどの手段により、弁護士としての信用や名誉の低下を防ぐ」という被告の目的はすでに達成されているといえる。

すると、現時点において、本件ブログの「懲戒請求に対する弁明書」(甲第1号証)という掲載記事において、原告作成の令和2年1月4日付懲戒請求書 (甲第2号証)が、原告の許諾なしに掲載され、原告の同意なしに公表及び公衆送信されていることにより(甲第3号証)、原告の著作物に関する公衆送信権(著作権法第23条1項)及び公表権(著作権法第18条1項)が侵害されていることは明らかであり、原告が著作権及び著作者人格権に基づく差止請求権(著作権法第112条1項)をすることも権利濫用とはならないといえる。

3 損害の発生

原告は、被告により、本来公表されていない著作物を許諾なしに本件ブログ1に掲載され、同意なしに公表及び公衆送信されたこと、および本件ブログにおいて、本来外部に漏れることがないはずであるのに、懲戒請求者として原告の氏名が公開され続けたことにより、現時点においても、原告の名前でインターネットを検索すると、本件ブログが検索順位の上位に表示される状況が続いており (甲第7号証の1及び2)、被告についての懲戒請求を申し立てた人物が、原告であるということが広く世間に周知されることとなり、多大な精神的苦痛を被った。

このような原告の精神的苦痛を慰謝するに足りる慰謝料の金額は、150万円をくだらない。

したがって、原告は、被告に対し、著作権及び著作者人格権、ならびにプライバシー権の侵害に対する損害賠償請求権(民法709条)に基づいて、150万円の損害賠償を請求する。

4 結論

よって、原告は、被告に対し、公衆送信権(著作権法第23条1項)及び公表権(著作権法第18条)の侵害に対する差止請求権(著作権法第112条1項)、ならびに人格権としてのプライバシー権に基づく差止請求権に基づき、本件ブログ1及び2に掲載されている別紙掲載記事目録記載の掲載記事を全て削除するとともに、上記侵害に対する損害賠償請求権に基づき、被告に対し、原告が被った損害金150万円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日から支払済みまで、年5分の割合による金員を支払うことを求めて、本訴訟に及んだ次第である。

 

証 拠 方 法

証拠説明書記載のとおり。

添 付 資 料

1 訴状副本         1通

2 甲各号証(写し)    各2通

3 証拠説明書        2通

4 訴訟委任状        1通

以上