お世話になっております。日本弁護士連合会でございます。2024年12月29日付けで「ご意見フォーム」からお問い合わせいただいた件については、いずれも回答いたしかねます。何卒ご了承ください。
2025年1月8日 日本弁護士連合会
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(浜田聡参議院議員が提出した質問状)
日本弁護士連合会会長 渕上玲子 様 令和6年12月27 日
質 問 状
2024年(令和6年)12月19日に「弁護士に対する業務妨害、特に離婚・男女問題に関する事件に係る業務妨害に関する会長声明」という表題で日本弁護士連合会会長 渕上玲子氏の声明がHP上に掲載されました。
この声明に対して以下質問します。
1 今回の声明では、「弁護士に対する業務妨害、特に離婚・男女問題に関する事件に係る業務妨害」とされています。その上で「近年は、離婚・男女問題に関る事件を扱 う弁護士や、共同親権等に関する法改正について情報発信を行っている弁護士に対して、各地で街宣活動を行い罵声を浴びせたり、SNS上で誹謗中傷したりするなどの 激しい妨害行為も数多く報告」と書かれ「このような被害は女性弁護士においてより一層深刻であることが確認された。そのこと自体がジェンダー差別の表れともいい得 るもの」とされています
質 問 1
① 声明内容から被害を訴えている弁護士の多くは共同親権に反対する女性弁護士と推測できますが、具体的には誰が被害を訴えましたか?
② 実態はどのような被害がありましたか?
③ 「被害は女性弁護士においてより一層深刻であることが確認された。そのこと自体がジェンダー差別の表れ」としていますが、この決めつけは如何ものかと思います。ジェンダー平等の観点からは女性弁護士がと女性に限定し、一層深刻と言うのはおかしいのではないでしょうか?
④ 何故女性弁護士の被害が一層深刻とされるのでしょう?同様な誹謗中傷やであれば 男性弁護士も同様な妨害者です。女性弁護士限定で一層深刻とされる理由はなんですか?
⑤ 弁護士業務妨害対策委員会が2022年度(令和4年度)に調査を実施し、2023年 (令和5年)9月に取りまとめた「離婚・男女関係事件に係る弁護士業務妨害アン ケート調査の集計結果」の公表を求めますが可能ですか?
公表できないのであれば、その理由は何ですか?
⑥ 声明文中に「共同親権等に関する法改正について情報発信を行っている弁護士に対して、各地で街宣活動を行い罵声を浴びせたり、SNS上で誹謗中傷したりする」とありますが、被害に遭っている弁護士は誰ですか?
⑦ SNSで匿名アカウントを使い投稿している弁護士も多数います。これら弁護士の投 稿に対しての批判も多数見受けられますが、日弁連として匿名アカウントへの批判も弁護士への業務妨害被害になると考えますか?
⑧ 匿名アカウントへの批判が業務妨害被害に当たるとするならば、その法的根拠は何 ですか?
質問 2
女性弁護士の匿名アカウントである弁護士アカウント小魚さかなこ(@KSakanako)の 2022年1月17日投稿が何度もXで引用され、SNS上で炎上して批判の的となっています。この批判となっている投稿内容「支援措置は、ありもしないDVを主張して受ける ことができます」の、「ありもしないDV」とは、一般社会通念的に「存在しなDV」 と読み取れ、存在しないDVの主張は虚偽DV主張と思慮しますが、虚偽DVを主張して支援措置を受ける事ができると公のSNSで公言する事は、端的に言えば「嘘をついて 支援措置を受けても良い」と読み取れます。この投稿について以下質問します。
⑨ 弁護士が「嘘をついて良い」と読み取れる投稿をX等の公SNSで投稿する事は不適切ではないですか?
⑩ 弁護士が虚偽DV主張を肯定していると取れる投稿をする事は、声明文中の「弁護士が「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」(弁護士法第1条第1項)」に 反してないですか?
⑪ もし反していないとするならば、その理由は何ですか?
⑫ 声明文では「市民の基本的人権の擁護と社会正義の実現に、全力を尽くす決意」として締めくくっています。小魚さかなこ(@KSakanako)は2022年12月14日に「西牟田さん、命拾いしましたね」という個人名を記載し、脅しととれる内容の投稿を ポストしてSNS上で炎上し、現在名誉毀損の訴訟になっています。
⑬ この様な訴訟になりかねない投稿を弁護士が匿名アカウントを使い安易に繰り返す 行為に対しての日弁連としての改善の決意、および具体的な対応をお聞かせくださ い。
質問3
「弁護士が「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」(弁護士法第1条第1項)」 についてお聞きします。
今回の声明は、弁護士に対しての批判の高まりに対して弁護士を擁護する偏った内容になっていると思慮します。
⑭ 弁護士業務妨害対策委員会が調査したとされていますが、弁護士を批判する側への 調査をしていますか?
⑮ 調査しているとするならば、その調査結果の公開を求めますが可能ですか?
⑯ 弁護士を批判する側の調査せず一方的に今回の声明を出しているすれば明らかに不平等です。裁判であれば被告の主張を聞かず審判したことになります。その場合今回の声明は法の下の平等に反していませんか?
⑰ 弁護士を批判する側の調査をしていないとすれば、今回の声明は調査が片手落ちで あり、弁護士会の考える「弁護士の正義」としか思えません。日本弁護士連合会の 考える「社会正義」とはなんですか?
以上17の質問に対して、2025年1月31日を期限にご回答願います。
(強調文字 下線は当会)
(日弁連がHPに公開した会長声明)
面会交流に関する事件やDV・ストーカー事件などを含む離婚・男女問題に関する事件は、当事者間の感情的な対立が激しい事件類型であり、敵対的な感情が相手方当事者の代理人である弁護士に対してそのまま向けられることが多い。2010年(平成22年)には、横浜及び秋田で弁護士が殺害されるという痛ましい事件が発生したが、これらの事件も、加害者は離婚関係事件の(元)相手方当事者であった。近年は、離婚・男女問題に関する事件を扱う弁護士や、共同親権等に関する法改正について情報発信を行っている弁護士に対して、各地で街宣活動を行い罵声を浴びせたり、SNS上で誹謗中傷したりするなどの激しい妨害行為も数多く報告されている。
弁護士に対するこれらの卑劣な業務妨害は、業務妨害罪(刑法第233条・第234条)、名誉毀損罪(同法第230条第1項)、脅迫罪(同法第222条)その他の犯罪に当たり得る行為であり、また、民事上も損害賠償責任を問われ得る行為であって、厳に許されない。
当連合会の弁護士業務妨害対策委員会が2022年度(令和4年度)に調査を実施し、2023年(令和5年)9月に取りまとめた「離婚・男女関係事件に係る弁護士業務妨害アンケート調査の集計結果」では、このような深刻な被害実態が多数報告され、如実に浮き彫りとなった。特に、このような被害は女性弁護士においてより一層深刻であることが確認された。そのこと自体がジェンダー差別の表れともいい得るものであり、このような観点からも到底看過することができない。
弁護士に対する業務妨害は、弁護士に対する攻撃であるとともに、その背後にいる市民に対する攻撃でもある。離婚・男女問題に関する事件を含め、受任する事件に係る業務妨害に対して何らの対応をしないままでは、相手方当事者からの激しい攻撃が予想される事案などを受任する弁護士が減りかねない。かかる卑劣な弁護士業務妨害は、個別の弁護士の問題にとどまらず、弁護士・弁護士会・当連合会が一体となって取り組むべき重要な問題である。このような業務妨害を無くさなければ、弁護士が「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」(弁護士法第1条第1項)ことが困難になり、結果的に、市民の権利擁護を果たせない事態が生じる。また、妨害行為により法改正に関する情報発信を萎縮するようになれば、弁護士が「法律制度の改善に努力」する(同法第1条第2項)ことも困難となり、市民の権利を守るための、より良い法制度の整備も滞りかねない。
当連合会は、1990年(平成2年)の第41回定期総会において「弁護士業務妨害に関する決議」を採択し、弁護士業務妨害に対して一致団結して闘う決意を表明し、以来、当連合会と全国52の弁護士会に順次、弁護士業務妨害対策委員会(あるいはそれに相当する組織)を設置して妨害を受けた弁護士に対する支援活動を行うなどし、積極的に弁護士業務妨害対策に取り組んできた。
当連合会は、弁護士業務妨害、特に離婚・男女問題に関する業務妨害について決して許さず、今後も毅然と対応していく。当連合会は、弁護士業務妨害対策委員会を通じて、妨害実態の調査・情報収集・分析、妨害行為の原因及び対策の研究、会員への情報共有及び妨害対策の周知・啓発、警察との連携強化等の活動をより一層徹底すると共に、妨害を受けた弁護士に対する各弁護士会の支援活動をサポートし、もって我々の使命である市民の基本的人権の擁護と社会正義の実現に、全力を尽くす決意であることをここに表明する。
2024年(令和6年)12月19日 日本弁護士連合会会長 渕上玲子