1 対象弁護士の氏名、住所
氏名 菅野 高雄(かんの たかお)登録番号 40580
事務所住所 宮城県登米市迫町佐沼字錦170 坂本貸事務所2階
3 懲戒委員会に審査請求をした理由の要旨
(1)対象弁護士は、2023年1月、A氏から法律相談を受け、同日、建物賃貸借契約及び建物売買契約解除等請求について簡易裁判所に調停を申し立てる事件としてこれを受任し、委任契約を取り交わし、着手金及び預り金を受領した。
A氏は、その後対象弁護士から連絡がないので、何度か電話をしたところ、対象弁護士は、来週は裁判所に行く予定である、来週は行くという話を繰り返し、また、A氏は、市民窓口でのアドバイスに基づいて対象弁護士を解任することとして、同年5月下旬ころに対象弁護士に電話をしたところ、対象弁護士は調停を申し立てたと述べたが、A氏が簡易裁判所に問い合わせの結果、この件に関する申立ては行われていないとの回答があり、A氏が対象弁護士にこのことを伝えた結果、対象弁護士は調停申立をしていなかった事実を認め謝罪した。
A氏は委任契約を解除し、その後別の弁護士に委任をした。本件事案につき、A氏において特別に事件進行を急ぐ意向を示したとまではいえないことを考慮しても、対象弁護士が、依頼を受けた2023年1月から1年4か月を経過しても調停申立てをしなかったことを正当化する理由はない。また、懲戒請求者からの催促に対して対象弁護士は調停を裁判所に申し立てたと虚偽の事実を述べ、後に懲戒請求者にこれが発覚し解任されるに至っている。さらに、対象弁護士は、2024年2月、本件と同様の業務遅延を理由に戒告の懲戒処分を受
けているにもかかわらず、その後も適正な職務遂行を怠っていることは重く受けとめざるを得ない。
(2)対象弁護士は、2023年5月、B氏及びC氏から自己破産申立事件を受任し、予納金としてそれぞれ150万円、合計300万円を自らの預り金口座への送金により受領したが、同年7月、同口座から300万0880円を委任事項以外の使途に用いた。対象弁護士は、2024年6月、私選受任した刑事事件のD氏から示談金として100万円を対象弁預り金口座への送金により受領した。この預り金100万円を預かる直前、預り金口座の残高は43万0557円であったが、その全額が預り金であった。
対象弁護士は、本件公表にかかる意見陳述の機会において、反省とともに、上記3(2)の事案については、自分から自主的に申告して弁済は済んでいると述記3(2)の事案については、自分から自主的に申告して弁済は済んでいると述べている。
5 その他
対象弁護士は、2024年2月、上記3(1)と同様の業務遅延を理由に戒告の懲戒処分を受けています。
なお、上記3(2)の事案は、2024年9月27日に当会が綱紀委員会に調査を求めたものとして懲戒手続公表に関する会規2条1項2号に基づき公表した
事案になります。
当会は、当会所属の菅野高雄会員(以下、「対象会員」といいます。)が、依頼者4名から預り金口座にて預かった金銭のうち、少なくとも4,419,863円を預った目的以外に使用するために出金した事実を把握しました。
かかる事実は、弁護士としての品位を失うべき非行に該当し、懲戒の事由があると思料されることから、当会は、令和6年9月26日開催の常議員会において、綱紀委員会に事案の調査を命じることを決定しました。
依頼者からお預かりした金銭を目的外で出金し使用することは、市民の皆さまからの弁護士に対する信頼を著しく失墜させるものであり、極めて深刻な事態であると受け止めています。
対象会員に対する綱紀委員会における事案の調査はこれから行われることになりますが、預かり金の目的外使用は重大な非行であり、対象会員が今後も市民の皆さまから依頼を受ける可能性も否定できないことから、被害拡大を防止するべく、当会会規に基づき事前公表を行うこととしました。
なお、対象会員と連絡がつかないなど、お困りの方がおられましたら、当会窓口(022-223-1001)までご連絡ください。
当会は、当会会員による非行に対して、毅然と対応し、市民の皆さまの信頼回復のために全力で取り組んでいく所存です。2024年(令和6年)9月27日 仙台弁護士会 会長 藤田祐子
2024年9月27日河北新報 (一部引用)
仙台弁護士会は27日、所属する菅野高雄弁護士(56)が、依頼者から預かった約440万円を流用した疑いがあると発表した。弁護士の品位を失う行為に当たるとして内部組織の綱紀委員会に調査を請求した
仙台弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士氏名 菅野高雄 登録番号 40580 事務所 宮城県登米市追町佐沼字錦170
菅野高雄法律事務所
2 懲戒の種別 戒告
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は、2021年9月ごろ、懲戒請求者から離婚及び婚姻費用分担請求事件を受任し、同月29日、法テラスより上記事件について調停申立てを前提とした援助開始決定が出されたところ、懲戒請求者から事件の進捗状況等の連絡が度々あったが不在等のためそれに対応できず、その後も折り返しの連絡をしなかったことが複数回あり、2022年8月頃、懲戒請求者の苦情申入れを受けた所属弁護士会市民窓口担当弁護士からの連絡を受け、懲戒請求者に連絡して事件が遅延していることについて謝罪した上で、すぐに調停申立てを行うので同年9月下旬から同年10月初旬に一度目の調停が行われる旨説明したにもかかわらず、その期間までに調停申立てを行わなかった。
被懲戒者の上記行為は弁護士職務基本規程第35条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4処分が効力を生じた日 2024年2月13日 2024年7月1日 日本弁護士連合会