弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2025年5月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・第一東京弁護士会・荒井祐樹弁護士の懲戒処分の要旨
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処分理由・非弁行為
報道がありました
弁護士以外が法律事務を扱う「非弁」行為をしたとして、第一東京弁護士会は17日、同会所属の荒井裕樹(ゆうき)弁護士(48)を業務停止3カ月の懲戒処分にしたと発表した。
荒井弁護士のサイトによると、青色発光ダイオード(LED)の発明対価として東京地裁が2004年に200億円の支払いを開発者の元勤務先に命じた訴訟(高裁で約8億4千万円の支払いで和解)など知的財産や税務の分野の著名事件に関わった。
同会によると、荒井弁護士は2013年10月、企業との契約先を、租税回避地である英領バージン諸島に自身が設けた会社にした。同社は弁護士法人ではないため、同会は、非弁行為にあたり租税回避が狙いだと判断。報酬額についても、顧客企業と事前に協議しなかったという。
荒井弁護士は同会に「非弁行為ではない」と反論したという。(一部引用)
第一東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士氏名 荒井祐樹
登録番号 28102
事務所 東京都港区南麻布5-2-32 興和広尾ビル2階
Weaith Management法律事務所
2 懲戒の種別 業務停止3月
3 処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は、懲戒請求者株式会社Aとの間で、懲戒請求者A社及びその関係会社等とB社及びその役員等との間の紛争に関して顧問弁護士として法的助言を提供する趣旨を含む委任契約を2012年11月17日付けで締結していたところ、懲戒請求者A社に対し上記委任契約の受任者たる契約主体を租税回避地であるイギリス領ヴァージン諸島法人として設立された被懲戒者が代表を務める弁護士法人ではないC社との契約へ変更するよう要請し、C社の代表者として2013年10月1日付けでC社を契約主体とする委任契約に切り替え、自己の名義を用いて従前と同様に業務提携をし、上記委任契約に基づく報酬をC社に取得させた。
また被懲戒者はC社の代表者として懲戒請求者A社との間で、2014年4月1日付けでDらの刑事責任追及に係る業務委託契約を締結し、いずれの際も被懲戒者自身としては懲戒請求者A社と新たな位に契約を締結することなく、被懲戒者が懲戒請求者A社の代理人弁護士となって刑事告訴等の手続を行い、上記両契約に基づく報酬をC社に取得させた。
さらに、被懲戒者は、C社の代表者として、懲戒請求者A社との間で、2014年12月1日付けで上記紛争に関しマカオで生じていた訴訟について法的助言の提供等の法律事務を含む業務を行う内容の委任契約を締結した上で、被懲戒者の名義で上記業務を提供し、上記委任契約をに基づく報酬をC社に取得させた。
₍2₎ 被懲戒者は2018年1月頃、上記(1)の2013年10月1日付け委任契約における成功報酬の基礎となる経済的利益の額について、懲戒請求者A社から示された解釈が被懲戒者の認識と合致していないことを認識しながら、これについて十分な説明を尽くさず、同年3月に和解契約により紛争が終結すると、懲戒請求者A社に対し経済的利益の額について説明することも、成功報酬額について事前の協議をすることもなく、懲戒請求者から控除対象であると解釈している旨を伝えらえた金額を何ら考慮せずにC社の代表者として報酬請求を行い、さらに被懲戒者が指定した支払期限までに支払がなされなかった後は株主代表訴訟が提起される可能性を示唆するなどしてC社の代表者としてその支払いを督促した。
(3)被懲戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規程第11条、第12条、第14条、第15条に違反し、上記(2)の行為は同規程第29条及び弁護士の報酬に関する規程第5条第1項に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4処分が効力を生じた日 2024年12月17日 2025年5月1日 日本弁護士連合会