弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2025年5月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・第一東京弁護士会・伊藤尚弁護士の懲戒処分変更の要旨
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業務停止2月⇒業務停止1月
いっそのことなら、処分取消にでもなれば良かったのですが、業務停止期間が過ぎて2月が1月になってもうれしくないですね、逆に2回も自由と正義に掲載されるのはどうでしょうか?原弁護士会の議決には誤りがあるというのであれば処分取消もあり得るが、反省が十分でないから業務停止1月。
もう少し反省すればです!!
第一東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士氏名 伊藤尚 登録番号 46882
事務所 東京都港区虎ノ門3-22-1 虎ノ門桜ビル301 奥川法律事務所
2 懲戒の種別 業務停止2月
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は、A会社を解雇されたBの依頼を受け、A社に対して解雇無効等確認請求の訴訟を提起したところ、2022年4月27日にBの同僚である懲戒請求者から電話で事情聴取をした際、無断で会話を録音し、懲戒請求者が会話内容をA社に知らされることを拒否していたにもかかわらす、録音の一部を反釈して懲戒請求者が上司を快く思っていないことがわかる部分を記載した報告書を作成し、同年12月20日、懲戒請求者に無断で証拠として裁判所に提出して懲戒請求者の秘密を漏洩した。被懲戒者の上記行為は弁護士法第23条に違反し、同第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4処分が効力を生じた日 2024年9月3日 2025年2月1日 日本弁護士連合会
第一東京弁護士会がなした2024年9月3日に告知した同会所属弁護士 伊藤尚 会員(登録番号46882)について同人から行政不服審査法の規定による審査請求ががあり、本会は2025年3月11日、弁護士法第59条の規定により、懲戒委員会の議決に基づいて裁決したので懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第3号の規定により公告する。
記
1 裁決の内容
(1)審査請求人に対する懲戒処分(業務停止2月)を変更する。
(2)審査請求人の業務を1月間停止する。
2 裁決の理由の要旨
(1)原弁護士会は、本件懲戒請求事件につき、審査請求人が懲戒請求者との通話を以下無断録音し、その録音された通話を記載した報告書を懲戒請求者に無断で裁判所に提出して懲戒請求者の秘密を漏洩した行為が弁護士法第23条及び弁護士職務基本規程第5条に違反するとして審査請求人を業務停止2月の処分にした。
(2)本会懲戒委員会が、審査請求人から新たに提出された証拠も含め審査した結果、弁護士職務基本規程第5条違反とされた通話の無断録音に関する原弁護士会の無断録音に関する原弁護士会懲戒委員会議決書(以下「原議決書」という。)の判断には誤りがあるので、改めて認定し、判断する。
原議決書は、会話の無断録音が適法なものとして許容されるためには、「公益を保護するため、あるいは著しく優越する正当利益を保護するためなどの特段の事情が存する」ことが必要であると判断するようであるが、弁護士の活動においては証拠の保全を目的として会話を録音することが弁護士として正当な業務行為に当たると解される場合が相当程度あることから、会話の録音の適法性の要件を原議決書のように限定的に解するのは妥当ではない。審査請求人が懲戒請求者との通話を録音した目的は、懲戒請求者の発言を保全するためなどであって不当なものではなく、さらに、録音に至る経緯についても不適法なところはない。
本件において審査請求人が弁護士倫理上非難されるのは、録音された通話を懲戒請求者の承諾なく報告書にまとめて裁判所に提出した行為であって、通話を録音した目的や経緯が不当・不適切なものではない限り、通話の録音が無断で行われたとしても、録音した行為自体を弁護士職務基本規程第5条に違反するとし、弁護士としての品位を失うべき非行に該当であると評価できない。
(3)そこで、以上述べた本会懲戒委員会の認定と判断に基づき、改めて審査請求人に対する懲戒処分について検討するに、前記のとおり、原弁護士会の判断にあることに加え、審査請求人には懲戒処分歴がないことも併せて考慮すれば、原弁護士会の付した業務停止2月の処分は重きに失するものであり、これを維持することは適当ではない。
しかしながら、審査請求人の行為は懲戒請求者の弁護士に対する信頼を損ねる重大な非行と解されること、反省の意も十分なものとは言えないこと等の事情に鑑みれば、業務停止1月に変更するのが相当である。
4処分が効力を生じた日 2025年3月18日 2025年5月1日 日本弁護士連合会