弁護士法人ソレイユ法律事務所の所属の西田佳香弁護士が「離婚に応じることが面会交流拡充の条件」と懲戒請求者(元父親)に述べたことは「子の福祉の観点から適切ではない」と東弁から指摘された、依頼人が弁護士を裏切ったというレアケース
懲戒請求の理由(要旨)
本件は依頼人である妻Aが懲戒請求者である夫と直接連絡を取り合い、子の面会も被調査人西田佳香弁護士に知らせず何度も実施していた。
妻Aは被調査人が懲戒請求者(夫)へ離婚協議再開を打診するメールの送信を希望し、その内容について、夫と打ち合わせをした。しかし被調査人から懲戒請求者(夫)に送られてきたメールは「離婚に応じることが面会拡充の条件」と打ち合わせと全く異なるメールが来たことから、被調査人は子の福祉を悪用し依頼人の意思に反した交渉を行っていたとして懲戒請求を申し立てた。
また、妻Aと妻Aの母親とのLINEのやりとりが監護権者指定の申立て時に証拠として提出された。しかし証拠提出されたLINE履歴のTEXTとスクリーンショットの内容が相反していた内容についても処分を求める理由に追加された。
時系列(懲戒請求者主張)
① 2020年10月 妻Aの不覚⇒懲戒請求者(父親)が子ども(長男B)を連れて家をでた。
② 2021年6月 監護権は妻A、不貞行為は関係せず、⇒子ども(長男B)を妻Aに引き渡す
③ 2021年8月 即時抗告を取下げ、自弁解任、被調査人と協議離婚を開始するが一時中断となる
④ 2021年10月 妻Aと父親はLINEや電話で直接連絡を取り合うようになり被調査人に内緒で当事者間で日程調整を実施し長男Bと何度も会った。
⑤ 2021年11月 妻Aより財産面の協議だけ被調査人と実施して確定してほしい。最終的に面会で折り合わないことにして被調査人との協議は破談させて成功報酬を発生させないようにしたい。財産面の条件はそのままでADRで離婚をさせようと提案を受ける
⑥2021年12月 当事者間は離婚に合意していることも面会交流が既に拡充されていることも知らない西田弁護士より「離婚に応じることが面会交流拡充の条件」という妻Aと父親で打ち合わせた内容と全く異なる内容のメールが届く
⑦ 2022年1月 相手弁(被調査人ソレイユ法律事務所)に知らせず「りむすび」のADRを開始
⑧ 2022年2月 被調査人ら知らせず週1回一泊二日の面会交流を約束した公正証書を作成し離婚に応じた。
⑨ 2022年7月 妻A(元妻)と長男Bが不倫相手と同居開始
⑩ 2022年12月 妻A(元妻)が不倫相手と再婚、長男Bを養子縁組とした。
懲戒請求申立日2024年2月13日
現状は元妻Aの代理人もかわり調停中審判中だとして子どもと会えていません
懲戒請求者 「離婚に応じることが、面会交流を拡充の条件」とメールを受け取った父親
(和6年東綱第50号)
被調査人 T100-0005 東京都千代田区丸の内2-2-1岸本ビルヂング4階
弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所
被調查人 西田佳香 (登録番号54336)
(令和6年東綱第51号)
被調查人 弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所
早瀨智洋 (登録番号42728)
(令和6年東綱第52号)
被調查人 弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所
中里妃沙子 (登録番号 24055)
当委員会第4部会は、 頭書事案について調査を終了したので、 審議の上、以下のとおり議決する。
被調査人らにつき、いずれも懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする。
第1 事案の概要
事実及び理由
被調査人らが、 依頼者の夫である懲戒請求者を相手方として申し立てた子の 引渡し審判申立事件において、偽造・改竄された証拠を提出したとして、 また、 面会交流についての交渉事件において、懲戒請求者が離婚に応ずることを面会 交流拡充の条件とするという不当な主張を依頼者の意向に反して行ったとして、懲戒請求された事案である
第2 前提事実
1 懲戒請求者と妻A(以下「妻A」という。) は、 平成28年2月21日に婚姻した夫婦であり、両者の間には、 平成29年4月10日に長男B (以下 「長男B」という。) が出生した。
2 懲戒請求者、 妻A及び長男Bは、 川崎市所在の懲戒請求者名義のマンション (以下「自宅マンション」という。)において同居していた。 自宅マンションの近くに、 妻Aの両親が居住している妻Aの実家がある。
懲戒請求者の実家は、 兵庫県にある。
3 令和2年10月✕日、 妻Aは懲戒請求者に対し、離婚することを申し入れた。 同月〇日以降、懲戒請求者の母は、懲戒請求者を手助けするために自宅マンションを訪れて滞在した。 同日夜、 妻Aは長男Bを置いて自宅マンションを出た。
同月12日、 妻A、妻Aの母及び懲戒請求者の母は、懲戒請求者と妻Aの離婚問題について話し合った。
同月17日、懲戒請求者は懲戒請求者の母とともに、 長男Bを懲戒請求者の実家に連れ帰った。
4 令和2年10月✕日頃、 妻Aは、被調査人らに対し、 離婚交渉事件及び子の引渡し審判申立事件等について、委任をした。
同年11月5日、妻Aは、被調査人らを手続代理人として、子の引渡し申立事件 (〇〇家庭裁判所令和2年(家) 第13✕✕号) (以下「本件審判申立事件」
という。)、子の監護者指定申立事件 (神戸家庭裁判所令和2年(家) 第135✕4号)(本件審判申立事件と併せて、以下「本件審判申立事件等」という。)を申立てた。
5 令和3年3月✕日頃、本件審判申立事件等の期日において、被調査人らは、 妻Aと妻Aの母のLINEトーク履歴 (以下「本件トーク履歴」という。)を 「甲 第25号証」 及び 「甲第33号証」 (いずれも本件審判申立事件等の証拠番号) として提出した (甲15、 甲2。 なお、以下、「甲第25号証」の本件トーク履 歴を 「本件トーク履歴1」、 「甲第33号証」の本件トーク履歴を 「本件トーク 履歴2」という。)。
懲戒請求者は、本件トーク履歴2の偽造・改竄を疑い、 同年4月21日付け 相手方主張書面 (3) (本件審判申立事件における懲戒請求者の主張書面)にて、 本件トーク履歴2のスクリーンショットの提出を求めた (甲3)。
同月28日頃、 期日において、 被調査人らは、本件トーク履歴2のスクリー ンショット(以下「本件白黒スクリーンショット」という。) を 「甲第45号証」 (本件審判申立事件等の証拠番号)として提出した (甲5)。
懲戒請求者は、同年5月7日付け相手方主張書面において、本件白黒スクリ ーンショットは、不鮮明かつ一部のみであったため、全対象期間をカラー印刷提出するよう求めた (甲6)。
その後の期日において、 被調査人らは、全対象期間についてのカラー印刷のスクリーンショット(以下「本件カラースクリーンショット」という。)を「甲 第46号証」(本件審判申立事件等の証拠番号)として提出した (甲7) (本件白黒スクリーンショットと本件カラースクリーンショットを併せて以下「本件スクリーンショット」という。)。
6 令和3年6月11日、 本件審判申立事件等について、 「未成年者の監護者を妻Aと定める。 懲戒請求者は、妻Aに対し 未成年者を引き渡せ。」との審判がなされた (乙3)。
同月25日までに、懲戒請求者は、上記審判について、 即時抗告を申し立て同月28日 懲戒請求者は、 妻Aに対し、 長男Bを引き渡した。
同年7月✕日、懲戒請求者は、長男Bと直接の面会交流を行った。
同年8月✕日付け 「ご連絡」と題する書面を被調査人らは、懲戒請求者の代理人弁護士に送付し、 その中で「令和3年7月✕日の面会交流においては、懲戒請求者の極めて不適切な言動により、 直接交流が長男Bの精神面に負担を与えていることが明らかになった。 漫然と直接交流を継続することは、長男Bの福祉に反する。
妻Aは、当面は月1回、1回あたり4時間の直接交流を行うことを提案してきたが、 7月✕日の直接交流の結果を受け、 上記提案は撤回する。
今後の直接交流の実施については、 7月✕日の直接交流で明らかになった問題点に関する改善方法とともに、懲戒請求者からの提案があれば検討する。間接交流については、懲戒請求者の) 提案どおり、ZOOM 交流を実施していく。」 旨を述べた (甲9)。
同年8月✕日、懲戒請求者は、即時抗告を取り下げた (乙4)。
7 令和3年9月27日、 被調査人西田佳香 (以下「被調査人西田」という。)は、懲戒請求者に対し、Eメールを送信し、 「懲戒請求者は、9月中の面会交流を要望されているが、 面会交流の実施条件の合意ができていない段階で、 実施日程だけを決めることはできない。」 旨を連絡した (甲10)。
8 その後、妻Aは、 被調査人らに秘して、 直接懲戒請求者と連絡を取り合い、妻Aが被調査人らに離婚条件を詰める作業をさせてから、解任し、 あとは、「りむすび」で離婚協議書を作ってもらうことについて相談した (甲11)。
9 令和3年12月✕日、 被調査人西田は、懲戒請求者に対し、懲戒請求者からの面会交流拡充の要求に対する応答のEメールを送信した (甲12)。
10 令和4年2月中旬、妻Aは、 被調査人らを解任した。
第3 懲戒請求事由の要旨
1 懲戒請求事由 1
被調査人らは、本件審判申立事件等において、 偽造・改竄した本件トーク履歴 (本件トーク履歴1を含む。)及び本件スクリーンショットを証拠として提出した。
.偽造 改竄された証拠を提出することは、 弁護士職務基本規程第14条及び第75条に違反し、 弁護士法第56条第1項に規定する非行である。
2 懲戒請求事由 2
懲戒請求者は、本件審判申立事件等にかかる審判審理手続において、書面にて被調査人らが提出した証拠 (本件トーク履歴及び本件スクリーンショット) の偽造・改竄箇所を明確に指摘していたところ、 被調査人らは偽造・改竄に気づいていたにも関わらず、 審理終結まで16日もの日数がありながら、 偽造・ 改竄された証拠の取下げをしなかった。 かかる行為は、 弁護士職務基本規程第74条及び第75条に違反し、非行である。
3 懲戒請求事由 3
被調査人らは、妻Aの代理人として、離婚に関し懲戒請求者と交渉した際、懲戒請求者と長男Bとの面会を 「子の福祉」と称して不当に制限した上で、依頼者である妻Aの意思に反する内容である離婚に応ずることが面会交流を拡充させるための条件である旨の不当な主張をした。
被調査人らは、依頼者との意思疎通を怠り、「子の福祉」 を悪用し、その意向に反した交渉を懲戒請求者に対し行った。 かかる行為は、 弁護士職務基本規程第5条、同規程第22条及び同規程第36条に違反する行為であり、 非行である。
第4 被調査人らの答弁及び反論の要旨
1 懲戒請求事由1について
(1) 妻Aが証拠 (本件トーク履歴及び本件スクリーンショット)を偽造・改竄した事実も、被調査人らが偽造・改竄した事実もいずれもない。
被調査人らは、依頼者より受領した本件スクリーンショットには何ら手を 加えることなく、証拠番号のみを付して、そのまま裁判所と懲戒請求者の代理人に提出した。
被調査人は、本件スクリーンショットを提出する必要性や提出時期については依頼者と十分に相談したものの、偽造や改竄について相談したことはない。
提出までのいかなる段階においても証拠の偽造や改竄に関与した事実はない。
(2) 裁判所は、妻Aに対し、 偽造や改竄に関する更なる説明や証拠の追加提出を求めることなく審理を終結した。 そして令和3年6月11日、 監護者を妻Aと定めるとともに、懲戒請求者に対し、妻Aに長男Bを引き渡すことを命 じる審判を下したが 同審判書きにおいて、 妻Aによる証拠の偽造・改竄については言及されてない。
懲戒請求者は、上記審判が不服であるとして〇〇高等裁判所に即時抗告を申立てたが、 同年8月✕日、 自らこれを取り下げ (乙4)、原審判が確定した。
以上からすれば、本件審判申立事件等において、依頼者が提出した証拠(本件トーク履歴及び本件スクリーンショット)の偽造・改竄の問題は、裁判手続において実質的に決着済みである。
2 懲戒請求事由2について
前項のとおりである。
3 懲戒請求事由3について
(1)懲戒請求者は、 令和3年7月✕日、長男Bと面会交流した際、 子の福祉の観点に照らして不適切な言動に及んだ。 そのため、妻Aは、かかる状況は改善する必要があると考えやむなく月1回、1回4時間という直接交流の実施提案を撤回した。
妻Aは、 以後、懲戒請求者と長男Bとの直接交流を一切遮断するつもりなど なく、 適切な条件下で、 直接交流を再開することを念頭においていたのであり、このことは、妻Aが懲戒請求者に改善を求め、それでも面会交流の実施 条件について合意が形成できない場合には、 面会交流調停を利用するという 意向を被調査人らを通じて懲戒請求者に対し示したことからも明らかである。 なお、妻Aは、 ZOOM 交流を継続する意志を懲戒請求者に対し伝えている(甲9)。
上記同年7月✕日の直接交流から約2ヶ月後の同年9月✕日、 妻Aは、 懲戒請求者に対し、面会交流の実施条件を明確に提示したうえで、月1回、1回あたり4時間の直接交流の再開を被調査人らを通じて打診した(甲10). したがって、 被調査人らが、懲戒請求者と長男Bの面会交流を不当に制限したことはない。
なお、被調査人らは、 妻Aによるこれら一連の判断を、 妻Aと十分に相談、打ち合わせのうえ、 代理人として、 妻Aの意向として懲戒請求者に伝えた。
(2) 被調査人らが離婚を面会交流拡充の条件にしたことはない。
懲戒請求者の面会交流の拡充の要求に対し、 妻Aは、懲戒請求者が離婚に応じないうちは、 面会交流の拡充に応じない旨、 被調査人らに主張していた。
これに対し、被調査人らは、 面会交流は子の権利であり、自身の離婚を実現させるために長男Bの面会交流の権利を犠牲にするかのような主張は控えるべきだと依頼者を窘めた(乙6)。
妻Aは、離婚して自身が親権者にならない限りは、 また懲戒請求者に長男Bを連れ去られるのでないか、 面会交流の拡充は連れ去りの危険を増大させるのでないかという不安を払拭できずにいた。
そこで、被調査人らは、背景にある、 妻Aの不安な心情を懲戒請求者に伝えるため、「妻A様としては、 面会交流を充実させるのであれば、大前提として長男Bくんを安心して面会交流に送り出せる環境を作り出すこと、 具体的には、懲戒請求者〇様に離婚に応じていただくことが必須であると考えております」 と記載したEメールを懲戒請求者に送った(甲12)。
このように、被調査人らは、 当該記載は、あくまでも依頼者本人の考えであることを明確に示している。 また、面会交流の拡充は離婚が前提であるとするのは、妻A本人の強い意向であり、被調査人らは、かかる妻Aの意向を事前に十分聴取の上、請求者に伝えた。
(3) 被調査人らは、 妻Aとメール、電話、面談等で緊密に連絡をとりあい、常にその意向の把握に努めてきたのであり(乙2の1ないし3) 妻Aとの意思疎通を怠った事実はない。
第5 証拠の標目
別紙証拠目録記載のとおり。
第6 当委員会第4部会の認定した事実及び判断
1 前提事実は、証拠により認められる。
2懲戒請求事由1について
本件審判申立事件等で証拠提出された本件トーク履歴及び本件スクリーンシ ョットが偽造・改竄された証拠であるという事実及び被調査人らが偽造・改竄に関与したという事実、 いずれの事実についても、認めるに足りる証拠はない。
したがって、 懲戒請求事由1は、認められない。
3懲戒請求事由2について
懲戒請求事由については、前項のとおりであるから、 被調査人らが、本件トーク履歴及び本件スクリーンショットが偽造 改竄されたものであることを認識していたと認めることはできず、証拠として提出した本件トーク履歴及び 本件スクリーンショットを被調査人らが取下げしなかったとしても、何ら非行にあたらない。
したがって、 懲戒請求事由2は、認められない。
4 懲戒請求事由3
(1)被調査人らが懲戒請求者と長男Bとの面会交流を不当に制限したという事実を認めるに足りる証拠はない。
むしろ、 証拠によれば、 被調査人らが懲戒請求者に対し、 令和3年8月✕日付け書面にて、懲戒請求者が同年7月2✕日に長男Bと面会交流した際、子の福祉の観点から不適切な言動に及んだことを理由にそれまで懲戒請求者に対して提示していた月1回、 1回4時間という直接交流の実施提案を撤回しているものの、併せて、懲戒請求者に改善を求め、それでも面会交流の実施条件について合意が形成できない場合には、面会交流調停を利用するという意向を示したこと (甲9)、 同年7月✕日の直接交流から約2ヶ月後の同年9月✕日、 被調査人西田は、懲戒請求者に対し、 面会交流の実施条件を明確に提示したうえで、 月1回、 1回あたり4時間の直接交流の再開を打 診したこと(甲10) が認められ したがって、被調査人らは、子の福祉を踏まえた上での面会交流に応じようとしていたといえる。
(2) 証拠によれば、 令和3年12月8日に被調査人西田が懲戒請求者に対し「妻A様としては、面会交流を充実させるのであれば、 大前提として長男Bくんを安心して面会交流に送り出せる環境を作り出すこと、 具体的には、懲戒請求者〇様に離婚に応じていただくことが必須であると考えております」とEメールにて述べたこと(甲12) 本件審判申立事件等の審判の後、 懲戒請求者が、面会交流の拡充を求めてくるようになったこと (甲9)、 懲戒請求者が離婚に 応じないうちは、 面会交流の拡充に応じない旨主張する妻Aに対し、被調査人西田は、 面会交流は子の権利であり、 自身の離婚を実現させるために長男Bの面会交流の権利を犠牲にするかのような主張は控えるべきである旨述べ て窘めていたこと (乙6) が認められる。
確かに、上記令和3年12月✕日のEメールにて、 それが、 妻Aの意向を 伝えただけであるとしても、被調査人西田は、懲戒請求者に対して「離婚に応ずることが面会交流を拡充させるための条件である」旨を提示したといえる。
しかし、離婚に応ずることを面会交流拡充の条件とするという主張は、子の福祉の観点から適切でないと言えるかもしれないが、このような主張をすること自体が違法であるとはいえないし、被調査人西田は、このような主張をすることは控えるべきである旨述べて妻Aを説得していたこと (乙6)、 それまでに、 被調査人らは懲戒請求者に対し、 子の福祉を踏まえた上での面会交流に応ずる旨の意向を示していたこと(甲10) から、 被調査人西田が懲戒請求者に対して、 「離婚に応ずることが面会交流を拡充させるための条件である」旨提示した行為が非行であるとまではいえない。
(3) また、 面会交流についての被調査人らの懲戒請求者に対する交渉にあたり、被調査人らが妻Aとの意思疎通を怠り、 妻Aの意向に反した交渉を行ったという事実を認めるに足りる証拠はない。むしろ、 被調査人らは、 妻Aと頻繁に連絡をとりあっていたという事実が認められる (乙2の1ないし3)
(4) 以上より、 懲戒請求事由3は、認められない。
よって、 主文のとおり議決する。
令和6年11月15日
東京弁護士会綱紀委員会第4部会 部会長 (記載省略)
東京弁護士会事務局長 望月 秀之
令和6年東綱第50~52号