高知の弁護士VS東京弁護士 双方懲戒請求申立し双方棄却『そんなら表で話しようかい!』と東京地裁に提訴!

高知弁護士会  横川英一弁護士 登録番号16073 横川法律事務所  

東京弁護士会  太田真也弁護士 登録番号37657 神田のカメさん法律事務所

◆時系列

①2023年(令和5年)3月8日 東弁弁護士 高知弁護士に懲戒請求(令和5年第1,2号)

②2023年(令和5年)6月30日 高知弁護士会綱紀委員会棄却

③2024年(令和6年)2月27日 日弁連異議申立棄却 

④2024年(令和6年)8月7日  綱紀審査申出 棄却 

⓹2024年(令和6年)12月18日 高知弁が東弁に懲戒請求申立(令和6年東綱406号)

⑥2025年(令和7年)4月21日 東弁 高知弁の懲戒を棄却 

⑦2025年(令和7年)5月19日 東弁弁護士 高知弁護士に不当懲戒だと懲戒請求

⑦2025年(令和7年)5月19日 東弁弁護士 東京地裁に提訴

ざくっというと

①太田真也弁護士が依頼先より受けた事件の処理に高知の弁護士がクレーム、

②太田弁護士が横川弁護士に懲戒請求申立、(棄却)すると、横川弁護士が太田弁護士に懲戒請求(棄却)

③太田弁護士が横川弁護士に懲戒請求2回目

2025年5月19日横川弁護士の懲戒請求は不当懲戒にあたると太田弁護士が東京地裁に横川弁護士を被告とする損害賠償請求を提訴(第1回 東京地裁 618号法廷 7月24日10時30分

ここで興味があるのは懲戒支給者の弁護士として懲戒書の書き方。高知、東京の弁護士会の議決書の書き方です。過去に双方の懲戒書、議決書を公開は初、なおファクタリングに関する懲戒請求は何件もありますが、全て棄却です。

 

①懲戒請求書 令和5年3月8日 東弁弁護士から高知弁護士への懲戒

懲戒請求者   神田カメさん法律事務所 

         田真也 

對象弁護士  横川法律事務所 

        横川 英一 (登録番号 16073

対象弁護士   横川誠二 (登録番号44771 

第1 懲戒請求の趣旨 

懲戒請求対象弁護士横川英一及び懲戒請求対象弁護士横川誠二令和21130通知(甲第1号証1) 及び令和312 5提案(1号証2)において法律専門ある弁護士 見解として実質貸金ある真実ファクタリング取引 評価できないなど原告会社A及び原告会社代表者B欺罔するよう主張あえて述べ述べ利息制限のみなら出資法違反いる可能あり 仮に出資法違反いる場合告訴検討ざるませ貸金違反及び出資取締違反より告発するなど刑事告訴するまで述べ原告会社及び原告 会社代表齋藤畏怖せるよう表現までいる。 

したがってこのよう懲戒請求対象弁護士横川英及び懲戒請求弁護士横川誠二行為原告会社A及び原告会社代表者Bして不法行為(民法709) 欺罔行為及び強迫行為あたるものとして不法行為 (民法709) 該当するものいえる。 

懲戒請求対象弁護士横川栄一及び懲戒請求対象弁護士横川誠二による これら不法行為弁護士561規定いる 品位うべき非行該当すること明らかあるもの思料れるのでみやか調査の適切懲戒処分なされるよう懲戒請求申し立てる

第2 懲戒請求の理由 

1 当事者 

株式会社A社(以下原告会社Aという)会社C(以下被告会社Cという)地方裁判3()3678損害賠償請求事件3()17062供託還付請求確認請求事件並びに高松高等裁判所5() 3債権差押命令に対する執行抗告事件 (原審 高知地方裁判所4() 425)当事者ある。 

懲戒請求対象弁護士横川栄一及び懲戒請求対象弁護士横川誠二事件において被告会社C代理人務め弁護士ある。 

2懲戒請求対象弁護士横川栄一及び懲戒請求対象弁護士横川誠二作成 通知内容 

懲戒請求対象弁護士横川栄一及び懲戒請求対象弁護士横川誠二21130通知(1号証1) において責社と被告会社C債権売買契約ないし債権譲渡契約締結ます実質貸金あること貴社十分承知こと存じます責社取引小職において調査です利息制限のみなら 出資法違反いる可能あり 仮に出資法違反いる場合刑事告訴検討ざるませ主張。 

また令和3125提案(1号証2)において「A社取引真実ファクタリング取引評価できない明言被告原告に対し不当廉価支払いのみするこ 解決する合意提示さらに以上解決できないときこれまで払金返還請求及び供託還付請求ITS属する訴訟するとともに貸金違反及び出資取締法違反により告発するこ するまで述べいる。 

懲戒請求対象弁護士横川及び懲戒請求対象弁護士横川誠二作成 準備書面内容 (主張変遷

ところが懲戒請求対象弁護士横川栄一及び懲戒請求対象弁護士横川誠二東京地方裁判所3()3678損害賠償請求事件 において提出令和3913「被告会社C1準備書面(2号証) では一転「A社取引真実債権売買 (債権)あること認める主張変遷。 

そしてその後懲戒請求対象弁護士横川栄一及び懲戒請求対象弁護横川誠二から実質貸金あっ真実ファクタリング 取引評価できないといった主張一切なさファクタリン取引あること前提主張しかなさなかっ。 

4 裁判所の判断の内容 

そして東京地方裁判所3()3678損害賠償請求及び令和3() 17062供託還付請求確認請求事件決 (3号証)において原告会社被告会社契約について 債権売買 (債権譲渡) あり ファクタリング取引性質を有するものある判断なさいる。 

懲戒請求対象弁護士横川栄一及び懲戒請求対象弁護士横川誠二不法行為について 

上記訴訟時点主張内容 (2号証)及び東京地方裁判所3(ワ) 3 6 7 8 損害賠償請求事件3()170 62供託還付請求確認請求事件判決内容 (3号証)照ら原告会社被告会社契約について債権売買 (債権譲渡) あること明らかある。 

そして 原告会社被告会社契約について債権売買 (債権 譲渡)であることに関して令和21130通知(1号証1) 送付時点令和3125提案(1号証2)送付時点において懲戒請求対象弁護士横川英及び懲戒請求対象 弁護士横川誠二にとって容易認識することでき事柄あるいえる。 

それかかわら懲戒請求対象弁護士横川英及び懲戒請求対象 弁護士横川誠二令和21130通知(1号証1) 及び令和3125提案(1号証2)において法律専門ある弁護士見解として実質貸金ある真実ファクタリング取引評価できないなど原告会社A及び原告会社 代表者B欺罔するよう主張あえて述べ利息制限のみなら出資法違反いる可能あり 仮に出資法違反ている場合刑事告訴検討ざるませ貸金違反出資取締違反により告発するなど刑事告訴するまで述べ原告会社及び原告会社代表齋藤畏怖せるよう表現まで。 

したがってこのよう懲戒請求対象弁護士横川英及び懲戒請求弁護士横川誠二行為原告会社A及び原告会社代表者B対するとして不法行為(民法709 欺罔行為及び強迫行為あたるものとして不法行為 (民法709) 該当するものいえる。 

結語 

よって懲戒請求対象弁護士横川及び懲戒請求対象弁護士横川によるこれら不法行為弁護士561規定いる品位失うべき非行」に該当することは明らかあるもの思料れる のですみやか調査適切懲戒処分なされるよう懲戒請求申し立てる 

以上

②議決書 令和5年(綱) 第1号 第2号  高知弁護士会(棄却)

懲戒請求者 神田カメさん法律事務所   太田真也 

対象弁護士 横川法律事務所  横川英一(登録番号16073

対象弁護士  横川法律事務所 横二 (登録番号44771

主 文 

対象弁護士につき, 懲戒委員事案審査求めないこと相当する。 

理 由 

第1 事案の概要 

本件前提なっ事件当事者,ファクタリング業務目的する株式 会社A社(以下,「A) 大工工事施工及び施工目的する株式会社C社 (以下, 「C社)ある。 

前提なる事件,AとC社, C 第三者に対する債権買い受ける債権譲渡契約締結また, C社上記債権回収業務する回収業務委託契約締結するなど,C第三者に対する売却及び当該債権回収業務受託繰り返さ, そのにA債務と C社回収金銭交付債務合意により順次相殺結果, C回収金銭交付債務債務ある主張,A社, C社に対し, 金銭請求行っものある対象弁護士事件において,C代理人務めその事件処理行っいたところ, 訴外交渉において, 作成書面,A及び同社代表(以下,「A) に対する欺罔行為, 行為にあたり, 弁護士561品位失うべき非行該当する, 懲戒申立なさ。 

なお懲戒請求,A及びCいずれ関係ない。 

第2 懲戒請求事由の要旨 

対象弁護士作成てAFAX送信令和21130日付 通知(11), 令和3125日付提案(102) において, 実質貸金ある真実ファクタリング取引評価できないなど, A欺罔するよう主張あえて述べ利息制限のみなら, 違反いる可能あり仮に出資法違反いる場合は, 刑事検討ざるませ貸金業法違反及び出資取締違反により告発など刑事告訴するまで述べ, シンキ畏怖するよう表現こと, シンキに対する欺罔行為及び強迫行為あたるものとして, 不法 行為該当することから, 対象弁護士当該行為弁護士561品位失うべき非行該当する」 

第3 対象弁護士らの弁明の要旨 

ファクタリング取引称する事実関係について, 実質貸金主張すること法的評価問題あっ, 欺罔行為などあたらないまた解決ため一定提示, 解決できないとき民事, 刑事手続とること予告ること通常弁護士業務範囲ある。 

第4 証拠関係 

別紙証拠目録記載とおり。 

第5 当委員会の認定した事実及び判断 

1 前提なる事実関係 ((1)~(3)事実認定について3

(1)A,ファクタリング業務目的する株式会社あり, C, 工事施工及び施工管理目的する株式会社ある。 

(2) ファクタリング, 売掛金債権買い取ることによって債権売主資金提供する業務いう。 

(3) AとC ,別表1~9日付ITSの第に対する金額記載債権金銭債権をA代金記載買い受ける債権譲渡契約(以下個別契約別表番号に従い 譲渡契約 1などという)を締結, また, C上記債権回収業務 受託する回収業務委託契約(以下,債権譲渡契約及び回収業務委託併せ譲渡回収契約などということある) 締結債権譲渡契約支払期限,別表9a日付(令和21029) 。 

A,Cに対し, 債権譲渡契約 1,2及び9代金として別表 1; 2 及び 9 a 支払金銭支払っ。C,A, 別表 1~7, 9日付の日交付金銭支払っ(4) 対象弁護士, 令和21130日C代理人として, 1号証1通知をA送付通知,上記譲渡回収契約について, 実質貸金ある真実ファクタリング取引評価できない, A行為について利息制限のみなら, 出資法違反いる可能あり, 仮に出資法違反いる場合, 刑事告訴検討ざるませ記載なさ。 

(5) 対象弁護士横川英一, 令和3125 , 1号証2提案をA送付提案,上記譲渡回収契約について, 真実ファクタリ ング取引評価できない実質貸金ある,C和解に対する期限同年128午後5までうえ以上解決できないとき これまで払金返還請求訴訟及び供託還付請求が C社属する訴訟するとともに, 貸金違反及び出資取締違反による告発すること記載なさ。 

(6) その後,A,令和39まで,Cに対し, 回収業務委託契約基づく残金 488 9377 及びその遅延損害支払い求め訴え提起 。 

(7) 対象弁護士,訴訟において,C 代理人として, 「A社取引 真実債権売買 (債権譲渡) あること認める(2) 主張するとも ,本件譲渡回収契約公序良俗反する主張(3)。 

(8) 訴訟について,令和41014, C,A社に対し4839377及びその遅延損害支払うよう命ずる判決なさ(3)

2 当委員会の判断 

(1) 甲1号証の1の記載について 

ファクタリング取引,債権売買 (債権譲渡) 契約あるものの経済付け同様機能有しいるもの貸金該当するおそれあるもの金融ファクタリング取引利用に関して注意喚起いるところ ある本件取引単純債権譲渡取引なく,上記事実関係もとで, 対象弁護士,本件譲渡回収契約についてその法的評価一つとして実質貸金ある主張すること, 正当弁護士活動範囲あるいえるこのこと訴訟においてファクタリング取引あること争わなかっ,それ以前交渉段階において実質貸金主張すること許さいとまいうことできないうえ対象弁護士訴訟において本件取引つい公序良俗違反ある主張行っいることからする, 対象弁護士 行為欺罔行為ということできない。 

また,利息制限のみなら, 出資法違反いる可能あり仮に出資法違反いる場合,刑事告訴検討ざるませ表現つい, 可能あり検討ざるませ比較的穏当表現であ , 前記のとおり, 実質貸金ある主張許容れるところ仮に本件 取引実質貸金評価れる場合,シンキ行為について出資法違反する可能あることから刑事手続とること考えられるため, 仮定法的手続き一つとして刑事告訴示唆すること,正当弁護士活動範囲 あっ, 強迫行為該当するものということできない。 

(2) 甲1号証の2の記載について 

1号証2記載うち, 本件譲渡回収契約について実質貸金ある 主張いることについて, 前記同様正当弁護士活動範囲であり欺罔行為ということできない。 

以上解決できないとき, これまで払金返還請求訴訟及び供託還付 請求ITS 属する訴訟するとともに, 貸金違反及び出資取締による告発することする記載, 和解できなけれ刑事告発する断定表現するものあっ, 穏当表現言い難いところあるものの前記とおり,仮に本件取引実質貸金評価れる場合,A行為について貸金業法及び出資取締(出資受入れ, 飛鳥利金及び金利締りに関する法律) 違反する可能あることから刑事手続とることえられる加え, Aファクタリング取引という特殊取引取り扱う業種あること, その後民事訴訟提起いること, 及びその他A及び 代表が実際畏怖事情見受けられないことなどからすれ,表現,正当弁護士活動範囲あっ強迫行為該当するものということできない。 

3 結論 

以上とおり, 懲戒請求主張する対象弁護士行為について, 欺罔及び強迫行為あたるものということでき, 対象弁護士品位失う非行あっいえない。 

2023(5) 630日 

高知弁護士綱紀委員会 委員長

③懲戒請求書 令和6年12月18日 高知の弁護士が東弁に申立てた懲戒

懲戒請求弁護士 英 一

懲戒請求弁護士横川英一(以下横川という) 下記懲戒対象弁護士太田(以下太田という)以下懲戒請求理由とおり懲戒事由ある考えるので太田に対し懲戒処分するよう請求する。 

               記 

事務所所在地: 〒101-0032 東京千代田岩本丁目118イワモトチョービル2225室 

事務所:神田カメさん法律事務所 

懲戒対象弁護士 : 太田真也 

第2、 懲戒請求の理由 

1太田横川作成株式会社A社 (以下A社とい ) に対する通知(11) 横川利息制限のみなら出資違反いる可能あり仮に出資法違反いる場合告訴検討ざるませ主張提案(12) 2貸金違反及び出資取締違反により告発することするまで述べ いるとして令和538高知弁護士に対し横川懲戒処分懲戒申立(2:懲戒請求)。 

2高知弁護士11について12について欺罔行為なく強迫行為なく正当弁護士活動範囲ある判断(3:懲戒請求事案決定について(通知)4: 議決)。 

3太田令和5913高知弁護士判断誤っいるとして弁護士連合に対し異議申出日弁連異議申し出棄却(5: 決定)。 

4太田上記3不服として令和648日弁連に対し綱紀審査申出日弁連綱紀審査申出棄却(6:決定)。 

1、 A社その代表あるB原告太田その代理人として横川2被告として、 A社34、B1100支払請求訴訟東京地方裁判所提起裁判所横川活動弁護士活動範囲行為として許される判断原告請求全て棄却なっ(7: 東京地裁判決)。 

2、 A社控訴控訴棄却なっ(8: 東京高裁判決)。 

3、 A社上告上告受理申立上告受理なかっ(9: 最高裁調書(決定))。 

上記とおり横川弁護活動正当ものあること弁護士とっ明白あるのに太田悪意を以て懲戒申立及び代理人として提起ものありこれら行為正当弁護士活動委縮かねないものあり弁護士として品位失うべき非行該る。 

④議決書 令和6年東綱第406号 高知の弁護士が出した懲戒の議決書東京弁護士会(棄却)

懲戒請求者 横川英一

調查人  田真也 

(登録番号37657) 

主 文 

調査につき、 懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする。 

第1 事案の概要 

事実及び理由 

被調査人が、高知弁護士会所属の弁護士である懲戒請求者に対して、不当な目的もと、懲戒立てをたなどとして、懲戒請求された事案である。 

第2 前提事実 

1 懲戒請求者、高知弁護士会所属の弁護士ある。 

2 株式会社A社(以下「A社」という。) 株式会社C社ー(以下「C社という。)は、令和2年2月19日から同年10月30日までの間に、別表の1~9項各号「日付」 記載の年月日に、A社がC社からC社第三者に金額」欄記載債権額を「代金」記載の代金で買い受ける債権譲渡契約(以下、個別債権譲渡契約を別表の項番号ごとに 「債権譲渡契約1」 などという。)を締結、C社がA社から各債権譲渡契約にづく債権の回収を受託する債権回収契約を締結した。 そして、 A社はC社に対し、 債権譲渡契約1 2及び9代金として別表1、2 及び9項各号の「支払額」欄記載の金額支払い、C社はA社対して、 別表 1 ~ 7,9各号「日付」欄の日に「交付額」欄記載の金銭を支払った(以下、 A社とC社との間で行わた取引を「本件取引」という。)。 

3 令和2年11月、 A社とC社の間で、本件取引は、いわゆるファクタリング契約ではなく、実質的に消費貸借契約ではないかという解釈を巡る紛争が生じた。 そして、 C社は、A社とそして、C社はの交渉を高知弁護士会に所属する弁護士である懲戒請求者及び横川誠二弁護(以下「懲戒請求者ら」という。)に委任した当時、A社代理人はD務めていた。 

4 令和2年11月30日、懲戒請求者らはA社に対して受通知書(以下「本件受任通知書」という。甲1の1) を送った。 懲戒請求者らは本件受任通知書ので、 本件取引に関して、「実質的には貸金であることは貴社も十分ご承知のことと存じますとか、「貴社との間の取引小職らおいて調査中ですが、 利息制限のみならず、 出資法にも違反している可能あり、仮に出資法違反している場合は、刑事告訴検討せざるを得ません。とか、「貴社との間で円満合意できる場合は、C社は刑事告訴まではしません。」と記載した(以下、これら記載を「本件記載1」という)。 

5 令和3年125日、懲戒請求らはA社に対して 「提案書」を送った(以下「本件提案書」という。 1の2)。 懲戒請求者らは、件提案書の中で、「そもそも、A社との取引真実ファクタリング取引とは 評価できない。」 とか、「(令和2年4月から10までの金銭の授受については) 

羞 

順次弁済受けているという貸金そのものである。」とか、「以上で解決できいときは、これまでの過払金返還請求及び供託金還付請求権がITSに属する 旨の訴訟をするとともに、 貸金業違反及び出資取締法違反により告発すること とする。」と記載した(以下、これら記載「本件記載2」という。)。 

6 被調査人が懲戒請求者らにつき懲戒を申し立てたこと 

(1) 令和5年3月8日、被調査人は、懲戒請求者らが本件記載1及び本件記載 2をたことは、シンキコーポレーションに対する欺罔行為や強迫行為(不 行為)あたり、ひいては、 弁護士の品位失うべき非行行為であると主 

張し、懲戒を申し立てた(以下「本件懲戒申立」という。)。 

懲戒請求者に関わる綱紀懲戒手続、令和5年 (綱) 第1号事件として、 

横川誠二弁護士に関わる綱紀懲戒手続は、 令和5年(網) 2号事件として 

高知弁護士会綱紀委員会にて調査れることとなった (甲3、 甲4 以下、 懲戒請求者に関わる綱紀懲戒手続「本件懲戒手続」という。)。 

(2)令和5年6月30日、 高知弁護士会綱紀委員会は、懲戒請求者らが、本件 

受任通知書などで、本件記載1及び本件記載2の記載ことは、正当弁護士活動の範囲内にあるとして、懲戒請求者らにつき、懲戒委員会に事案 の審査を求めないことを相当とするとの議決をした

(甲4、以下本件議決」 という)。 

(3)令和5年9月13日、 調査人は、本件議決を不服とし、日本弁護士連合 会(以下「日弁連」という)に異議申出をしたが (甲5)令和6年2月2 7日、日弁連は被調査人のした異議申出を棄却する決定をした。 

(4)令和6年4月8日、被調査人は、 日弁連決定を不服とし、日弁連の綱紀 審査会に綱紀審査申出をが、 同年8月7日、日弁連は調査人のした 綱紀審査の申出棄却する決定をした (甲6)。 

7 A社が懲戒請求者らを被告とする損害賠償請求訴訟を提起したこと 

(1)令和5年、A社その代表者代表取締役であるB (以下、Bこと単に「B」いい、A社とB合わせて「A社」という)は、原告として、 東京地方裁判所に、懲戒請求者被告し、損害賠償請求訴訟(和5年(第4145号、以下本件訴訟」という。)を提起した。 

本件訴訟における、Bの主張は、懲戒請求者らから本件記載1及び本件記載2のある本件受任通知書等を送りつけられたこと多大な精神的苦痛を受けたとし、懲戒請求らに対して、慰謝料金1000万円支払いを求めるというものであっ。また、本件訴訟におけるA社主張は、A社は本件通知書等への対応を弁護士に委任ざる得ず弁護士費用として金34万9265支出強いられいうものであった。 

(2)調査人は、本件訴訟においてA社らの訴訟代理人を務めた。 

(3)令和510月26日、東京地方裁判所は、本件訴訟について、 A社らの請求を棄却する判決下した(甲7)。 

(4) A社らは、同判決を不服とし、 東京高等裁判所控訴たが、令和6年4月18日、東京高等裁判所はA社控訴を棄却する判決を言い渡し。 控訴においても、被調査人はA社らの訴訟代理人を務めた。 

(5)A社は、控訴審判決を不服とし、 最高裁判所に上告及び上告受理申立てをした、令和612月5日、最高裁判所は、本件訟に関する上告棄却し、上告審として受理しない旨の決定をした(甲9)。 

被調査人は上告に際しA社らの訴訟代理人務めた。 

第3懲戒請求事由の要旨 

懲戒請求者ら、 C社の代理人として、 A社に対して、本件受任通知書等を送付した行為は正当な弁護活動である。被調査人が和5年に懲戒請求者らにした本件懲戒申立や本件訴訟の提起は、悪意に基づくものであり、手続の濫用である。 被調査人の行為は、正当な弁護士活動萎縮させかねないものであり、弁護士の品位を害する行為である。 

第4 被調査人の答弁及び反論の要旨 

本件懲戒申立には、事実上の根拠及び法律上の根拠があり、適法な懲戒申立てである。A社らの訴訟代理人として本件訴訟を提起したことにも違法性はない。 

第5 証拠の標目 

別紙証拠目録記載のとおり。 

第6 当委員会第4部会の認定した事実及び判断 

1 前提事実証拠により認められる。 

2 次に、被調査人が本件懲戒申立をしたことが弁護士の品位を失わせる非行といえるか検討する。 

(1)弁護士法第58条第1項は、何人も弁護士又は弁護士法人について懲戒事由があると思料するときは、その事由の説明添えて、その弁護士又は 弁護士法人の所属弁護士会にこれを懲戒すること求めることができる。』 と規定する。 

しかしながら、 他方、懲戒請求を受けた弁護士は、懲戒請求されたことに より、 その名誉信用等を不当に侵害されるおそれがあり、 また、綱紀懲戒手続において弁明を余儀なくされる負担を負うなどの不利益を受けること、 同項が、請求者に対し恣意な請求を許容したり、広く免責を与えたりする 趣旨の規定ないことは明らかであることからすると、同項に基づく請求を する者は、懲戒請求を受ける弁護士の利益が不当に侵害されることがないよ うに、当該弁護士に懲戒事由があることを事実上及び法律上裏付ける相当な 根拠について調査、検討をすべき義務を負うものというべきである。 

そして、同項に基づく懲戒請求事実上又は法律上の根拠欠く場合にお いて、請求者が、そのこと知りながら又は通常人であれ普通の注意を払 うことによりそのことを知り得たのに、あえて懲戒を請求するなど、懲戒請 求弁護士懲戒制度趣旨目的に照らし相当性を欠くと認められるときに は、違法な懲戒請求として不法行為を構成すると解されている(最判平成19年424)。 

さらに、 弁護士自らが、 他の弁護士について懲戒請求をする場合は、 自身が法律専門家である以上、 なおいっそうの慎重さを求められるいうべ きである(同判決の田原睦夫裁判官の補足意見)。 そして、自らがした懲戒求が事実上又は法律上の根拠を欠くことを、弁護士あれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに、あえて懲戒を請求したよう場合に、それは違法な懲戒請求であるとともに、 弁護士の品位を失うべき非行であるというべきである。 

(2)これを本件懲戒請求についてみると、本件記載1貴社との間の取引を小職らにおいて調査です、利息制限法のみならず、 出資法にも違反している可能性があり、仮に出資法に違反している場合は、刑事告訴検討せざるを得ません。」 などと、 A社とC社Sとの取引については、出資法に違反しているの法律解釈も可能であるとの見解を示したえで、違反している場合には、刑事告訴を検討せざるを得ない述べている 、過ぎず、懲戒請求者ら本件記載1することは正当な弁護活動の範囲といえ、弁護士の品位を失うべき非行とはいえない。 

従って、 弁護士が本件記載1のみを理由に懲戒請求をしたとするならば、軽率であるとの誹りは免れないというべきである。 しかし本件懲戒申立は、本件記載1のみでなく本件記載2をも理由としなされたものである。 そして、本件記載2は、本件記載1は異なり、A社とC社との取引が貸金業法及び出資取締違反いると断言しつつ、「解決できないとき、これまでの過払金返還請求及び供託金還付請求権がITSに属する旨の訴訟をするとともに、貸金業違反及び出資取締法違反により告発することする。」 という内容である。 

このよう内容の本件記載2について、それが正当な弁護活動の範囲にある行為といえるか強迫行為として不法行為を形成するか否かはさてき、諸般の事情を総合考慮した場合には弁護士の品位を失うべき非行評価 される余地が皆無とまではいえないところ、 被調査人が、本件記載1だけでなく本件記載2をも理由として懲戒請求をしたことは、直ちに、弁護士としての品位失うべき非行あるということはできない。 

3 次に、被調査人がA社らの訴訟代理人として、本件訴訟を提起したことが、 弁護士の品位失うべき非行といえるか検討する。 

弁護士が、 依頼を受けて、依頼者のために、 紛争解決の手段として訴訟等の 司法手続を利用した場合には、それが明白な訴権の濫用に該当する場合であるなど特段の事情がない限り、 非行である評価をすることはできないというべ きである。 

この点、被調査人は、 A社ら訴訟代理人として本件訟を提起している、 その過程において、それが明白訴権の濫用に該当する場合であるなどの特段の事情は認められない。 

よって、主文のとおり議決する。 

令和7年321日 

東京弁護士綱紀委員会第4部会会長 (記載省略

⓹懲戒請求書  令和7年5月19日 東弁⇒高知へ2回目の懲戒請求

高知弁護士会会長殿

懲戒請求者   神田のカメさん法律事務所
        太 田 真 也
対象弁護士   横川法律事務所
        横 川 英 一 (登録番号16073)

第1 懲戒請求の趣旨
横川法律事務所の横川英一弁護士(以下、「懲戒請求対象弁護士」という。)は、令和6年12月18日、「懲戒請求者が懲戒請求対象弁護士に対して懲戒請求をしたこと、および訴外A社らの訴訟代理人として訴訟を提起したことが、弁護士として品位を失うべき非行に該当する。」ことを理由として主張して、東京弁護士会に対し、懲戒請求者についての懲戒請求(以下、「本件懲戒請求」を申し立てた。
ところで、本件懲戒請求の懲戒請求書(甲第10号証)には、「弁護士による懲戒請求が『違法な懲戒請求として、弁護士の品位を失うべき非行に該当する』ことになる場合の基準も記載されていないことから、本件懲戒請求は、少なくとも「法律上の根拠を欠く場合」に該当する。
また、この弁護士による懲戒請求が「違法な懲戒請求として、弁護士の品位を失うべき非行に該当する」ことになる場合の基準については、弁護士であれば、当然に認識しているべき基準であるといえることから、懲戒請求対象弁護士は、本件懲戒請求について、法律上の根拠を欠くことを知りながら又は通常の弁護士であれば普通の注意を払うことにより、法律上の根拠を欠くことを知り得たのに、あえて懲戒を請求したものといえる。
よって、以上のことから、本件懲戒請求は、違法な懲戒請求であるとともに、弁護士の品位を失うべき非行(弁護士法56条1項)であるといえるものと思料されるので、すみやかに調査の上、適切な懲戒処分がなされるよう懲戒請求を申し立てる。
第2 懲戒請求の理由
1 懲戒請求者による懲戒請求対象弁護士に対する懲戒請求懲戒請求者は、懲戒請求対象弁護士が訴外A社(以下
、「訴外A社」という。)に送付した「受任通知書」(以下、「本件受任通知書」という。甲第1号証の1)、及び「提案書」(以下、「本件提案書」という。甲第1号証の2)の記載内容(以下、本件受任通知書の記載内容を「本件記載1」、本件提案書の記載内容を「本件記載2」という。)が、訴外A社に対する欺罔行為や強迫行為(不法行為)にあたり、ひいては、弁護士の品位を失うべき非行行為であると主張し、懲戒請求(高知弁護士会令和5年(綱)第2号 甲第2号証)を申し立てた (高知弁護士会令和5年(綱)第2号 甲第2号証)。この懲戒請求者が申し立てた懲戒請求については、令和5年7月3日に、高知弁護士会から「懲戒委員会に事案の調査を求めない」という決定がなされ(甲第3号証、甲第4号証)、その後、日本弁護士連合会に対する異議の申出(甲第5号証)、綱紀審査会への綱紀審査の申出(甲第6号証)のいずれも棄却された。
2 訴外A社らによる懲戒請求対象弁護士らに対する損害賠償請求訴訟の提起
令和5年、訴外A社とその代表者代表取締役である訴外Bは、訴訟代理人として懲戒請求者を選任し、東京地方裁判所に、懲戒請求者らを懲戒請求対象弁護士とする損害賠償請求訴訟(令和5年(ワ)第4145号損害賠償請求事件 甲第7号証)を提起した。
令和5年10月26日、東京地方裁判所は、上記訴訟について、訴外A社らの請求を棄却する判決を下したため(甲第7号証)、訴外A社らは、引き続き、懲戒請求者を訴訟代理人として、東京高等裁判所に控訴したが、控訴は棄却となり(甲第8号証)、その後、引き続き、懲戒請求者を訴訟代理人として、最高裁判所に上告及び上告受理申立をしたが、上告は棄却となり、上告審として受理しないとの決定がなされた(甲第9号証)。
3 懲戒請求対象弁護士による懲戒請求者に対する懲戒請求
 上記の懲戒請求及び訴訟の結果を受けて、懲戒請求対象弁護士は、令和6年12月18日、「懲戒請求者が懲戒請求対象弁護士に対して上記の懲戒請求をしたこと、および訴外A社らの訴訟代理人として上記の訴訟を提起したことが、弁護士として品位を失うべき非行に該当する。」ことを理由として主張して、東京弁護士会に対し、懲戒請求者についての懲戒請求(以下、「本件懲戒請求」を申し立てた(甲第10号証)。
 この本件懲戒請求について、東京弁護士会は、以下のように述べて、「懲戒委員会に事案の調査を求めない」という決定をした(甲第11号証)。
 すなわち、まず懲戒請求の申立について、「弁護士法第58条第1項は、『何人も弁護士又は弁護士法人について懲戒の事由があると思料するときは、その事由の説明を添えて、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会にこれを懲戒することを求めることができる。』と規定する。
 しかしながら、他方、懲戒請求を受けた弁護士は、懲戒請求されたことにより、その名誉、信用等を不当に侵害されるおそれがあり、また、綱紀懲戒手続において弁明を余儀なくされる負担を負うなどの不利益を受けること、同項が、請求者に対し恣意的な請求を許容したり、広く免責を与えたりする趣旨の規定でないことは明らかであ
ることからすると、同項に基づく請求をする者は、懲戒請求を受ける弁護士の利益が不等に侵害されることがないように、当該弁護士に懲戒事由があることを事実上及び法律上裏付ける相当な根拠について調査、検討をすべき義務を負うものというべきである。そして、同項に基づく懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠く場合において
、請求者が、そのことを知りながら又は通常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに、あえて懲戒を請求するなど、懲戒請求が弁護士懲戒請求の趣旨目的に照らし相当性を欠くと認められるときには、違法な懲戒請求として不法行為を構成すると解される(最判平成19年4月24日)。

さらに、弁護士自らが、他の弁護士について懲戒請求をする場合には、自身が法律の専門家である以上、なおいっ
そうの慎重さを求められるというべきである(同判決の田原睦夫裁判官の補足意見)。そして、自らがした懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠くことを、弁護士であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに、あえて懲戒を請求したような場合には、それは違法な懲戒請求であるとともに、弁護士の品位を失うべき非行で
あるというべきである。」と述べて、「被調査人が、本件記載1だけでなく本件記載2をも理由として懲戒請求をしたことは、直ちに、弁護士としての品位を失うべき非行であるということはできない。」と判断している。
 また、訴訟代理人としての訴訟の提起についても、「弁護士が、依頼を受けて、依頼者のために、紛争解決の手段として訴訟等の司法手続を利用した場合には、それが明白な訴権の濫用に該当する場合であるなど特段の事情がない限り、非行であると評価をすることはできないというべきである。」と述べて、「被調査人は、A社らの訴訟代理人として本件訴訟を提起しているが、その過程において、それが明白な訴権の濫用に該当する場合であるなどの特段の事情は認められない。」と判断している。
4 懲戒請求対象弁護士による懲戒請求者に対する本件懲戒請求が違法な懲戒請求となること
(1) 上記の東京弁護士会の議決書(甲第11号証)においても記載されているとおり、弁護士による懲戒請求が「違法な懲戒請求として、弁護士の品位を失うべき非行に該当する」ことになるのは、「自らがした懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠くことを、弁護士であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに、あえて
懲戒を請求したような場合」に限られる。 そして、この弁護士による懲戒請求が「違法な懲戒請求として、弁護士の品位を失うべき非行に該当する」ことになる場合の基準については、懲戒請求が不法行為となる場合についての基準を示した最判平成19年4月24日を敷衍したものであり、弁護士であれば、当然に認識しているべき基準であるといえる
(2) ところで、本件懲戒請求についての懲戒請求書(甲第10号証)を見ると、「懲戒請求者による懲戒請求対象弁護士に対する懲戒請求の経緯」と「訴外A社らによる懲戒請求対象弁護士らに対する損害賠償請求訴訟の経緯」の記載があるだけで、「弁護士による懲戒請求が『違法な懲戒請求として、弁護士の品位を失うべき非行に該当する』ことになる場合の基準も記載されてなければ、当然、その基準についての当てはめもなされておらず、単に、「懲戒請求者が懲戒請求対象弁護士に対して上記の懲戒請求をしたこと、および訴外A社らの訴訟代理人として上記の訴訟を提起したことが、弁護士として品位を失うべき非行に該当する。」との記載がなされているだけである。
(3) 上記の東京弁護士会の議決書(甲第11号証)においても記載されているとおり、「懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠く場合において、請求者が、そのことを知りながら又は通常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに、あえて懲戒を請求するなど、懲戒請求が弁護士懲戒請求の趣旨目的に照らし相当性を欠くと認められるときには、違法な懲戒請求として不法行為を構成すると解される(最判平成19年4月24日)」。
 そして、上記のとおり、本件懲戒請求の懲戒請求書(甲第10号証)には、「弁護士による懲戒請求が『違法な懲戒請求として、弁護士の品位を失うべき非行に該当する』ことになる場合の基準も記載されていないことから、本件懲戒請求は、少なくとも「法律上の根拠を欠く場合」に該当する。
また、この弁護士による懲戒請求が「違法な懲戒請求として、弁護士の品位を失うべき非行に該当する」ことになる場合の基準については、弁護士であれば、当然に認識しているべき基準であるといえることから、懲戒請求対象弁護士は、本件懲戒請求について、法律上の根拠を欠くことを知りながら又は通常の弁護士であれば普通の注意を払うことにより、法律上の根拠を欠くことを知り得たのに、あえて懲戒を請求したものといえる。
よって、以上のことから、本件懲戒請求は、違法な懲戒請求であるとともに、弁護士の品位を失うべき非行(弁護士法56条1項)であるといえるものと思料されるので、すみやかに調査の上、適切な懲戒処分がなされるよう懲戒請求を申し立てる。

訴 状

令和7年5月19日 東京地方裁判所民事部 御中

原 告  太 田 真 也

損害賠償請求事件
 訴訟物の価額     168万円         
 貼用印紙額     1万4000円

当事者目録
原告   神田のカメさん法律事務所
      太 田 真 也

被告 横川法律事務所
   横 川 英 一

第1 請求の趣旨
1 被告は、原告に対し、金168万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は、被告らの負担とする
 との判決並びに仮執行の宣言を求める。
第2 請求の原因
1 原告による被告に対する懲戒請求
原告は、被告が訴外株式会社A社(以下、「訴外A社」という。)に送付した「受任通知書」(以下、「本件受任通知書」という。甲第1号証の1)、及び「提案書」(以下、「本件提案書」という。甲第1号証の2)の記載内容(以下、本件受任通知書の記載内容を「本件記載1」、本件提案書の記載内容を「本件記載2」という。)が、訴外A社に対する欺罔行為や強迫行為(不法行為)にあたり、ひいては、弁護士の品位を失うべき非行行為であると主張し、懲戒請求(高知弁護士会令和5年(綱)第2号 甲第2号証)を申し立てた (高知弁護士会令和5年(綱)第2号 甲第2号証)。この原告が申し立てた懲戒請求については、令和5年7月3日に、高知弁護士会から「懲戒委員会に事案の調査を求めない」という決定がなされ(甲第3号証、甲第4号証)、その後、日本弁護士連合会に対する異議の申出(甲第5号証)、綱紀審査会への綱紀審査の申出(甲第6号証)のいずれも棄却された。
2 訴外A社らによる被告らに対する損害賠償請求訴訟の提起令和5年、訴外A社とその代表者代表取締役である訴外Bは、訴訟代理人として原告を選任し、東京地方裁判所に、懲戒請求者らを被告とする損害賠償請求訴訟(令和5年(ワ)第4145号損害賠償請求事件 甲第7号証)を提起した。
令和5年10月26日、東京地方裁判所は、上記訴訟について、訴外A社らの請求を棄却する判決を下したため(甲第7号証)、訴外A社らは、引き続き、原告を訴訟代理人として、東京高等裁判所に控訴したが、控訴は棄却となり(甲第8号証)、その後、引き続き、原告を訴訟代理人として、最高裁判所に上告及び上告受理申立をしたが、上告は棄却となり、上告審として受理しないとの決定がなされた(甲第9号証)。
3 被告による原告に対する懲戒請求
 上記の懲戒請求及び訴訟の結果を受けて、被告は、令和6年12月18日、「原告が被告に対して上記の懲戒請求をしたこと、および訴外A社らの訴訟代理人として上記の訴訟を提起したことが、弁護士として品位を失うべき非行に該当する。」ことを理由として主張して、東京弁護士会に対し、原告についての懲戒請求(以下、「本件懲戒請求」を申し立てた(甲第10号証)。
 この本件懲戒請求について、東京弁護士会は、以下のように述べて、「懲戒委員会に事案の調査を求めない」という決定をした(甲第11号証)。 すなわち、まず懲戒請求の申立について、「弁護士法第58条第1項は、『何人も、弁護士又は弁護士法人について懲戒の事由があると思料するときは、その事由の説明を添えて、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会にこれを懲戒することを求めることができる。』と規定する。
 しかしながら、他方、懲戒請求を受けた弁護士は、懲戒請求されたことにより、その名誉、信用等を不当に侵害されるおそれがあり、また、綱紀懲戒手続において弁明を余儀なくされる負担を負うなどの不利益を受けること、同項が、請求者に対し恣意的な請求を許容したり、広く免責を与えたりする趣旨の規定でないことは明らかであ
ることからすると、同項に基づく請求をする者は、懲戒請求を受ける弁護士の利益が不等に侵害されることがないように、当該弁護士に懲戒事由があることを事実上及び法律上裏付ける相当な根拠について調査、検討をすべき義務を負うものというべきである。そして、同項に基づく懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠く場合において
、請求者が、そのことを知りながら又は通常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに、あえて懲戒を請求するなど、懲戒請求が弁護士懲戒請求の趣旨目的に照らし相当性を欠くと認められるときには、違法な懲戒請求として不法行為を構成すると解される(最判平成19年4月24日)。さらに、弁護士自らが、他の
弁護士について懲戒請求をする場合には、自身が法律の専門家である以上、なおいっそうの慎重さを求められるというべきである(同判決の田原睦夫裁判官の補足意見)。
そして、自らがした懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠くことを、弁護士であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに、あえて懲戒を請求したような場合には、それは違法な懲戒請求であるとともに、弁護士の品位を失うべき非行であるというべきである。」と述べて、「被調査人が、本件記載1だけでなく本件記載
2をも理由として懲戒請求をしたことは、直ちに、弁護士としての品位を失うべき非行であるということはできない。」と判断している。
 また、訴訟代理人としての訴訟の提起についても、「弁護士が、依頼を受けて、依頼者のために、紛争解決の手段として訴訟等の司法手続を利用した場合には、それが明白な訴権の濫用に該当する場合であるなど特段の事情がない限り、非行であると評価をすることはできないというべきである。」と述べて、「被調査人は、疎外A社らの訴訟代理人として本件訴訟を提起しているが、その過程において、それが明白な訴権の濫用に該当する場合であるなどの特段の事情は認められない。」と判断している。
4 被告による原告に対する本件懲戒請求が不法行為(民法709条)となること(1) 上記の東京弁護士会の議決書(甲第11号証)においても記載されているとおり、弁護士による懲戒請求が「違法な懲戒請求として、弁護士の品位を失うべき非行に該当する」ことになるのは、「自らがした懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠くこ
とを、弁護士であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに、あえて懲戒を請求したような場合」に限られる。 そして、この弁護士による懲戒請求が「違法な懲戒請求として、弁護士の品位を失うべき非行に該当する」ことになる場合の基準については、懲戒請求が不法行為となる場合についての基準を示した最判平成19年4月24日を敷衍したものであり、弁護士であれば、当然に認識しているべき基準であるといえる

(2) ところで、本件懲戒請求についての懲戒請求書(甲第10号証)を見ると、「原告による被告に対する懲戒請求の経緯」と「訴外A社らによる被告らに対する損害賠償請求訴訟の経緯」の記載があるだけで、「弁護士による懲戒請求が『違法な懲戒請求として、弁護士の品位を失うべき非行に該当する』ことになる場合の基準も記載されてなければ、当然、その基準についての当てはめもなされておらず、単に、「原告が被告に対して上記の懲戒請求をしたこと、および訴外A社らの訴訟代理人として上記の訴訟を提起したことが、弁護士として品位を失うべき非行に該当する。」との記載がなされているだけである。
(3) 上記の東京弁護士会の議決書(甲第11号証)においても記載されているとおり、「懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠く場合において、請求者が、そのことを知りながら又は通常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに、あえて懲戒を請求するなど、懲戒請求が弁護士懲戒請求の趣旨目的に照らし相当性を欠くと認められるときには、違法な懲戒請求として不法行為を構成すると解される(最判平成19年4月24日)」。
 そして、上記のとおり、本件懲戒請求の懲戒請求書(甲第10号証)には、「弁護士による懲戒請求が『違法な懲戒請求として、弁護士の品位を失うべき非行に該当する』ことになる場合の基準も記載されていないことから、本件懲戒請求は、少なくとも「法律上の根拠を欠く場合」に該当する。
また、この弁護士による懲戒請求が「違法な懲戒請求として、弁護士の品位を失うべき非行に該当する」ことになる場合の基準については、弁護士であれば、当然に認識しているべき基準であるといえることから、被告は、本件懲戒請求について、法律上の根拠を欠くことを知りながら又は通常の弁護士であれば普通の注意を払うことにより、法律上の根拠を欠くことを知り得たのに、あえて懲戒を請求したものといえる、したがって、以上のことから、本件懲戒請求は、不法行為(民法709条)となるといえる。

4 被告の不法行為により、原告に発生した損害
(1) 原告は、被告による本件懲戒請求の申立てにより、綱紀委員会での審査手続において、答弁書(甲第12号証)を作成・提出して弁明することを余儀なくされた。 また、原告は、被告による本件懲戒請求により、名誉、信用等を不当に侵害されるおそれがあったため、名誉・信用等を回復するため、本件訴訟の提起をせざるを得なくなった。 ところで、原告は、事務所のホームページにおいて、タイムチャージの料金(4万円/1時間)を公に提示しており、タイムチャージにより書面を作成する場合については、訴状、答弁書、準備書面、証拠説明書その他の書面のいずれについても、1頁作成につき1時間とみなす旨も公表している(甲第13号証)。 したがって、本件懲戒請求の申立てにより、答弁書(甲第12号証)を作成・提出することを余儀なくされたこと、および名誉・信用等を回復するため、本件訴訟の提起をせざるを得なくなったことにより、原告に発生した実損害は、(懲戒請求答弁書5頁分+本件訴訟の訴状9頁分+本件訴訟の証拠説明書3頁分)×4万円=68万円となる
(2) 原告は、被告による本件懲戒請求の申立てにより、多大な精神的苦痛を被った。
原告が被った精神的苦痛を慰謝するに足りる慰謝料額としては、金100万円をくだらない。
5 結論
よって、原告は、民法709条の不法行為に基づく損害賠償請求権に基づいて、被告に対し、請求の趣旨記載の金員の支払いを求めて、本件訴訟を申し立てた次第である。