弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2025年10月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・福岡県弁護士会・塗木麻実弁護士の懲戒処分の要旨
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処分理由・遺産分割事件・不適切な事件処理
・現職の弁護士会副会長初の懲戒処分(業務停止)
・日弁連異議申立て事件
弁護士会副会長を業務停止 依頼者に虚偽報告、福岡
福岡県弁護士会が2023年9月26日付けでなし た被懲戒者を懲戒しない旨の決定について、懲 戒請求者から異議の申出があった。 本会は、上 記決定を取り消して、以下のとおり懲戒の処分 をしたので、懲戒処分の公告及び公表等に関す る規程第3条第6号の規定により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士 氏名 田中麻美
職務上の氏名 塗木麻美 登録番号 40538
事務所 福岡県福岡市中央区六本松 2-5-1 The Arbor Office609
りねん法律事務所
2 処分の内容 業務停止1月
3 処分の理由の要旨
(1) 被懲戒者は、 懲戒請求者から遺産分割調 停事件等を受任したところ、 処理を懈怠し、懲戒請求者側からの再三の問合せに対 し調停を申立て済みであると虚偽の回答をし、その後申し立てた調停事件についても、協議や報告を懈怠し、 審判書の送付を 遅延し、不服申立手続等の説明を怠ったと して懲戒請求がなされた事件である。
原弁護士会懲戒委員会は、被懲戒者が懲戒請求者に対し、 上記虚偽の回答をしたこ とはなく、 上記調停事件についても一定の 説明はなされており、 審判書の送付が遅れ たことには相応の理由があるなどと判断し、原弁護士会は、 対象弁護士を懲戒しな いこととした。
(2) 本会懲戒委員会は、審査の結果、以下のとおり、原議決書の認定及び判断を是認す ることができないとした。
(3) 懲戒請求者が新たに提出した被懲戒者とのやり取りを示す証拠によれば、被懲戒者は、遺産分割調停の申立てをしていないにもかかわらず、申立てをしたと報告し、その後も調停事件の係属を前提に裁判所からの問合せがあった旨を報告し期日指定の見通しを述べるなど虚偽の説明をしたものと言うほかない。
(4) 被懲戒者は、 その後、遺産分割調停の申立てをしたが、 事件が調停に代わる審判に 移行したところ、懲戒請求者に対し、 審判手続の説明やこれに対する懲戒請求者の意向の確認をしておらず、 また、 審判書を受領してから10か月間これを異議申出人に送付しなかった。
この点について、 原弁護士 会懲戒委員会は、当該審判書が結果的に無効であったので懲戒請求者に混乱が生じることなどを避けるためもあり、不交付には相応の理由があったとするが、被懲戒者は、 審判書が無効である理由を説明した上で、今後の方針を説明し、 協議をすれば足り、そもそも、 対象弁護士がこの時期に審判書の無効を認識していたとは認め難い。
(5) 被懲戒者は、その後、新たに有効な審判 書(以下「新審判書」という。) を得たが、 これを懲戒請求者に交付するに当たり、 異議の申立ての方法等について説明し、協議していない。 この点について、原弁護士会懲戒委員会は、懲戒請求者が被懲戒者に不満を伝えたことはないこと等を理由として 非行に当たらないと判断した。
しかし、 本件は、親族の関係が複雑で、 感情的な対立も顕著であり、しかも、本件懲戒請求事件の前に同じ相続事件に関して懲戒請求者の親族から被懲戒者に対して懲戒請求がなされた際、被懲戒者が謝罪し、以後速やかな事件処理並びに適切な報告及び協議を約したことから懲戒請求が取り下げられ、 原弁護士会綱紀委員会が懲戒委員会に事案の審 査を求めないことを相当とする旨議決している。 このような経緯に照らせば、 新審判書の内容について法的には争う余地がほぼないとしても、懲戒請求者の希望を尊重するためにも、十分な説明と協議が求められ ていたと言うべきである。
(6) したがって、被懲戒者の上記(3) の行為は 弁護士職務基本規程第5条に、 上記(4)及び (5)の行為は同規程第36条に違反し、被懲戒者が原弁護士会及び本会懲戒委員会において不合理な弁解を繰り返していること、被懲戒者は同じ相続事件について別件の懲戒請求を受けた際に速やかな事件処理並びに適切な報告及び協議を約したにもかかわらず本件に至ったことなどを考慮すると、被懲戒者を懲戒しないとした原弁護士会の決定を取消し、被懲戒者の業務を1月間停止することが相当である。
4処分が効力を生じた日 2025年8月25日 2025年10月1日 日本弁護士連合会
塗木麻実弁護士のりねん法律事務所は2025年7月に開設しました。
今回の懲戒処分が福岡県弁護士会綱紀委員会で棄却されたのが2023年9月26日 前の事務所に勤務した時に懲戒請求の申立てがあったことになります。塗木弁護士が弁護士登録をした最初の事務所は、「かばしま法律事務所」です。代表弁護士は平成21年(2009年)福岡県弁護士会副会長、この事務所で会務をし2018年に福弁業務事務局長に就任、そして2025年福弁副会長に就任しました。業務事務局長と副会長就任時の弁護士会長じは上田英友弁護士(40期)弁護士会長に2回就任するのも珍しいのですが、塗木弁護士は上田会長の時に福弁役員に抜擢されています。
2025年7月に独立ということは、日弁連で異議が認められると情報が入ったのでしょう。副会長の任期が切れる2026年3月末まで日弁連は待たなかった。
そうだ、弁護士さんに聞いてみよう 毎週火曜日8:35~福岡県弁護士会は「市民と共に」という目標をかかげ、福岡県内19か所に法律相談センターを開設しています。第29回:2013年2月26日放送分 テーマ「消費者問題~オンラインッゲーム~」ご出演:かばしま法律事務所 塗木麻美先生
