
東弁会報 LIBRA(リブラ) 東京弁護士会
https://www.toben.or.jp/know/iinkai/children/libra/
本会は下記会員に対して、 弁護士法第57条に定める懲戒処分 をしたので、お知らせします。
記
被懲戒者 加藤 茂樹 (登録番号32947)
登録上の事務所 東京都中野区本町2-46-4
中野坂上サンブライトアネックス404 アクシアム法律事務所
懲戒の種類 業務停止1月
効力の生じた日 2026年5月15日
懲戒理由の要旨
1 被懲戒者は、懲戒請求者Aに関する刑事事件の弁護人であ ったところ、刑事事件につき執行猶予付きの判決が出た後の 令和6年8月5日、 裁判所から保釈保証金180万円が返金されたため、懲戒請求者Aに対し、すぐに懲戒請求者Aが指定する預金口座に振り込む旨連絡したにもかかわらず、同年9 月24日に至るまで送金せず、かつ本件保釈保証金から懲戒請求者Aとの間で報酬金についての合意がないままその了解なく報酬金として30万円を控除した残額150万円を返金した ことは、弁護士法第56条第1項に定める品位を失うべき非行に当たる。
2 被懲戒者は、懲戒請求者Aから民事事件を受任して着手金を受領したにもかかわらず、当該委任契約に基づく活動をしたと は認められない。 これは、弁護士としての品位を失うべき非行 に当たる。
3 被懲戒者は、令和3年5月25日、 懲戒請求者Bの離婚した元妻のもとで生活していた長女の扶養等に関する件について、 「受任範囲」を交渉及び関係機関への相談、 申立て「着手金」を50万円(消費税込) 等とする委任契約を締結し、 同日着手金50万円を懲戒請求者Bから受領し、さらに令和4年5月24日には長女の件の 「活動費用 (日当 実費等)」との但書きのある領収書を交付して3万円及び5万円を受領したにもかかわらず、令和3年6月5日に懲戒請求者Bの元妻と面談しただけで、定期的に面談等をする方針を懲戒請求者に伝えながら、その後一度も元妻らと面談することなく、 また、上記活動費用を受領しながら長女と面談するなどの活動をしなかったことは、弁護士としての品位を失うべき非行に当たる。
4 被懲戒者は、 令和3年9月、懲戒請求者Bが勤務先から退職勧奨されたと受け止めていた件について、 「受任範囲」を交渉 及び労働審判、 「着手金」 を交渉時10万円 (消費税込)、 労働審判申立時10万円 (消費税込) 等とする委任契約を締結し、 同契約に基づく着手金20万円を同月25日までに受領し、懲戒請求者Bが勤務先より令和4年5月10日をもって契約期間 満了による雇止めをされたことから、同月13日労働審判を申し立て、その後労働審判の棄却決定に対し異議申立てを行って通常訴訟に移行し、令和5年5月17日に勤務先との雇用契約が令和4年5月10日の経過をもって期間満了により終了したこと等を確認する旨の訴訟上の和解を成立させた。 しかし、被懲戒者が、その後懲戒請求者Bからの離職票の交付要求等の依頼事項に対し十分に対応したとは認められず、 対応状況等について懲戒請求者Bに適切な報告等もしなかったこと、和解調書についても、 和解成立から懲戒請求者への調書原本の送付まで漫然と約2か月を経過させた上、 その間の懲戒請求者Bからの度重なる問い合わせ等に対して十分に対応していたとも認められないことは、 弁護士としての品位を失うべき非行に当たる。
5 被懲戒者は、懲戒請求者Cが、借地に関わる既払更新料との差額更新料等の支払と令和2年6月16日以降の賃料の確認を求めて地主から提起された訴訟につき、懲戒請求者Cから 委任をうけて応訴したが、 令和5年1月11日、 地主の主張を全面的に認容する判決が言い渡された。 判決後、 被懲戒者は、懲戒請求者Cから賃貸借契約更新後の契約書作成に関する交渉を依頼され、地主と交渉し交渉の進捗状況について懲戒請求者Cに報告すべき義務があったにもかかわらず、これを怠り、 報告を求める懲戒請求者Cからの度重なる連絡に対しても何ら応答することなく無視し続けていたことは、 弁護士としての品位を失うべき非行に当たる。
6 いずれの懲戒請求事案においても、 被懲戒者は 各懲戒請求者からのさほど対応が困難でもない要望や要請について対応が遅く、何らの対応もしないまま放置したものも見られ、 弁護士に対する市民の信頼を著しく損なうものと評価せざるを得 ない。
また、被懲戒者は、2件の懲戒請求事案について綱紀委員会の調査期日に出頭せず、 資料の提出要請や調査事項照会にも応じなかったばかりか、懲戒委員会が提出を要請し被懲戒者が提出を約束した資料も提出しておらず、本件各事案における自身の対応についての反省の情が希薄であると言わざるを 得ない。
2026年5月22日 東京弁護士会会長 石原 修
