【月報司法書士】7月号 懲戒処分書 成年後見人司法書士の処分 

弁護士の「自由と正義」と同じように、司法書士も懲戒処分が掲載される月刊誌があります。「月報司法書士」に掲載された成年後見人司法書士の処分のみ公開しています。

懲戒処分書 

事務所 福岡市南区高宮一丁目9番18号サンシャイン高宮203

司法書士 小村 敬太 

上記の者に対し、次のとおり処分する。

主 文 

令和8年4月27日から6か月の業務の停止に処する。 

 

第1 事案の概要 

本件は、家庭裁判所から成年後見人に選任された司法書士小材敬太 (以下「被処分者」という。)が、 成年被後見人名義の銀行口座から預金を払い戻し、自己用途に費消する目的流用したとして 福岡県司法書士会から司法書士法(昭和25年法律第197号) 第60条に基づく報告がされた事案である。

第2 認定事実 

以下の事実が、福岡県司法書士会の調査結果報告及び福岡法務局における調査結果その他一件記録から認められる。 

1 被処分者は、平成28年11月1日、 司法書士となる資格を取得し、平成294月6日付け登 錄番号福岡第○号をもって司法書士の登録を受け同日福岡県司法書士会に入会し、同年 9月1日、簡裁訴訟代理等関係業務を行う法務大臣の認定を受け司法書士業務従事していたが、令和6年4月〇日、福岡県司法書士会会則第14条によりみなし退会となった者であり、 これまでに懲戒処分歴はない。 

2 被処分者は、平成30年、Aの成年後見人に選任さ(〇家庭裁判所平成30年(〇)第○号)、 Aの財産管理業務に従事していたが、 令和4年10月〇日から令和5年10月〇日までの間、 計13回にわたり、事務所運転資金や生活費に充てることを目的として、Aの預金合計 162万2333円を出金し、これを横領した。 

3 令和5年10月頃に、被処分者が受任している成年後見事件について公益社団法人成年後見 センター・リーガルサポート福岡支部による特定原本確認行われ、被処分者がAの財産を 横領した事実が発覚した。 

その後、処分者は、令和6年4月までに、 A又は新たにその成年被後見人選任された 者に対し上記の横領額全額を分割して返済した。 

第3 処分の量定 

1 上記2の2のとおり処分者は、受任していた成年後見業務について、自己の用途に 費消する目的で、被後見人の口座から複数回にわたり現金を引き出し私的に流用したことが明らかである。

この行為は刑法 (明治40年法律第45号) 第253条 (業務上横領)の規定に該 当する行為であり、 また、司法書士第2条 (職責) 及び第23(会則の遵守義務) 並びに 福岡県司法書士会則第79条 (品位の保持等) 及び第98条(会則等の遵守義務) に違反する。

この違反行為は、司法書士及び司法書士法人に対する懲戒処分の考え方(処分基準)別表番号2」業務上横領に該当し一般的な量定として「2年以内の業務の停止又は業務の禁止」 相当とされている。 

2 本件は横領行為が複数回にわたり、その横領額の総額が162万2333円と高額である点で、 その行為の態様は悪質である、また動機も事務所運転資金や生活費に充てることを目的としたもので酌量の余地はない。

3 他方で、 被処分者は事後的に全額の被害弁償行っており、 また、これまでに懲戒処分歴ないなど被処分者にとって斟酌すべき事情も認められる。 

 4 よって、これら一切の事情を考慮し、司法書士法第47条第2号の規定により、被処分者を主文のとおり処分する。

令和8年47日  法務大臣 平口 洋