弁護士自治を考える会
弁護士非行懲戒専門ブログです
日弁連広報誌「自由と正義」2010年5月号、公告として掲載された弁護士の懲戒処分の要旨オウム事件松本死刑囚の弁護人をつとめた二人の懲戒処分の採決が掲載されました主任弁護人の松下明夫弁護士 登録番号22933 戒告の懲戒処分の不服申し立ては(審査請求)棄却して戒告のままの処分
同じくオウム事件の弁護人 松井武弁護士は(第二東京)
業務停止1月から戒告への処分変更の公告が掲載されました
主任が戒告で私選弁護人が業務停止1月はおかしいと日弁連は低い方にあわせて二人を戒告処分しました(一人はもともと戒告)
懲 戒 処 分 の 公 告
採 決 の 公 告(処分変更)
第二東京弁護士会が2009年7月30日に告知した同会所属弁護士松井武会員に(登録番号23111)対する懲戒処分(業務停止1月)について同人から行政不服審査法の規定による審査請求があり本会は2010年3月9日弁護士法第59条の規定により懲戒委員会の議決に基づいて以下の通り採決したので懲戒処分の公告及び公表の規定に関する規定第3条第3号の規定により公告する
記
1 採決の内容
(1)審査請求人に対する懲戒処分(業務停止1月)を変更する
(2)審査請求人を戒告する。
2 採決の理由の要旨
(1)審査請求人はAとともに、被告人Bに係る殺人等被告事件控訴審の私選弁護人であった(主任弁護人はA)が控訴趣意書を提出期限までに提出しなかったため控訴棄却がなされ結果として控訴審における被告人の実質審理を受ける機会を失わせ被告人に係る第1審の死刑判決が確定することとなったから原弁護士会は審査請求人を業務停止1月の処分にした
(2)審査請求人及びA(2名を合わせて「審査請求人ら」という)被告人の利益を最大限に図るためにあえて控訴趣意書の不提出を選択したものであり単に控訴期限を失念した場合と同列に扱えず弁護活動の適否の問題とはなっても品位の問題とはなり得ないと主張するしかし審査請求人らの上記選択は被告人の利益を図る目的のためといえ控訴趣意書の差出期間を長期にわたって徒過したと判断せざるを得ず、その結果死刑という重大な判決を確定させてしまい、被告人の控訴審における裁判を受ける権利を失わさせたものと評価せざるを得ないまた弁護士職務基本規定第46条には弁護士が「最善の
弁護活動に努める」旨が規定されているところ「最善の」弁護活動とは「主観的に最善」と判断するもではなく、他の弁護士からみても「客観的に最善」と認められるものと解され、本件の控訴趣意書不提出が死刑判決確定という重大な結果を招いたことから判断すると「主観的最善」に著しく偏したものと言わざるを得ない
(3)もっとも審査請求人らの弁護活動を全体に見ると刑事弁護人として主観的には「真摯な活動」をしていたものであることは理解できるからその点を斟酌することができる
(4) 主任弁護士はAとなっているが、本件刑事弁護人としての役割、仕事の分担及び活動について審査請求人とAとの間に軽重の差はないことが認定でき上記(2)及び(3)を踏まえ審査請求人に対する懲戒処分としてはAと同じく戒告とする
3 採決が効力を生じた年月日 2010年3月17日 2010年5月1日 日本弁護士連合会