福岡県弁護士会綱紀委員でもあった島内正人弁護士の手口について地元の西日本新聞が
7日の朝刊で詳しく書いています(赤字は私)
島内容疑者は2010年、北九州市の女性の成年後見人である女性の弟を監督・指導する「成年後見監督人」に就き、今年9月、弟に女性の口座から自分名義の口座へ現金1800万円を振り込ませ、だまし取った疑いが持たれている。
本人は容疑を認めており、その際、女性の弟に説明したのが「裁判所の指示でNPOにすべてお金を預け替えることになった」といううそだったという。
事件は、弟が福岡家裁小倉支部に問い合わせて発覚した。
島内容疑者は県弁護士会の調査に対して、同様の手口で合計約4400万円を振り込ませ、事務所経費や生活費に使ったと話している。
本人は弁護士業務の不振を動機の一つに挙げたというが、あまりに手前勝手な犯行であり、弁解の余地はない。警察は余罪も含め徹底的に調べてもらいたい。
一般人に増して重い社会的責任を負う弁護士の犯罪である。決して許されるものではないが、ここでは二つの「信頼」を裏切ったことを指摘しておきたい。
一般人に増して重い社会的責任を負う弁護士の犯罪である。決して許されるものではないが、ここでは二つの「信頼」を裏切ったことを指摘しておきたい。
一つは、当然ながら弁護士に対する信頼である。「弁護士は基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」(弁護士法)という一文を持ち出すまでもなく、弁護士への期待は大きい。平たく言えば「市民に寄り添い、市民の権利を守る」ということだろう。
今回、そうした信用を失墜させた。弁護士界の重鎮として九弁連理事長(04年度)のほか、1999年から弁護士の不祥事を調べる福岡県弁護士会の綱紀委員を務めていた経歴からすれば、弁護士会の信頼をも踏みにじったといえよう。
もう一つは、認知症や知的障害などで判断能力が不十分な人の財産を管理する「成年後見人制度」に対する信頼だ。
高齢者など社会的弱者の生活を支援する仕組みである。後見人は親族などの申し立てで家庭裁判所が選任し、今では親族以外の第三者が4割以上を占める。その主要メンバーが弁護士なのだ。
弁護士が後見人制度を支える存在となっている証しだが、後見監督人は後見人が任務を怠ったり、不正をしたりしないように監督するのが役割だ。島内容疑者は、その重要な立場を悪用したところに罪深さがある。善意で支えられる制度に泥を塗ったと言ってもいいだろう。
それにしても、福岡県弁護士会の弁護士による不祥事が後を絶たない。昨年3月以降で5件目となり、逮捕されたのは3人目だ。まさに異常事態である。
4億円を超す元弁護士による詐欺・横領事件を受けて、県弁護士会は再発防止策を協議中だが、会員の職業倫理だけに頼っていていいのか。信頼回復は容易ではない。外部の第三者に具体策を求める声がある。真剣に検討すべきだろう。
=2012/11/07付 西日本新聞朝刊=
島内正人弁護士
もう福岡の弁護士に事件依頼は止めよう