弁護士自治を考える会
弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2013年6月号に掲載された弁護士懲戒処分の要旨・金沢弁護士会・敦賀彰一弁護士の懲戒処分の要旨
みなし報酬
弁護士に裁判などを依頼して途中で止めても裁判を続けていたら得られたであろう弁護士報酬です。それが高すぎるということで処分を受けましたが戒告なら処分受けて高い報酬を取った方がはるかにいいのではないでしょうか
石川銀行という銀行がありました。普通は融資しないようなところや銀行の役員の関連企業に融資して倒産しました。
倒産する直前、12月30日に融資先に銀行員がまわります。ほとんどが中小企業とか商売人を廻りました。普通貯金の預金を石川銀行の株券に勝手に換えましたというもの、株式を購入してくれないとお宅への融資を打ち切りますと言われ、日頃信用で預けていた通帳から強制的に株券にした。
年が明けてすぐに石川銀行が倒産、億単位で騙された被害者が銀行相手に裁判をした、しかし裁判に勝っても銀行は倒産していますから1円も取れない。裁判を取り下げるというと「みなし報酬」をくれないと取下げはできないと弁護士が言ったという事件
(2013年3月22日14時07分 読売新聞)
弁護士2人、依頼に反して訴訟続け報酬1億円超
依頼者の意思に反して訴訟を継続し、1億2866万円余りの報酬を得たなどとして、金沢弁護士会は22日、同会所属の敦賀彰一弁護士(63)を業務停止2か月、 侭田明佳 ( ままだあきよし ) 弁護士(53)を戒告の懲戒処分にした。 同会の発表によると、2人は2001年に経営破綻した旧石川銀行に対し、出資者らが02~03年にかけて損害賠償を求めた訴訟を担当。原告男性の1人から05年に訴えの取り下げを求められたにもかかわらず訴訟を継続したとしている。
(北国新聞 )
金沢弁護士会によると、2人は2005年ごろ、訴えの取り下げを要請した会社経営者に対し、取り下げると多額の報酬が発生するとの誤った情報を伝えて取り下げを断念させ、約1億3千万円の報酬金を受け取った。
懲戒要旨の中で弁護士Aとあるのは同じ金沢弁護士会・侭田明佳弁護士のこと
侭田弁護士は戒告処分です
懲 戒 処 分 の 公 告
金沢弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下の通り通知を受けたので懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 懲戒を受けた弁護士
氏 名 敦 賀 彰 一
登録番号 19634
事務所 石川県金沢市尾張町
敦賀法律事務所
2 処分の内容 業務停止2月
3 処分の理由
(1) 被懲戒者は弁護士Aと共に懲戒請求者及び同人が代表取締役を務める会社3社から、懲戒請求者らの破たんしたB銀行に対する出資金相当額8億円を超える損害賠償請求訴訟を受任し2002年4月から2003年11月までにかけて複数の損害賠償請求訴訟を提起した。2005年2月頃懲戒請求者は弁護士Aに対し上記訴訟の取り下げの依頼をしたが被懲戒者は弁護士Aと協議して翻意を働きかけることとし弁護士Aはみなし報酬規程により少なくとも数千万円の多額の弁護士費用がかかる旨の誤った説明をし被懲戒者も共同してこれを撤回させた。2009年5月22日懲戒請求者らが第一審判決で全面勝訴しB銀行が控訴を提起した。被懲戒者は控訴審において懲戒請求者らが取下げを要請していたにもかかわらず懲戒請求者らの代理人として引き続き控訴審での訴訟を遂行し2011年4月27日に控訴審判決を受け当該判決は確定した。
(2) 被懲戒者は懲戒請求者に対し上記控訴審における取下げをしないことについて十分に説明せず承諾を得ることを怠った
(3) 被懲戒者は上記控訴審の受任時に委任契約書を作成しなかった。
(4) 被懲戒者らは2011年6月30日懲戒請求者らに対し上記第一審の取下げ要請がなされた時点での着手金を清算すべきであったのに第一審及び控訴審の被懲戒者らの報酬金として8億円に遅延損害金を加えた12億円余りを経済的利益としてその10パーセントである1億2866万円1554 円を請求した。
(5) (4)被戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規定第22条、上記(3)の行為は同規定第29条第1項に上記(4)の行為は同規定第24条に違反しいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4 処分の効力を生じた年月日 2013年3月22日 2013年6月1日 日本弁護士連合会