東京弁護士会会報「LIBRA」6月号に掲載された弁護士の懲戒処分の要旨の公表
弁護士の懲戒理由の要旨は日弁連広報誌「自由と正義」と各弁護士会の会報で見ることができます。
「LIBRA」はネット版もありますのぜひご覧ください
懲戒処分の公表はネットには公開されていません。
「LIBRA」6月号には2名の弁護士の懲戒理由の要旨が掲載されています。
1 依頼者の承諾なく裁判上の和解を締結
2 自力救済を行った
当然ですが東京弁護士会の会員弁護士しか掲載されません。日弁連広報誌「自由と正義」には8月号頃に掲載予定です。
懲戒処分の公表
本会は下記会員に対して弁護士法第57条に定める懲戒処分をしたのでお知らせします
記
被懲戒者 井出隆雄(登録番号13083)
登録上の住所 東京都文京区目白台3丁目
懲戒の種類 業務停止2月
処分の生じた日 2016年5月10日
[懲戒理由の要旨]
被懲戒者は懲戒請求者から受任していた交通事故を原因とする損害賠償を求める訴訟において2013年4月9日に裁判所から和解案のファクシミリ送信を受けたが、和解案について懲戒請求者の承諾を得ることなく、翌4月10日裁判所に出頭して和解を成立させた。
被懲戒者の行為は弁護士法第56条第1項に定める弁護士の品位を失うべき非行に該当する。
2016年5月20日 東京弁護士会長 小林元治
懲戒処分の公表
本会は下記会員に対して弁護士法第57条に定める懲戒処分をしたのでお知らせします
記
被懲戒者 大石剛一郎(登録番号21096)
登録上の事務所 東京都中央区銀座7丁目10
木下・大石法律事務所
懲戒の種類 業務停止3月
処分の生じた日 2016年5月11日
[懲戒理由の要旨]
被懲戒者は、漁網、漁具資材等を製造・販売するA社の顧問弁護士であり、かつA社の
子会社であるB社の代理人であった。A社は定置網漁網等を行うC社に対して漁網、漁具の資材等を販売するなど継続的に取引をしていたがC社が売掛金残金を支払わなかったため2013年1月24日、AC社間の業務委託契約を解除するとともにBC社間の割賦販売契約を解除し、C社に対して残債務の弁済及び定置網一式の返還を求めた。
C社からは残債務の弁済及び定置網一式の返還されなかったため、A社及びB社は漁網の自主回収を決定し2013年3月16日A社らの社員がC社の同意なく管理地及び海上の漁業区域において漁網の回収を開始したが、海上の漁業地域においては、ロープを切断する等して、現に操業中の定置網の漁網一式を自主回収した。
被懲戒者はA社及びB社から漁網の自主回収についての相談を受けた際に正当防衛、緊急避難が成立する可能性があるとの見解を示し、また、A社らの社員による漁網の自主会社に立ち会った。漁網の回収にあたっては被懲戒者の判断により作業を中止することが可能な体制になっていた。
被懲戒者の上記行為は自力救済を禁止する法の趣旨に明らかに違反し、弁護士法第56条第1項の品位を失うべき非行に該当する。
2016年5月20日 東京弁護士会会長 小林元治