弁護士の懲戒処分を公開しています。
日弁連広報誌「自由と正義」2017年2月号に掲載された懲戒処分の公告 愛知県弁護士会・鵜飼源一弁護士の懲戒処分の変更の公告
2015年10月17日付けで戒告処分を受けましたが懲戒請求者が日弁連に異議を申立て認められ戒告処分から業務停止1月に変更された。
元の懲戒処分の要旨
懲 戒 処 分 の 公 告 2016年2月号
愛知県弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下の通り通知を受けたので懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 処分を受けた弁護士
氏 名 鵜飼源一
登録番号 18698
事務所 名古屋市名東区名東本通4
名東本通法律事務所
2 処分の内容 戒 告
3 処分の理由
被懲戒者は、所得税法違反事件で2007年11月10日に逮捕され懲戒請求者から、国税局との交渉、税務申告及び納税に関する事務処理を受任し、懲戒請求者の通帳等を預かったが、被懲戒者が預かる以前から懲戒請求者の通帳等を預かる等していたAに対し2009年6月24日までに懲戒請求者の意思に反しないと考え、上記通帳等を引き渡したところ、2011年4月1日に出所した懲戒請求者から同年6月上旬に上記通帳等の返還を求められ、同年6月上旬に上記通帳等の返還を求められ、その返還をすることができなかった。被懲戒者は上記引き渡しを受けたAが少なくとも532万3323円を横領し懲戒請求者から損害賠償請求を受けたことについて、懲戒請求者に対し、同年7月26日付けの書面で、Aの代理人となった旨を通知し、懲戒請求者の代理人のB弁護士と示談交渉し、また懲戒請求者が2012年6月1日にAを相手方として申し立てた損害賠償請求調停事件においてAの代理人として、調停期日に出頭した。被戒者の上記行為は弁護士職務基本規定第27条第1号に違反し弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。4 処分の効力を生じた年月日 2015年10月28日 2016年2月1日 日本弁護士連合会
裁決の公告(処分変更)
愛知県弁護士会が2015年10月27日付けでなし2015年10月28日に効力を生じた被懲戒者に対する戒告の懲戒処分について懲戒請求者から異議の申出があった。日本弁護士連合会は上記戒告処分を変更して、以下のとおり懲戒の処分をしたので懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第6号の規程により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士
氏 名 鵜飼源一
登録番号 18698
事務所 名古屋市名東区名東本通4
名東本通法律事務所
2 処分の内容 業務停止1月
3 処分の理由
(1)被懲戒者は所得税法違反容疑事件で逮捕された懲戒請求者から、国税局との交渉や納税等の事務等を受任し、懲戒請求者の通帳等を預かったが、委任事務終了後、被懲戒者が預かる以前から懲戒請求者の通帳等を預かっていたとされるAに対し、懲戒請求者の承諾なく、通帳等を引き渡した。愛知県弁護士会は、被懲戒者がAから預かった懲戒請求者Aに引き渡すことは無理からぬところがあったとして直ちに非行に当たるとまではいい難いと判断した。しかし懲戒請求者が新たに出した書証【弁護士会照会の回答書】によれば被懲戒者がAから預かったと主張する通帳3冊についても、検察庁からの還付によるものであると推認される。被懲戒者は上記3冊はAから受領したと主張しているから、そのことを示す何らかの書証が提出されてしかるべきところ、そのような証拠の提出もない。以上のことから被懲戒者がAから預かった通帳はないと認められる。本来、預かった通帳は懲戒請求者に返還すべきところ、同人の承諾を得ないままそれらをAに引き渡したことは、弁護士職務基本規定第39条及び第45条に違反し、Aから預かった通帳がなかったとすれば、酌むべきところはなく、弁護士の品位を失うべき非行に当たるといえる。
(2)なお、被懲戒者から懲戒請求者の通帳等の引渡しを受けたAが横領し、懲戒請求者から損害賠償請求を受けた際、被懲戒者がAの代理人として示談交渉を受けた際、被懲戒者がAの代理人として示談交渉をし、調停期日に出頭したこと等については、同規定第27条第1号に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当するとの愛知県弁護士会の判断に誤りはない
(3)以上のことから、愛知県弁護士会の戒告処分は著しく軽く、不当であって、変更せざるを得ない、よって、被懲戒者に対する懲戒処分を業務停止1月に変更する
(4)処分が効力を生じた年月日 2016年12月17日
2017年2月1日 日本弁護士連合会