令和元年6月18日
会長 根 本 信 義
会員の懲戒処分について
本会は懲戒委員会の議決に基づき,下記のとおり弁護士である会員の懲戒処分を決定し,同処分を執行したので,これをご通知いたします。
記
1 懲戒処分をした弁護士会 茨城県弁護士会
2 対象弁護士 氏 名
野 武 興 一(77歳)
登録番号 第17776号
事務所 茨城県土浦市川口1-9-11 プラウドビル6階
野武法律事務所
3 懲戒処分の内容 退 会 命 令
4 懲戒処分の効力が生じた日
令和元年6月18日
①依頼者との委任契約・顧問契約は全て解除する。
②事務所を法律事務所として使用してはならない。
③弁護士及び法律事務所であることを表示する表札,看板等の一切の表示 を除去する。
④弁護士肩書,法律事務所名を表示した名刺の使用は不可。
⑤直ちに,弁護士記章,身分証明書を弁護士会に返還する。
また,懲戒処分を決定し,これを執行した事実及び懲戒処分の内容については,裁判所,
検察庁及びその他関係機関に通知いたします。
1 事 実 関 係
(1) 対象弁護士は,懲戒請求者から依頼を受けて訴訟を提起した。当該訴訟は,平成28年12月21日,和解の成立により終了した。懲戒請求者は,当該和解条項中,解決金100万円を,平成29年1月31日限り屋号を付した対象弁護士名義の普通預金口座へ振り込む方法により支払を受けることとされていた。当該100万円は,平成29年1月10日,当該普通預金口座へ振り込まれた。
然るに,対象弁護士は,当該普通預金口座から事務所経費を引き落としにより支払い,当該普通預金口座へ振り込む方法により他の依頼者からの着手金,報酬等の支払を受けていた。当該普通預金口座の残高は,平成29年1月10日に当該100万円が振り込まれた後,同日,インターネット料金が引き落とされることにより100万円を下回り,以降,通帳の履歴が確認できる平成29年3月22日までの間に100万円を上回ることは無かった。対象弁護士が懲戒請求者に対して当該100万円を引渡したのは,平成30年5月28日であった。
(2)ア 対象弁護士は,屋号に自らの姓を冠した法律事務所で業務を行っていた。当該法律事務所には,法律事務所であることを示す看板又は表示が合計4件存在した。対象弁護士は,平成30年4月6日,茨城県弁護士会より,業務停止1か月の懲戒処分を受け,直ちに弁護士及び法律事務所であることを表示する表札,看板等の一切の表示を除去するよう指示を受けた。しかのみならず,対象弁護士は,平成30年4月20日,茨城県弁護士会より,当該看板及び表示を除去すべき履行指示を受けた。
然るに,対象弁護士は,平成30年4月20日以降においても,当該看板又は表示4件中3件を除去せず,弁護士及び法律事務所であることの表示が外部から認識し得る状態のままにした。
イ 対象弁護士は,当該業務停止1か月の懲戒処分を受けたことにより,受任している法律事件について直ちに依頼者との委任契約を解除する必要があった。
然るに,対象弁護士は,平成30年5月17日時点においても,依頼者1名との委任契約を解除しなかった。
2 懲 戒 事 由 及 び 理 由
(1)ア 対象弁護士は,依頼者たる懲戒請求者のための預り金である当該100万円を自己の金員と区別せず,かつ,預り金であることを明確にしないまま保管していた。
これは,弁護士職務基本規程第38条及び預り金等の取扱いに関する規程第4条第1項に反する。
イ 対象弁護士は,当該100万円を事務所の費用や私的な支出のために用いた際に,その使途を記録しなかった。
これは,預り金の取扱いに関する規程第7条第1項に反する。
ウ 対象弁護士は,平成29年1月10日に当該100万の入金があった旨を,遅滞なく懲戒請求者に通知しなかった。
これは,預り金等の取扱いに関する規程第5条に反する。
エ 対象弁護士は,預り金を事務所経費等に流用し,もって私的に流用した。
これは,刑法第253条所定の業務上横領罪が成立する可能性を否定できない。
オ 対象弁護士の以上の各行為は,弁護士法第56条第1項所定の弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
(2)ア 対象弁護士は,当該表示3件を除去しなかった。
対象弁護士は,平成30年4月6日より前にも業務停止の懲戒処分を受けていたことから,弁護士及び法律事務所であることを表示する表札,看板等の一切の表示を除去すべきことを当然認識し得ていた。また,対象弁護士は,遅くとも平成23年ころから本件建物内にて業務を行っていたことから,看板又は表示がどこにあるのか当然認識し得ていた。
それにもかかわらず茨城県弁護士会の履行指示に従わない対象弁護士の行為は,猶更悪質と評価せざるを得ない。
イ 対象弁護士は,当該依頼者1名との委任契約を解除しなかった。
辞任しなかった理由については判然としないものの,業務停止の懲戒処分に伴い受任している法律事件全てを辞任すべきことは当然認識すべきである。
それにもかかわらず辞任しない対象弁護士の行為は,認識がどうであれ非難を免れない。
ウ 対象弁護士の以上の各行為は,弁護士法第56条第1項所定の弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
(3) 対象弁護士の行為は,業務上横領罪が成立する可能性もあることから,その悪質性は際立っている。対象弁護士には,過去3回の懲戒処分歴があり,その中には業務停止処分があったにも関わらず,所属会からの懲戒処分に伴う履行指示に従うことは無く,反省の様子は全く見られない。加えて,懲戒委員会からの弁明書提出依頼にも応じず,審査期日への呼出状も受け取らない。
かかる行状に鑑みれば,対象弁護士が最終的に依頼者に預り金を返還していることを考慮しても,対象弁護士に厳しい処分を下すことも止むを得ない。
よって,対象弁護士を退会命令とすることを相当と認める。
以上
なお、野武興一(のたけ こういち)氏は、退会命令を受けたため,現在では,茨城県弁護士会会員ではなく,弁護士ではありません。したがいまして,野武興一弁護士または野武法律事務所の名で法律相談を行ったり、事件を引き受けることはできません。依頼した方にも、被害が及ぶことがありますので、ご注意ください。
野武元弁護士に関する法律問題について、弁護士による無料相談会を下記の通り実施いたします。
日 時 :令和元年7月4日(木) 13:30~16:30(30分程度)
場 所 :土浦市亀城プラザ(土浦市中央二丁目16-4) 3階第2会議室(受付)
事前予約制です。詳しい内容は当会事務局までお問い合わせください。
029-221-3501(平日9:00~12:00 13:00~17:00受付)