弁護士は所属弁護士会と日弁連の会費を払わなければ弁護士業ができません。東弁の会費(日弁連会費含む)月 34700円(2020年)を毎月払えば少々の非行は庇ってくれます。
ところが会費を滞納すると、弁護士会はきっちり取り立てをします。最後は業務ができない退会命令を下します。そこで弁護士は会費を払うために依頼者の預り金に手を付けたり、高利から借りて滞納を支払うのです。弁護士が病気になった高齢で仕事ができなかったという言い訳は聞きません。
街のヤミ金でさえ、金を貸して滞れば厳しい取り立てをしますが、しかし少々遅れても満額返せば『また、何かあったら用立てしまっせ!』といい提起された訴訟などは取下げをしてくれます。
しかし東弁は違います。滞納したのは事実だからと滞納金額全額支払っても弁護士を追い込みます。
江口公一弁護士(東京)は会費を29か月滞納しました。
2016年3月分から2018年7月分まで(29か月分)の本会会費及び日弁連会費(合計1,006,300円)
東京弁護士会は会請求(弁護士会が懲戒請求者)で懲戒請求を申立、2020年4月17日「退会命令」を下します。
江口公一弁護士は滞納した会費を支払いに行きましたが満額ではありませんでした。
東京弁護士会は会報「リブラ」5月号に待ったを掛けずに懲戒処分の公表を行いました。
東弁会報リブラ 懲 戒 処 分 の 公 表
本会は下記会員に対して、弁護士法第57条に定める懲戒処分をしたので、お知らせします。
記
被懲戒者 江口公一 (登録番号21159)登録上の住所 東京都千代田区内神田3-27-7
AN内神田ビル3階 江口法律事務所
懲戒の種類 退会命令
効力の生じた日 2020年4月17日
懲戒理由の要旨
(1) 遅くとも2017年1月26日までには従前届けていた事務所の住所を変更していたにもかかわらず、2018年12月5日までの2年間、日本弁護士連合会(以下日弁連)に対し、その届け出をしなかった。
(2) 遅くとも2017年1月31日までには従前届け出ていた自宅住所を変更していたにもかかわらず、2018年12月17日までの2年間、日弁連に対し、その旨を届け出なかった。
(3) 2016年3月分から2018年7月分まで(29か月分)の本会会費及び日弁連会費(合計1,006,300円)を滞納したものである。
被懲戒者のこれらの行為は、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当するところ、被懲戒者は2020年1月24日に2016年3月分から2017年4月分の本会会費及び日弁連会費未納分合計489,900円を支払ったものの、それ以降、その余の支払をせず、かつ2018年8月分以降も未払いが続いていることも考慮し、退会命令を選択する。
2020年4月17日 東京弁護士会会長 冨田秀実
江口弁護士は4月17日に滞納額全額支払ったので処分の変更を求め日弁連に審査請求の申出をしました。
日弁連懲戒委員会は8月22日に処分を変更し自由と正義10月号に公告として掲載されました。
裁 決 の 公 告(処分変更)自由と正義 10月号
東京弁護士会が2020年4月17日付けで告知した同会所属弁護士 江口公一会員(登録番号21159)に対する懲戒処分(退会命令)について同人から行政不服審査法の規定による審査請求があり本会は2020年8月18日、弁護士法第59条の規定により懲戒委員会の議決に基づいて、以下のとおり裁決したので懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第3号の規程により公告する。
記
1 裁決の内容
(1)審査請求人に対する懲戒処分(退会命令)を変更する。
(2)審査請求人の業務を9月間停止する。
2 採決の理由の要旨
(1) 被懲戒者は2017年1月31日までには事務所や自宅の住所を変更していたにもかかわらず。約2年間、日本弁護士連合会に対しその旨を届け出ず、また2016年3月分から2018年7月分までの東京弁護士会と日本弁護士連合会の会費を滞納したとして東京弁護士会は被懲戒者を退会命令に付した。
(2)しかし被懲戒者は、事務所住所と自宅住所をそれぞれ2018年12月5日と同月17日に届け出たこと、会費滞納分を2020年1月14日489,000円、同月4月17日に1,213,600円を納付したこと、その結果、本件処分が効力を発生した同年4月17日の時点で本件懲戒請求事由は解消されたと認められる。被懲戒者が本件懲戒請求事由について深く反省していることも考慮すると、退会命令は重きに失し、これを業務停止9月間に付する。
3 採決が効力を生じた年月日 2020年8月22日 2020年10月1日 日本弁護士連合会
公告掲載の順番が違います。自由と正義11月号に退会命令の処分公告が掲載されました。この号だけ見た人は江口弁護士が退会命令を受けたと思うでしょう。処分公告を掲載するのであれば「退会命令」が先で「変更公告」が後にしなければ何のことかわかりません。過去には同時に出したこともあります。
懲 戒 処 分 の 公 告 2020年11月号(退会命令)
東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士氏名 江口公一 登録番号 21159
事務所 東京都千代田区内神田3-22-7AN内神田ビル3階 江口法律事務所
2 懲戒の種別 退会命令
3 処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は、2016年3月分から2018年7月分までの所属弁護士会費並びに日本弁護士連合会の会費及び特別会費の合計100万円6300円を滞納した。
(2)被懲戒者は遅くとも2017年1月26日までには従前届出をしていた事務所の住所を変更していたにもかかわらず2018年12月5日までの約2年間日本弁護士連合会に対しその旨を届け出なかった。
(3)被懲戒者は遅くとも2017年1月31日までには従前届出をしていた自宅の住所を変更していたにもかかわらず2018年12月17日までの約2年間、日本弁護士連合会に対しその旨を届け出なかった。
(4)被懲戒者の上記行為はいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4処分が効力を生じた日 2020年4月17日 2020年11月1日 日本弁護士連合会
日弁連広報誌「自由と正義」2020年12月号に掲載された登録取消情報です。
登録取消 2020年8月31日 江口公一(東京) 死亡
(8月31日に死亡とありますがこれは日弁連が受け付けた日で登録取消が完了した日で死亡した日ではありません。おそらく8月22日前後に死亡されたのではないかと思います。死因は不明)
懲戒処分の審査中に弁護士が死亡した時は対象弁護士死亡により審査打ち切りになります。以前、金沢で業務停止になった弁護士が当日に自殺して処分は無しになったことがあります。
確かに懲戒処分は確定していますが、被懲戒者が死亡したのであれば自由と正義に処分要旨を掲載する必要もないのではないか、特に依頼者に迷惑を掛けた、預り金を返還しないという処分理由であれば、死亡していようが、こういう弁護士もいる、弁護士会はきちんと処分しました。処分した後に亡くなりました。と自由と正義への掲載は必要かもしれません。
会費滞納で満額払ったのであれば、死亡した後に処分されましたと掲載して何の意味がありますか?いつものように会員弁護士のため忖度、庇い合いをしても誰も文句を言う人はいないでしょう。
8月に亡くなっていることを知っての11月号の「退会命令」の公告掲載です。まったく不要です。どうしても出したければ渕上玲子事務総長(東京)のお悔やみと処分公告についての談話でも掲載しておけばいいのです。
ここからは推測ですが、江口公一弁護士は、以前から病気で仕事ができなくて会費が滞った。しかし退会命令という処分だけは発表されたくなかった、晩節を汚したくないと無理して払ったけれど、東弁の仕打ちに絶望したのではないでしょうか