弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2024年11月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・神奈川県弁護士会・多胡翔弁護士の懲戒処分の要旨

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採決の公告 処分取消

取り消された処分の要旨

懲 戒 処 分 の 公 告 2024年1月号

1 処分を受けた弁護士氏名 多湖 翔 登録番号 46487 事務所 神奈川県相模原市中央区矢部4-17-8 相模中央マンション201 

多胡総合法律事務所 

2 懲戒の種別 戒告(処分取消)

3 処分の理由の要旨 

被懲戒者はAから委任を受けた、懲戒請求者を被告とする慰謝料請求訴訟において客観的な証拠又は信じるに足りる事情はなかったにもかかわらず、懲戒請求者を放火犯人であると断定した2022年4月5日付け準備書面を提出した、被懲戒者の上記行為はに違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

4処分が効力を生じた日 2023年8月29日 2024年1月1日 日本弁護士連合会

採 決 の 公 告(処分取消)

神奈川県弁護士会が令和5年8月29日に告知した同会所属弁護士多胡翔会員(登録番号46487)に対する懲戒処分(戒告)について、同人から行政不服審査法の規定による審査請求があり、本会は、令和6年9月10日、弁護士法第59条の規定により、懲戒委員会の議決に基づいて本件処分を取り消し同人を懲戒しない旨裁決し、この裁決は令和6年9月17日に効力を生じたので、懲戒処分の公告及び公表に関する規程第3条第3号の規定により公告する。

 記

1 採決の内容

(1)審査請求人に対する懲戒処分(戒告)を取り消す

(2)審査請求人を懲戒しない。

2 採決の理由の要旨 

(1)審査請求人は、依頼者から委任を受けた。懲戒請求者を被告とする慰謝料請求訴訟において、客観的な証拠やそれを信じるに足りる事情はなかったにもかかわらず、懲戒請求者が「放火行為を行った」と旨記載した準備書面を提出した。

原弁護士会は、審査請求人の上記行為が弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当するとして審査請求人を戒告の処分に付した。

(2)本会懲戒委員会が、審査請求人から同委員会に新たに提出された証拠も含め審査した結果によっても、原弁護士会懲戒委員会が認定している事実に誤りはない。

しかしながら、問題の表現は、裁判所に提出する準備書面に、原告の主張のまとめとして結論だけが記載されたもので、殊更に懲戒請求者を誹謗中傷し執拗に人格を攻撃するものとまでは言えないこと、処分の効力発生後とはいえ、懲戒請求者から審査請求人に対する懲戒処分を求めない旨の条項を含む示談が成立し、示談に基づき慰謝料50万円を支払っていることなどの事情を考慮すると、審査請求人の行為を弁護士としての品位を失うべき非行として、戒告の処分に付すことは相当ではないと考えられる。

(3)よって、原弁護士会のなした懲戒処分を取り消し、審査請求人を懲戒しないこととするのが相当である。

3 採決が効力を生じた年月日 2024年9月17日 2024年11月1日 日本弁護士連合会