弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2002年8月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・奈良弁護士会・河辺幸雄弁護士の懲戒処分の要旨
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処分理由・横領等
注意現在の自由と正義と2000年頃の自由と正義の処分要旨の出し方が違います。
この事件の前に奈良弁護士会に河辺弁護士の懲戒の申立てがあり奈良弁は戒告を下した。しかし公表がなかった。被害者の多くは処分が出ていたのならば公表していれば河辺弁護士に依頼しなかったと、被害者の会を結成し奈良弁護士会と日弁連を訴えたが棄却、しかし、奈良弁はこの事件以降、戒告でも記者会見し実名を公表することになった。
奈良弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士氏名 河辺幸雄
登録番号 15201
事務所 奈良県奈良市大豆山町5 河辺ビル
河辺 和田法律事務所
住所 奈良県奈良市東登美ヶ丘〇〇
2 懲戒の種別 除名
3 処分の理由の要旨
1 第1事件
(1) 被懲戒者は, Aが代表者となってい るB社から、 1999年6月14日ころ、同 社のC社に対する損害賠償請求事件に ついて委任を受けたが、 仮差押えの理由及び必要性について十分吟味することなく, B社に対し, 弁護士費用50万円及び仮差押保証金用の金員として250万円を請求してその支払を受けた。 しかし, 被懲戒者は、紛議調停が申し 立てられた2001年5月31日まで何ら積極的な対応をせずに漫然と放置した。
(2)被懲戒者は,2000年6月27日ころ、 Aから, 同人の父親所有地の隣地所有者との境界紛争に関して相談を受けた が,Aに対して, 紛争部分を保全するための供託金と預り金と称して200 万円を請求し受領した。
さらに, 被懲戒者は,同年10月6日ころ, Aに対し, 根拠不明の諸経費として150万円を請求してその支払を受けた。 その後,被懲戒者は,2001年5月までの間に,現場を一度見に行ったのみで、 上記隣地所有者との交渉, その他の法的手段を執らず,誠実な事務処理をしなかった。
(3) 被懲戒者は,2000年12月20日ころ, Aから亡父の相続に関して他の相続人 らとの間で紛争が生じているとの相談を受け,Aに対し,保全処分申立の理由及び必要性について十分吟味することなく、供託金と称して600万円を請求し支払を受けた。
しかし, 被懲戒者は、2001年5月31日にAから紛議調停の申立をされるまでに保全処分の申立をしなかった。さらに,被懲戒者は, Aから, 2001年5月17日 遺産分割調停申立の委任を受けた際,預り金の請求をする根拠がないにもかかわらず, Aに対し, 調停申立書記載の遺産総額 5パーセントを預かることになって いると述べて, 預り金として500万円を請求した。
(4)上記(1)ないし(3)の金員の請求・受領 行為は,いずれも正当な根拠のある預 り金の請求 受領行為とは認められず, (1)及び(2)の受任事務の放置とともに弁 護士の品位を失うべき非行に該当する。
2 第2事件
被懲戒者は,懲戒請求人D及び同Eか ら、2000年1月26日, Dらが不動産を購入したF社に対する損害賠償請求の依頼 を受けたが、 弁護士報酬についての説明義務を怠り, 趣旨不明の「行動費」 名下に各200万円を請求し支払を受けた。
その後,F社を相手方とする調停が不成立となった2000年9月19日,D及びE に対し, 本訴提起にあたって仮差押えの 必要性があると述べて保証金として100 万円を請求し支払を受けた。 ところが, 被懲戒者は, 手続を放置し, 訴訟等未提 起の事実を知ったDらからの抗議を受け, 2001年3月13日にようやく損害賠償請求 の本訴提起をしたが, その後も受任業務を誠実かつ適切に処理しようとしておらず,当初より資金の流用を意図して金員の交付をさせた疑いもある。
上記各金員の請求・受領行為には,いずれも正当な根拠が認められず, 弁護士の 品位を失う非行に該当する。
3 第3事件
(1)被懲戒者は、2000年8月25日ころ、懲戒請求者Gから同人が被害者である交通事故による損害賠償請求の示談交渉の依頼を受け、同年10月18日、加害者の代理人弁護士との間で示談を成立させ、そのころ示談金4200万円を受領して預かったが、その後、上記金員を全額着服し業務上横領した。
(2)被懲戒者は、2001年2月8日ころ、実際には事件処理を行う意思がないのに、上記交通事故に関し、GがH保険会社から受領済の保険金256万8800円を同保険会社に返金した上で総額に向けて最交渉する旨申し向けて、上記保険金相当額を被懲戒者名義の預金口座に振り込み送金させ詐取した。
(3)被懲戒者は、上記交通事故に関し、2001年2月15日ころ、Gの代理人としてJ保険会社から支払われた保険金295万円を受領したにもかかわらず、被懲戒者はその事実をIに通知せずに、その後、上記保険金をほしいまままに全額着服し業務上横領した。
(4)上記(1)ないし(3)の被懲戒者の行為はいずれも犯罪を構成する行為であり、弁護士の品位を失うべき
失うべき非行に該当する。
4処分が効力を生じた日 2002年5月13日 2022年8月1日 日本弁護士連合会
引用 業務日誌https://www5c.biglobe.ne.jp/~toyosaki/020623.htm
弁護士詐欺:依頼人150人から詐取か 被害5億超す
奈良弁護士会所属の弁護士、河辺幸雄容疑者が依頼者から現金を詐取したとして奈良地検に逮捕された事件があり、河辺弁護士が150人以上の依頼人から訴訟費用などと偽って現金を受け取っていたことが、奈良弁護士会の独自調査で分かった。
「人柄は良く、丁寧で腰も低い人だった」。そんな評価の一方で、県内の高級ゴルフクラブの会員権などもかなり持っており、大阪の北新地などでも羽振り良く遊んでいたという「別の顔」も。弁護士活動については、「以前から事件を放置している」「弁護の中身がいいかげん」などの声が多く、評判は芳しくなかった。
なぜ弁護士会が責任を問われるのか。
懲戒規定公表せず 公表なく被害拡大
河辺幸雄被告による現金詐取事件をめぐり、奈良弁護士会が河辺被告と依頼人との金銭トラブルを公表せず、被害を拡大させたとして対応を批判されている問題で、日本弁護士連合会が平成3年2月に懲戒処分の公表に関する会則を改正し、「戒告」の懲戒処分についても「国民の信頼を確保するために必要である場合に公表する」とする運用基準を設けているにもかかわらず、奈良弁護士会は現在まで会則や懲戒手続規程を見直さず、「戒告」を公表する規定を設けていなかったことが分かった。
河辺氏は平成8年6月に民事訴訟事件の依頼を引き受けながら訴訟を起こさず、依頼人には訴訟を起こしたとして嘘をつき、「戒告」処分を受けているそうですが、このような「戒告」処分は外部に公表されておらず、このため河辺氏の業務の実体が全く依頼者には判明しないままに次々に被害者が生まれていったと言うのでしょう。