弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2025年10月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・第一東京弁護士会・岸本学弁護士の懲戒処分の要旨
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処分理由・示談金等引き渡さなかった外多数
過去、処分歴なく一回目で除名処分。盗撮事件を多く取り扱っていた。
第一東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士氏名 岸本学
登録番号 42093
事務所 東京都港区新橋5-25-1 3階
みせばや総合法律事務所
2 懲戒の種別 除名
3 処分の理由の要旨
(1) 被懲戒者は、 自ら運用していた弁護士名義のツイッターのアカウントにおいて、 地方公共団体の議会の議員が主張していた上記地方公共団体の長による性加害の事実及び上記地方公共団体の住民による上記議員の解職に関して、 2020年12月2日「気に入らない女性議員を排除したければ」、「レイ プすればよい」「こんなリコールがあるこ と自体、 権限 権利の濫用だ」等と投稿し、同月7日、上記地方公共団体について 「原発廃棄物の最終処分場にでもしてしまえばどうか」等の投稿を行った。
(2)被懲戒者は、2021年12月頃、懲戒請求者 Aから同人を被害者とする強制わいせつ被 疑事件の示談交渉等を受任し、2022年4月1 日、上記事件の示談を成立させ、加害者代理人弁護士から示談金400万円を預かったが、懲戒請求者Aに対し、これを引き渡さなかった。
また、被懲戒者は、懲戒請求者Aに対し、同月2日から同年11月8日までの 約7か月間、上記示談金400万円の引渡しに 関し 何ら具体的、合理的な説明をしなかった、さらに、 被懲戒者は、同月16日、懲戒請求者Aが上記示談金の引渡しを求めるために申し立てた所属弁護士会の紛議調 停事件において、 紛議調停委員会から依頼及び督促をされたにもかかわらず、答弁書を提出せず、2023年1月12日の上記紛議事件の期日に出頭しなかった。
(3) 被懲戒者は、2022年5月29日、 懲戒請求者Bの配偶者及び子から同人らを被害者とする盗撮被害事件の示談交渉を受任したが、委任契約書を作成しなかった。 また、 被懲戒者は、同年6月24日、上記事件の示 談を成立させ、 加害者代理人弁護士から 示談金100万円を預かったが、依頼者である懲戒請求者Bの配偶者及び子に対し、これ を引き渡さなかった。
(4) 被懲戒者は、 所属弁護士会から、2022年 9月22日に被懲戒者が登録する事務所に到達した通知をもって、預り金品の入出金の 明細等及び特定の事件について被懲戒者が受領した示談金の入出金の明細等を回答するように求められたが、これに回答しなかった。
(5) 被懲戒者は、 2022年7月頃、 Cから同人を被害者とする盗撮事件の示談交渉を受任 し、 同年12月2日、 上記事件の示談を成立させ、同月5日には加害者代理人弁護士か ら示談金100万円を預かったが、Cに対し、これを引き渡さなかった。
(6) 被懲戒者は、2022年10月11日、懲戒請求者Dから同人を被害者とする盗撮事件の示談交渉を受任し、遅くとも同年12月9日に は上記事件の示談を成立させ、 加害者から 示談金80万円を預かったが、懲戒請求者D に対し、これを引き渡さなかった。
(7)被懲戒者は、Eから同人を被害者とする痴漢事件の示談交渉を受任し、2022年12月 26日、上記事件の示談を成立させ、加害者 代理人弁護士から示談金200万円を預かったが、Eに対し、これを引き渡さなかった。
(8) 被懲戒者は、2022年9月3日、 Fから同人 を被害者とする盗撮事件の示談交渉を受任し、遅くとも2023年1月13日には上記事件の示談を成立させ、加害者から示談金86万円を預かったが、Fに対し、これを引き渡さなかった。
(9) 被懲戒者は、Gから同人を被害者とする盗撮事件の示談交渉を受任し、2023年1月23日、 上記事件の示談を成立させ、同月25日には加害者代理人弁護士から示談金80万円を預かったが、Gに対し、これを引き渡さなかった
(10) 被懲戒者は、2023年1月16日、懲戒請求者Hから同人を被害者とするセクハラ事件につき書面の送付及び合意書の作成を受任し、同年2月9日、 上記事件の示談を成立させ、遅くとも同月17日には加害者から示談金60万円を預かったが、懲戒請求者Hに対し、これを引き渡さなかった。
(11) 被懲戒者は、 Iから同人を被害者とする盗撮事件の示談交渉を受任し、2023年3月17日、上記事件の示談を成立させ、加害者代理人弁護士から示談金100万円を預かったが、Iに対し、これを引き渡さなかった。
(12) 被懲戒者は、Jから同人を被害者とする盗撮事件の示談交渉を受任し、2023年4月3 日、 上記事件の示談を成立させ、 加害者代理人弁護士から示談金110万円を預かったが、Jに対し、これを引き渡さなかった。
(13) 被懲戒者は、遅くとも2023年3月31日以 降、自己の所属する法律事務所が日本弁護士連合会に登録された住所地に所在しなくなったにもかかわらず、その移転等を所属弁護士会及び日本弁護士連合会に届け出な かった。
(14) 被懲戒者は、 2021年9月分から2023年10 月分までのうち15か月分の所属弁護士会の会費並びに日本弁護士連合会の会費及び特別会費合計金42万3500円を滞納した。
(15) 被懲戒者の上記(2)の行為は弁護士職務基 本規程第44条及び第45条、 所属弁護士会の 弁護士職務上の預り金品の保管方法等に関 する会規第7条並びに所属弁護士会の紛議 調停委員会規則第13条及び第14条に、上記 (3)の行為は同規程第30条及び第45条並びに 同会規第7条に、上記(4) の行為は同会規第 10条第1項及び第2項に、 上記 (5)から(12)まで の行為は同規程第45条及び同会規第7条 に、上記(13)の行為は弁護士法第21条に、上 記(14)の行為は所属弁護士会の会則第24条第 1項及び第24条の2第2項並びに日本弁護士 連合会会則第95条第1項及び第95条の3第1 項に違反し、上記各行為はいずれも弁護士 法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4処分が効力を生じた日 2025年5月23日 2025年10月1日 日本弁護士連合会
2025年(令和7年)5月23日、第一東京弁護士会は、弁護士法第56条に基づき、下記会員を懲戒しましたので、お知らせいたします。
1 被懲戒者
氏 名 岸本 学(きしもと まなぶ)(51歳)
登録番号 42943
事 務 所 東京都港区新橋 5-25-1 3階-7 みせばや総合法律事務所
2 懲戒処分の内容 除名
3 懲戒処分が効力を生じた年月日
2025年(令和7年)5月23日
4 懲戒処分の理由の要旨
(1) 被懲戒者は、11名の依頼者から示談交渉を受任し、2022年4月から2023年4月までの間に各相手方との間でそれぞれ示談を成立させ総額1316万円に及ぶ示談金を受領したにもかかわらず、示談金を依頼者に引き渡さなかった。
(2) 被懲戒者は、合計15か月分(2022年4月分、同年7月分から10月分まで、同年12月分から2023年4月分まで、同年6月分から10月分まで)42万3500円の当会会費、日本弁護士連合会会費及び同特別会費を滞納した。
(3) 被懲戒者は、依頼者から申立てられた紛議調停事件において答弁書を提出せず、期日に出頭しなかった。
(4) 被懲戒者は、法律事務所の住所等を2023年3月31日以降、当会及び日本弁護士連合会に適切に届け出なかった。
(5) 当会会長による預かり金品に関する照会に回答しなかった。
(6) 被懲戒者は、ツイッターにおいて、客観的必要性も合理的理由もないにもかかわらず、過激かつ著しく侮蔑的な投稿を行った。
5 その他被害拡大防止のため必要と認められる事項(以下省略)
51歳男性弁護士を除名 示談金を依頼者に渡さず 第一東京弁護士会
弁護士裁判情報 預かり金返還請求事件 7月3日判決
東京地裁預り金請求事件 令和5年ワ✗✗ 民事16部 閲覧制限
原告 個人
被告 岸本学弁護士(第一東京)
判決被告岸本学弁護士に賠償命令。請求価額は400万円。認否反論・出頭せず。
