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光母子殺害:橋下氏に賠償命令

10月2日 元少年の弁護士への発言で

 山口県光市の母子殺害事件(99年)を巡り、橋下徹弁護士(現・大阪府知事)のテレビ番組での発言で懲戒請求が殺到し業務に支障が出たなどとして、被告の元少年の弁護士4人(広島弁護士会)が計1200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2日、広島地裁であった。橋本良成裁判長は原告の訴えを認め、橋下氏に原告1人当たり200万円、計800万円の支払いを命じた
 光市事件を巡っては、被告の元少年側弁護団が差し戻し控訴審で
「(事件の動機は)失った母への恋しさからくる母胎回帰によるもの」
などと主張。一部世論が反発する中、橋下氏が昨年5月放送の情報バラエティー番組「たかじんのそこまで言って委員会」(読売テレビ)で
「許せないと思うなら一斉に弁護団の懲戒請求をかけてもらいたい」
などと発言した。直後から弁護団メンバーが所属する弁護士会への
懲戒請求が急増。日弁連によると、07年末までに計8095件の
請求があった
 橋下氏を提訴した今回の訴訟で、原告側は
「被告人の利益を最大限主張することが刑事弁護人の職責。
橋下弁護士も理解しているはずなのに、懲戒請求を促したのは極めて悪質」
などと主張。
多数の懲戒請求と橋下氏の弁護団批判で「請求への対応に追われて業務に
支障を生じ、弁護士としての信用を傷つけられるなど精神的な苦痛を受けた」として1人当たり300万円の損害賠償を求めていた。
 一方、橋下氏側は「懲戒請求は(請求者の)自発的意志に基づくもの」として、発言が請求を誘発したことを否定。更に「07年4月の最高裁判決は懲戒請求の根拠を調査・検討する義務を示しているが、その対象は実際に請求した者。(呼びかけただけの)被告に義務はない。仮にあったとしても調査・検討を尽くした」と反論した。また、「懲戒請求で負担が生じたのは弁護士会の責任」などと原告側の損害との因果関係も否定した 

ここは弁護士に関する専門のブログです

今回の裁判の判決についての私の感想です
(1) 賠償命令は予想できたが金額が高い
(2) 懲戒を煽ったことは事実である。橋下は呼びかけたという
  懲戒が誰でも出せるということを世間に知らしめたことは功罪
(3) 弁護士であれば法廷(刑事)で弁護側がどんな発言をしても
  弁護士懲戒にはならない(よほどの人権攻撃は別として)
  なぜなら弁護側が主張した内容がでたらめなら検察側が法廷で崩せば
  いいのである
(4) 弁護士である橋下弁護士は懲戒にもあたらないことを知っていながら
  世間に懲戒を呼びかけた。
(5) 確かに弁護団の主張には問題点もあるがそれを法廷でなく懲戒
  という方法を取るのもおかしなことである
  弁護方法がいいか悪いかについて弁護士会は関与しない
(6) たしかに年間合計約1600件ほどの懲戒申請が毎年各弁護士会に出て
  いるが昨年は1万件ほどにもなった
  私も同時期懲戒を京都弁護士会に出したが京都は影響ないが広島
  愛知、東京の弁護士会では他の懲戒に影響がでたのは確かである
  現在の綱紀委員会の方法では申請1件につき1事件になる
  一括に処理はできない。綱紀委員会に弁護団が全部出て行ったか
  についてはたぶんないと思うが
(7) 橋下弁護士自らは懲戒を出していない
  ほんとうに弁護団が許せないなら自らが出すべきである
(8) フォローがない
  弁護士の懲戒は地元弁護士会が懲戒しないとしても日弁連で審査
  請求ができるがそのようなフォローがない 
 
(9) 橋下弁護士は懲戒を出した方の自己責任であるというが橋下が言
  うから懲戒を出した人もいたはず。自分は忙しいなどと逃げては
  いけないと私は思う 

刑事事件の弁護人は被告人のためにいろいろ手をつくします
事実と違うことも弁護人が言うかもしれませんその時には
検察は法廷で覆せばいいのです
≪異議有り≫と言えばよいのです
刑事事件の裁判は○か×かクロかシロかをはっきりさせるものです
検察と弁護側は主張を言うだけです
ジャッジは裁判官です
弁護団はまともな弁護をしてないじゃないかという方もいますが
そのジャッジも裁判官が下せばよいのです
それが裁判というものです

他のブログの意見で誤解されてる方もいます
今回の判決であの弁護団の弁護方針が正しいとかの判断は
関係ありません

いろいろなご意見があると思いますが
私は今回の賠償請求事件の判決は止む終えないと感じてます
あの弁護団の弁護方針がいいかどうかはまったく別問題です

光市事件では被害者の夫が懲戒を出しました
趣旨は安田弁護士の裁判の無断欠席です

この光市事件でもし弁護士懲戒処分が出るとするのは
被告人である元少年が、≪なぜあのような弁護をしたのか≫と
懲戒請求だせば結果は別として審査にはなると思います
広島高等裁判所 控訴審判決文 「光市母子殺害事件」
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080613101103.pdf

<判決骨子>

◆名誉棄損にあたるか

 懲戒請求を呼びかける発言は、原告の弁護士としての客観的評価を低下させる。

◆懲戒制度の趣旨

 弁護士は少数派の基本的人権を保護すべき使命も有する。多数から批判されたことをもって、懲戒されることがあってはならない。

◆発言と損害の因果関係

 発言と懲戒請求の因果関係は明らか。

◆損害の有無と程度

 懲戒請求で原告は相応の事務負担を必要とし、精神的被害を被った。いずれも弁護士として相応の知識・経験を有すべき被告の行為でもたらされた。

 ◇「根拠ない請求」は違法=解説

 テレビを通じて懲戒請求を促した発言の違法性が問われた裁判で、広島地裁は橋下氏が単なるコメンテーターではなく、懲戒請求の意味を熟知した弁護士だったことで極めて厳しい判断を示した。また光母子殺害事件報道についても、弁護団が「一方的な誹謗(ひぼう)中傷の的にされた」として苦言を呈した。

 根拠がないことを知りながら懲戒請求するのは違法とした最高裁判決(07年4月)があり、個々の請求者には根拠を調査・検討する義務がある。原告側によると、今回の請求の中には署名活動感覚で出されたものが多く含まれていた。橋下氏は視聴者に呼びかけながら自らは請求しなかったが、判決は橋下氏が弁護士である以上「根拠を欠くことを知らなかったはずはなく、不法行為に当たる」と断じた。

 弁護士法では、懲戒請求は弁護士の品位を保つためにあり、数を頼んで圧力を掛けることは想定していない。懲戒請求で弁護活動が萎縮(いしゅく)すれば被告の権利に影響が出る。それゆえ最高裁判決も「根拠のない請求で名誉、信用などを不当に侵害されるおそれがある」と請求の乱用を戒めている。

 報道姿勢に関しては、問題の番組は録画にもかかわらず、発言をそのまま放送した。専門家は「弁護団の主張に違和感があっても、『気に入らないから懲らしめろ』では魔女狩りと変わらない。冷静な議論をすべきだった」と警鐘を鳴らす。橋下氏と同時に、メディアの責任も問われた。