沖縄弁護士会が同懲戒委員会の議決に基づき2008年3月21日付けでなし2008年3月26日に効力を生じた業務停止3月の懲戒処分に対する懲戒請求者からの異議の申し出について日本弁護士連合会は上記懲戒処分を変更して以下のとおり懲戒の処分をした
懲戒を受けた弁護士
氏名 与儀 英毅 登録番号13346 沖縄弁護士会
那覇市久茂地2
与儀英毅法律事務所
懲戒の種別 業務停止1年
処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は1995年7月20日懲戒請求者との間で懲戒請求者から依頼を受けていた登記請求訴訟につき同訴訟の報酬及び諸経費の弁済に代えて懲戒請求者が同訴訟により移転登記を受けることになった不動産を譲り受け、その精算金【以下「本件精算金」という】として金7000万円を支払うことを合意した、その後本件精算金は金2500万に変更されたが、被懲戒者は1996年10月に上記不動産を1億5000万円で売却した後もこれを支払わず、さらに懲戒請求者が被懲戒者に対して提起した本件精算金請求訴訟で元本2500万円等の支払いを命ずる判決が2002年9月10日に出され、同判決が確定しても本件精算金の支払いを行わなかった。またその後沖縄弁護士会が紛議、懲戒の申立てをされたが2008年9月4日に100万円を支払うまで11年以上にわたって全く支払いを行なおうとしなかった。
(2)本件精算金2500万円は弁護士報酬として代物弁済をうけた土地の評価額から弁護士報酬相当額その他を差し引いた金額が過払いとなるため懲戒請求者に返還すべき金員であるから弁護士業務に関連して生じた預かり金と同視すべき債務といえる
被懲戒者は支払わなかった理由として土地バブル崩壊により地価が急落し当初目論んでいた地価で売却できす売買代金1億5000万円はすべて仮差押さえ債権者らへの支払いに使ってしまい、本件精算金への充てるだけの手持ち資金がなかったと弁解する
しかし本件精算金の支払いに充てる手持ち資金が無かったという弁解は懲戒請求者にとって何の責任のないことであり本件精算金不払いの相当な理由とは到底ありえないむしろ資金がないことを口実に11年以上長年にわたって預かり金と同視すべき本件精算金を支払わなかったことは居直りともいうべき不誠実な態度であり被懲戒者の本件精算金不払いと言う行為は弁護士の品位を著しく害するといわなばならない
(3)被懲戒者が2008年9月4日懲戒請求者に対し100万円支払った事実は認められるが被懲戒者の前記非行の程度からすれば沖縄弁護士会の懲戒の程度は軽きに過ぎるといわざるを得ず沖縄弁護士会のなした業務停止3月の処分を変更し業務停止1年を命じるのを相当とする
処分の効力の生じた日
2008年12月18日
上記懲戒処分(業務停止1年)については沖縄弁護士会が2008年3月26日に告知した業務停止3月が算入されるため上記会員の業務は2008年12月18日から2009年9月17日まで停止される、2009年2月1日 日本弁護士連合会
(ゴマさんのホームページ)沖縄弁護士会
業務停止2年(1997年1月13日処分発効)平成10年7月14日、日弁連により、業務停止6月と変更
処分理由の要旨
1 与儀は、1990年8月13日に依頼者Aほか5名との間から、民事訴訟受任契約を締結した。その内容は、土地所有権回復請求事件の報酬額は受益額の20%、損害賠償請求事件及び鉱業出願権名義回復請求事件の報酬額は受益額の10%、受任者の責によらずに解任された場合には報酬額全額を請求できる、などである。与儀は、これに基づいて、土地所有権回復請求事件・鉱業出願権名義回復請求事件については、那覇地裁の保全命令を得た上で、同年8月20日、同年12月10日、1991年5月15日にそれぞれ本訴を提起した。ところが、同年3月1日、同年5月28日にそれぞれAらから解任された。そこで、与儀は、これを理由のない解任であるとして、受益額合計額を168億円余と自ら評価算定して、1992年3月31日、Aらに対し、報酬金5億円余の支払いを求める訴訟を提起した。更に、同年4月16日の口頭弁論期日において、与儀自ら算定した受益額を基準にしても所属弁護士会報酬規程に定める標準額及び上限を大きく超える30億円余に請求を拡張した。2 与儀は、上記訴訟を提起するに当たり、紛議調停にはなじまないと判断し、所属弁護士会の紛議調停委員会への申立を経ずに訴え提起したため、地元新聞紙上に「弁護士、報酬巨額請求事件」等と大々的に報道された。