弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2009年3月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・第一東京弁護士会・長塚安幸弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・非弁行為

懲 戒 処 分 の 公 告

第一東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

          記

1 処分を受けた弁護士氏名 長塚安幸 

登録番号 8210

事務所 東京都渋谷区千駄ヶ谷1
長塚法律事務所

2 懲戒の種別  業務停止6月  

3 処分の理由の要旨

被懲戒者は1999年秋ころから紹介により多数の債務整理事件を取り扱うようになり2002年12月9日時点においては1人で約300件もの債務整理事件を受任していたものであるが2003年5月28日に入院し2004年他の弁護士に受任事件を引き継いだ。しかしながら被懲戒者の事務所ではその間弁護士不在のまま事務員により多数の債務整理事件が取り扱われており、また被懲戒者は上記入院前も直接依頼者と面談することをほとんどせず、もっぱら事務員が依頼者との面談や債権者との交渉を行っていた実態があることやその他経費支出の内容等から見ても実質的には事務員と称する者らが事務所経営を行い、被懲戒者は自己の名義を利用させていたに過ぎないと考えられる。
被懲戒者の上記行為は弁護士法第72条に違反する者に自己の名義を利用させて法律事務を行わせていたものであり、同法第27条に違反し同法56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する
処分の効力の生じた日  2008年10月28日
2009年3月1日  日本弁護士連合会
懲 戒 処 分 の 公 告 2003年2月号
懲戒を受けた弁護士  長塚安幸 登録番号 8210
懲戒の種別   戒告
処分の理由の要旨
分譲マンションの建設工事に起因する被害補償等に関して懲戒請求人ら近隣住民は施主らとの間で1998年8月10日付合意書を締結し和解金を受領した。
しかしその後懲戒請求人らは施主らに対して時間外作業の中止等を求めたいと考え、被懲戒者に相談した。ただその合意書には両者の間には他に何らの債権債務がないことを確認する旨の清算条項が定められていたにもかかわらず、被懲戒者は施主等から多額の金銭賠償を得られるとの強気の見解を懲戒請求人らに示した。そして合意書の清算事項が懲戒請求人らの権利主張の妨げとなるおそれが多分にあったのであるから、事前に施主等と粘り強く交渉すべきであったにもかかわえず、これをすることもなく2100万円の金銭賠償を請求する調停を申し立てた。その際被懲戒者は着手金として114万円の支払いを懲戒請求人らから受けたしかし同調停においては合意書の存在が理由となって金銭賠償を獲得することができなかった。ところが被懲戒者は懲戒請求人らを代理して2001年7月18日に約3174万円の損害賠償を求める訴訟を施工業者に対して提起した。この損害賠償の内容としてはマンション建設に伴う地価の下落を理由とするものが含まれていた、これは懲戒請求人らの意向に反するものであり、同人らはその部分の削除を求めていた。しかし被懲戒者はこれを削除せず、その意向を無視して提訴したものであったそして被懲戒者は懲戒請求人らに対して着手金及び実費として合計180万円を請求した、懲戒請求人らは被懲戒者に対して訴えの取り下げを申し入れたが被懲戒者はこれを拒絶した以上の被懲戒者の行為は受任者の負うべき善感注意義務、弁護士倫理第22条及び第37条に違反するものであり、もって弁護士法第56条に定める品位を失うべき非行に該当する
4 処分の効力の生じた日  2002年11月25日 2003年2月1日 日本弁護士連合会