弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2009年8月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・東京弁護士会・松下照雄弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・遺産分割協議事件 報酬でもめる

 

懲 戒 処 分 の 公 告

東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

          記

1 処分を受けた弁護士氏名 松下照雄

登録番号 16851

事務所 東京都杉並区和田3-59
松下照雄法律事務所

2 懲戒の種別  戒告  

3 処分の理由の要旨

被懲戒者は2001年11月懲戒請求者外1名代理人として遺産分割協議成立確認訴訟を提起し2002年9月13日に和解を成立させ、報酬額を金807万4500円とする旨懲戒請求者の同意を得た。
その後当該和解条項には分割協議結果が不明の相続財産や負担する相続債務額が不明であるなど、当時者間の権利義務に大きな影響のある多数の不備があることが判明したため懲戒請求者が被懲戒者に対して不備の是正等を求めたところ、被懲戒者がこれに対応しなかったため、懲戒請求者は他の弁護士に依頼せざるを得なくなり、解決まで長時間有することとなった。
そして懲戒請求者から2003年12月17日付内容証明郵便をもって報酬の協議を申し入れられた被懲戒者は、上記報酬金807万4500円の請求権を有しているとしてこれを自動債権とし懲戒請求者に対する預かり金返還債務金714万9260円と相殺し協議に応じなかった被懲戒者が和解条項の不備の是正に応じなかったことは自己のみの重大な責任になり中途で業務を終了させて放置したものというべきであり、かかる場合においては報酬全額を返還するか
返還しない場合は依頼者と報酬について協議いなければならないとする所属弁護士会の会規に違反し弁護士法第56条第1項の弁護士としての品位を失うべき非行に該当する
4 処分の効力の生じた日  2009年4月13日 2009年8月1日  日本弁護士連合会