弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2010年6月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・愛知県弁護士会・深見章弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・時給5万円の弁護士

報道 

300万円程度の弁護士報酬、2200万請求
弁護士報酬を過大に請求したとして、愛知県弁護士会は6日、弁護士法に基づき、同会所属の深見章弁護士(66)を業務停止4か月の処分をしたと
発表した。処分は2日付。 発表によると、深見弁護士は2004年8月、強制わいせつ容疑で逮捕された男の父親から弁護依頼を受け、
1時間5万円の報酬で契約。約440時間がかかったとして同年8月~05年6月の間、5回にわけて総額2192万5000円を受け取った。
弁護をした男は、控訴審で執行猶予付き判決を受け、確定した。弁護士報酬の規定はないが、同会では、特に難解な事件でもなく
、「300万円程度が適正報酬。あまりにも高額で、弁護士法に違反する」などとしている。深見弁護士は、「弁護士会の処分に従う」と話している
という。
 同弁護士会の細井土夫会長は「多くの弁護士が積み上げてきた社会的信用を傷つけるもので残念」  と話した。
懲 戒 処 分 の 公 告

愛知県弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

          記

1 処分を受けた弁護士氏名 深見 章 

登録番号 12745

事務所 名古屋市中区錦 深見章法律事務所

2 懲戒の種別 業務停止4月 

3 処分の理由の要旨   

被懲戒者は懲戒請求者Aとの間でAの子Bの刑事事件第1審における弁護費用を1時間当たり5万円とする時間報酬制とする旨の合意したが受任当初においてAに対し事件終了までの見込み時間について100時間以内に終了する見込みであると理解されるような説明をしていた。被懲戒者は上記刑事事件に要した時間が100時間を経過する前においてその後の事件処理時間の見込み等を十分に説明して理解を得るべきであったにもかかわらずその説明をすることなく、当初の見込み時間が大幅に超過した後になってAに対し事件処理時間が1955時間に達しているとして当初の合意に基づく報酬の支払いを求めた、被懲戒者は2005218日まで3回に渡り同様の計算で算定した報酬を請求し続けから上記刑事事件の報酬として合計18925000円もの過大な支払いを受けた

懲戒者の上記行為は廃止前の弁護士倫理第37条弁護士職務基本規定24条等に違反し弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する
4 処分の効力を生じた年月日 2010年3月2日 2010年6月1日   日本弁護士連合会
   

懲 戒 処 分 の 公 告 2008年4月号

① 氏名  深 見 章 登録番号 12745   愛知県弁護士会 ② 事務所 名古屋市中区錦2  深見章法律事務所
③ 懲戒の種別   業務停止1月
④ 処分の理由の要旨
(1)被懲戒者葉2000年10月30日懲戒請求者から国際結婚
仲介者を介して外国人女性との婚約解消について相談を受けた
懲戒請求者は当該女性との婚約に関し仲介業者に対し結婚諸
費用として総額255万円を支払ったが親族の猛反対を受けて婚約を解消する決意をしたとのことであった。被懲戒者は婚約解消及び仲介業者に対する不当利得返還請求の各事件を受任し着手金57万5000円の支払いを受けて事件処理に着手した
(2)被懲戒者は同年11月7日仲介業者を被告として返還義務を
認めている
60万円を超える195万円につき不当利得返還請求訴訟を
提起したが仲介業者にその旨及び財産の差押さえを受ける可能性があるなどと説明して2001年1月17日新たに懲戒請求者から債務不存在確認訴訟の提起等を受任し翌日提起手続きをし、同月22日着手金四百五十万円の支払いを受けたこれら二件の訴訟は併合審理されたが同年6月20日仲介業者から320万円の損害賠償を求める反訴が提起された
同年11月5日仲介業者が懲戒請求者に50万円を支払う旨の
裁判上の和解が成立して全事件が終了したがこれを受けて被懲戒者は懲戒請求者に対し報酬315万円を請求した
(3)被懲戒者は婚約解消については現地の弁護士にも依頼
しなければならず現地出張する必要があるなどとして20日間の出張費用及び報酬として555万円の支払いを要求し2000年11月20日その支払いを受けた
被懲戒者は3日間の現地出張をし現地の弁護士A を雇って女性
及びその親族との交渉に当たらせたが2001年1月頃以降、A は女性らと連絡が取れなくなり婚約解消の交渉は停滞したままとなった。同年11月6日懲戒請求者を通じてA に対し12万7155円を支払い費用の清算をした
(4)被懲戒者の上記(2)の行為は必要性が薄い訴訟のため請求される可能性がない係争利益をもとに着手金を算定して過大な請求をしている点及び懲戒請求者が受けた経済的利益が370万円であるのに比して過大な報酬を請求している点でいずれも廃止前の弁護士倫理第37条に違反する
被懲戒者の(3)の行為は女性との連絡』が途絶えA に対する費用の清算が済んだ後も預かり金の清算を行わなかった点で廃止前の弁護士倫理第40条に違反する被懲戒者のこれらの行為は懲戒請求者が申し立てた紛議調停
手続きにおいて調停が成立し懲戒請求者の請求通りの金額を支払い済みであるとはいえ一般市民」の弁護士業務あるいは弁護士報酬の適正さに対する信頼を大きく損ねるも
のであり弁護士法第56条第1項の品位を失うべき非行に該当する
処分の効力の生じた日 2008年1月10日 2008年4月1日 日本弁護士連合会