弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2011年1月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・東京弁護士会・佐々木一彦口弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・成年後見人の怠慢な業務

懲 戒 処 分 の 公 告

 東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

1 処分を受けた弁護士氏名 佐々木一彦

登録番号 17227 

事務所 東京都渋谷区恵比寿  代官山法律税務事務所    

2 懲戒の種別    戒 告

3 処分の理由の要旨

被懲戒者は20045月Aの成年後見人に選任された、被懲戒者は成年後見人就任後もAの妻らがAの預金通帳や印鑑を保管することを認めAの預貯金を自由に払い出し使用することを放任した。また被懲戒者は20051227日A所有の株式をAの妻らに贈与した被懲戒者の上記行為は成年後見人といての善管注意義務に違反するものであって弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する、

4 処分の効力を生じた年月日 2010年10月5日 2011年1月1日   日本弁護士連合会
 
東京弁護士会で懲戒処分され日弁連で懲戒処分ナシとなった要旨
1 懲戒を受けた弁護士
氏名 佐々木一彦    登録番号  17227  東京弁護士会
事務所  東京都渋谷区恵比寿西1 代官山法律税務事務所
2 懲戒の種別  戒 告
3 処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は1998年11月27日Aの公正証書遺言の作成に関わり遺言執行者に指定されていたが2001年11月26日Aは死亡した。被懲戒者は相続人の1人であるBに対し共同事務所に所属する弁護士C紹介しC弁護士は懲戒請求者が申し立てた遺留分減殺請求調停において、Bを含む相手方当事者とされた相続人全員の代理人として訴訟活動を行った
(2)上記調停は不調となったが相続人間の紛争が解決しないうちに
被懲戒者は2004年12月16日遺言執行者に就任する意思を示し遺言執行をおこなった
(3)上記被懲戒者の行為のうち(1)のC弁護士を紹介した行為は遺言執行者に就任する以前であったとしても遺言執行者を指定された弁護士としての職務の公正中立さを害するものであり(2)の行為は遺言執行者としての職務の遂行につき中立性ないし誠実、公正さを疑われるものであるから弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する
4 効力の生じた日 2009年5月7日 2009年8月1日  日本弁護士連合会
 
採 決 の 公 告
東京弁護士会が200957日に告知した同会所属弁護士佐々木一彦会員(登録番号17227)に対する懲戒処分(戒告)について同人から
行政不服審査法の規定による審査請求があり、本会は2010511弁護士法第59条の規定により懲戒委員会の議決に基づいて以下の通り採決したので懲戒処分の公告及び公表等に関する規定第3条第3号の規定により公告する
              
1 採決の内容
(1)  審査請求人に対する懲戒処分(戒告)を取り消す
(2)  審査請求人を懲戒しない
2 採決の理由の要旨
(1)19981127日遺言者は公正証書遺言を作成した。本件公正証書遺言は遺言執行に関し、遺言執行者に裁量の余地のないものであった。
また同遺言では審査請求人が遺言執行者に指定されていた。さらに遺言者は200028自筆遺言証書を作成した
(2)20011121日遺言者は死亡した。審査請求人はそのころ審査請求人の事務所を訪れた相続人Aに同事務所のB弁護士を紹介した
(3)2002121B弁護士がAの代理人となり本件自筆遺言証書の検認申立がなされ同年3月1日検認手続が行われた
(4)同年7月31日相続人Cから遺留分減殺調停の申立がなされB弁護士がAの代理人となった。同事件は2003年5月21日取下げにより終了した
(5)同年2月6日懲戒請求者から相続人DA,らを相手方として遺留分減殺請求調停の申立がなされB弁護士がD,Aらの代理人となった。
同事件は同年10月29日不成立により終了した
(6)審査請求人は懲戒請求者から2004年12月9日に到達した書面にて、遺言執行者への就職承諾の催告を受け催告期間の経過により同月19日就職を承諾したとみなされるに至った(民法第1008条)審査請求人は遺言執行者に就職した当時、前2件の遺留分減殺請求調停事件が取り下げまたは不成立により終了してから相当経過しており遺留分に関する紛争は既に終了していたものと考えていた
(7)原弁護士会は審査請求人がAの依頼に応じてB弁護士を紹介しB弁護士がAらの代理人となって事件を担当したことは、弁護士として
の職務の公正中立さを害するものであって弁護士法第56条に規定する懲戒事由に該当するというべきであるとするしかしながら    遺言者の検認手続は遺言執行者とは利益相反の関係にはならないと解されること
    遺言者が死亡したころ審査請求人がAに弁護士を紹介したことは
認められるが審査請求人がB弁護士にAらの代理人となるよう自ら
依頼したことの認定するに足りる証拠はないこと
    遺言執行者として指定されたものは就職承諾前は遺言執行者としての権利義務を有しておらずその行為に遺言執行者に求めれるほどの公正さが要求されるわけではないと解せられること、からして審査請求人に懲戒に付すべきほどの職務の公正を害する非行が存したとまではいえないというべきである
(8)また原弁護士会はB弁護士からAらの代理人として調停事件を担当した後、審査請求人が遺言執行者に就職することは職務執行の中立性ないし誠実、公正さを疑われることになるとするしかしながら審査請求人が遺言執行者に就職したのは20041219のことでありその時点では前記遺留分減殺請求調停事件が不成立により終了してから相当の期間が経過してることなどからして審査請求人が遺言執行者に就職いたことについて懲戒に付すべきほどの非行性を認めることはできないというべきである、さらに原弁護士会はある弁護士の事務所に所属する弁護士について弁護士職務基本規定57条を類推適用するのが当然であるとするしかしながら、遺言執行者と遺留分減殺請求調停事件の申立人である相続人との間に同規定第57条にいう利益相反の関係が存するかについては具体的事案に即して実質的に判断すべきところ本件公正証書遺言の内容からして遺言執行者に裁量の余地はなく本件では審査請求人である遺言執行者と懲戒請求者との間に実質的にみて利益相反の関係はみとめられないと解される
(9)以上のとおりであり懲戒請求者に職務の中立性公正性につき不信感を抱かせた点で審査請求人に対する配慮が欠けるところがあったとはいえ懲戒処分に付するほどの職務の公正さに反する行為を認めることはできない
(10)よって原弁護士会のなした懲戒処分(戒告)を取り消し審査請求人を懲戒しない
 3 採決が効力を生じた年月日 201057日  201071日   日本弁護士連合会

 

 

 

 

 
 
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