弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2011年1月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・東京弁護士会・永吉崇弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・82歳の身寄りのない年寄りからしかも痴呆のある方から5年間で7000万円を引き出す、何ら弁護士として仕事しないのに月額40万円の顧問料をとった。

報道記事

認知症女性の資金持ち出し、弁護士に業務停止処分 6千万円超の預金がゼロ

2010.10.5 21:02 東京弁護士会は5日、財産管理で不当に高額の顧問料を受け取っていたとして、永吉崇弁護士(70)を業務停止2年の懲戒処分にした。 東弁によると、永吉弁護士は東京都内の女性(96)と平成8年、不動産預貯金の管理を月額40万円で顧問契約。女性が10年に認知症で入院した後は治療費など必要経費を大幅に上回る資金を持ち出し、6千万円以上あった女性の預貯金は17年ごろ尽きた。 永吉弁護士は「不当に高額ではなく、使途不明金もない」と弁明したという。 女性が住む自治体の依頼で19年に成年後見人となった別の弁護士が懲戒請求してた

懲 戒 処 分 の 公 告

東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。          

1 処分を受けた弁護士氏名 永吉崇

登録番号 10092

事務所 東京都中央区日本橋茅場町  永吉崇法律事務所

2 懲戒の種別  業務停止2年 

3 処分の理由の要旨 

(1)被懲戒者は199652日当時82歳で身寄りのないAから預貯金の払い戻し含めAの財産一切の管理を委任され同委任事務の処理を主たる内容とする顧問契約を締結した。被懲戒者は19986月から20036月までの間に金銭出納簿経費の支払いに関する帳簿、預かり金保管用通帳等をまったく作成せずにAのために支出するべき経費をはるかに上回る7000万円強の預金をAの口座から引き出し極めて不適切な資産管理を行った
(2)被懲戒者は19965月から毎月20万円、同年7月以降は毎月40万円の顧問料をAから受領していたが被懲戒者の行った業務はAが日常生活を営むのに必要な基本的事務処理であり法律上の専門知識を必要とする業務はほとんどなかったこと等を考慮すると、月額40万円の顧問料は不当に高額だったと評価されるが被懲戒者はAの委任の本旨に反しAの財産の保全に配慮することなくAの預金がなくなる200511月まで顧問料の受領を続けた
(3)被懲戒者は2007613日にAの成年後見人に選任された懲戒請求者に対しAの預貯金から出金について、その使途及び管理経過について
具体的に説明せず帳簿や領収書等の所経費の支払いを客観的に裏付ける資料も提出せず委任契約上の報告義務に違反した
(4)懲戒者の上記の行為は弁護士職務基本規定第5条に違反し弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する
 
4 処分の効力を生じた年月日 2010年10月5日 2011年1月1日   日本弁護士連合会