弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2011年4月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・第一東京弁護士会・加茂隆康弁護士の懲戒処分の要旨
処分理由・報道がありました
第一東京弁護士会は27日、依頼人の交通事故の後遺症を誇張したとして加茂隆康弁護士(61)を業務停止4カ月の懲戒処分とし、発表した。 同弁護士会によると、加茂弁護士は2001年12月、交通事故の後遺症があるという都内(当時)の男性から損害賠償請求の依頼を受けた。東京地裁に提訴する際、男性の介護は必要ないと知りながら「ほとんど寝たきり状態」と主張し、本来請求できない「将来の介護費(6400万円)」を盛り込んだという。訴訟では後遺症の程度が争点となり、加茂弁護士は、実際は同居していない男性の母親が介護に専念しているよう装う書面などを提出。ところが被告の保険会社側から、男性と母親が歩いて買い物している様子を撮影したビデオが証拠として提出され、うそが発覚した。 加茂弁護士は交通事故の損害賠償請求に関する著書が多く、ホームページには「弁護士がつけば、賠償金額が数倍になることもまれではありません」と記している。最近では裁判員裁判と死刑をテーマにした小説も執筆した。
第一東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。
1 処分を受けた弁護士氏名 加茂隆康
登録番号 15278
事務所 東京都中央区銀座1 加茂隆康法律事務所
2 懲戒の種別 業務停止4月
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は交通事故により受傷した懲戒請求者から損害賠償請求の依頼を受けたところ懲戒請求者が常時介護を要する状態になかったことを知りながら母親Aの常時介護を受けているとの虚偽の事実を前提に2003年7月29日頃将来の介護費用約6400万円を含めた約1億8000万円の損害賠償請求訴訟を提起した。また被懲戒者は訴状及び訴訟委任状における懲戒請求者の住所を実際の住所ではないAの住所としその後懲戒請求者が転居した際にも実際の転居先ではないAの住所地に住民票を異動させ、あるいは外出時には変装するよう懲戒請求者にアドバイスをした。さらに被懲戒者はAが実際には同居も常時介護もしてないことを知りながらAが同居して常時介護している旨のA名義の陳述書を虚偽と知りつつ証拠として提出した被懲戒者の上記行為は誤った裁判がなされるおそれをもたらすもので裁判における真実の発見という重大な目的をないがしろにし、公正な裁判の実現を危うくするとともに弁護士に対する社会の信頼を失わせるおそれのある行為であって弁護士職務基本規定第5条第74条及び第75条並びに廃止前の弁護士倫理第4条第53条及び第54条に違反し弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する
4 処分の効力を生じた年月日 2010年12月27日 2011年4月1日 日本弁護士連合会