不適切な相続調停で弁護士戒告 遺言執行者なのに代理人に


画家の遺言執行者に選任されていた県弁護士会所属の男性弁護士(51)が、遺産相続をめぐり画家の長男が申し立てた調停に、画家の妻の代理人として出席したのは不適切として、県弁護士会が、弁護士法に基づき、弁護士を戒告の懲戒処分にしていたことが26日、分かった。

処分は3月22日付。

県弁護士会懲戒委員会の議決書によると、弁護士は2005年1月、水戸家裁から画家の遺言執行者に選任され、財産目録を作成した。画家の遺言書には全財産を妻に相続させるよう書かれていたことから、07年10月、長男が調停を申し立て、弁護士は妻の代理人として調停に出席した。

弁護士側は「訴訟ではなく調停に関与したにとどまり、話し合いで解決できる事案だった」などと主張していた。

議決は弁護士について「遺言執行者の職務の中立、公正性に対する信頼を害する恐れがあった」と認定。調停が不調に終わったことなどから、話し合いで解決できたとする弁護士側の主張を「合理性があったとはいえない」と退け、「品位を失うべき非行」に該当すると結論付けた。

戒告処分は、弁護士法に基づく懲戒では一番軽く、県弁護士会は公表していなかった。

戒告処分を受けた弁護士は茨城新聞の取材に対し「話し合いで解決できると思っていた。懲戒委員会で弁明をしたが、中立を害したという結論は甘んじて受け入れる」と話した。