弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2011年8月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・広島弁護士会・金尾典良弁護士の懲戒処分の要旨
処分理由・
民事事件の和解金を着服したり、依頼者から借りた金を返済しなかったなどとして、広島弁護士会は30日、同会所属の金尾典良(よしふみ)弁護士=福山市=を業務停止1年6月の懲戒処分にしたと発表した。処分は26日付。 弁護士会によると、金尾弁護士は、民事事件の依頼者に代わって受け取った和解金の一部40万円を着服したほか、仮差し押さえの保証金などとして依頼者から預かった40万円を着服▽依頼者から借りた100万円を返済しなかった▽依頼者に訴訟の経過報告をせず敗訴判決を伝えなかった--などの行為があり、依頼者から懲戒請求があった。 水中誠三・弁護士会長は「誠実かつ公正な職務遂行を職責とする弁護士として考えられない行為。このような事態が生じたことは大変遺憾」とコメントした。
広島弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。 記
1 処分を受けた弁護士氏名 金尾典良
登録番号 33531
事務所 福山市入船町2 金尾法律事務所
2 懲戒の種別 業務停止1年6月
3 処分の理由の要旨
(1) 被請求者は懲戒請求者から要求されたにもかかわらず相当期間和解調書を交付しなかった
(2) 被懲戒者は和解金の一部40万円を受領しながら懲戒請求者に受領した事実を隠し返金せず費消した
(3) 被懲戒者は仮差押えの保証金などとして預かった40万円を懲戒請求者に返金せず費消した
(4) 被懲戒者は懲戒請求者に対し弁護士報酬、費用等の内訳について適切な説明をせずまた委任契約を作成せずに懲戒請求者から3回にわたり合計44万9000円を受領した
(5) 被懲戒者は懲戒請求者の会社の名義を借りて使用していたコピー複合機、パソコン電話機について提起されたリース代金訴訟について懲戒請求者に経過報告せずさらに敗訴の判決があったにもかかわらずこれを懲戒請求者に全く伝えなかった
(6) 被懲戒者は懲戒請求者から弁護士会入会のための費用として100万円を借り受け幾度となく懲戒請求者に返済の約束をしながら履行しなかった
(7) 被懲戒者は懲戒請求者と請負契約を締結したが懲戒請求者との依頼関係を利用して長期にわたり請負代金の不払いを続けた
(8)被懲戒者の上記行為はいずれも依頼者の信頼を裏切り甚だしく弁護士の信頼を害したものであり弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する、
4 処分の効力を生じた年月日 2011年5月26日 2011年8月1日日本弁護士連合会