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「京都弁護士会の不可解な懲戒処分の審議」
 
弁護士に非行があれば所属の弁護士会に懲戒請求を出します。
請求してから3月くらいして弁護士会綱紀委員会からの審査をしたいので弁護士会に来てください。そして綱紀委員の質問に答えてほしいとい日があります
「綱紀調査」といいます。必ずしなければなりません。
綱紀委員会で懲戒相当と議決されたら次に懲戒委員会に審議がまわります
そこで、処分がきまります(処分ナシ・戒告・業務停止・退会・除名)
この懲戒委員会でも懲戒の審査があり対象弁護士が呼び出され弁明を聴いたり証拠を提出します審査期日」 といいます(懲戒請求者はありません)
懲戒委員と対象弁護士や弁護士の代理人が出席し懲戒委員からの質問に答えます。この調査をしたあと懲戒処分が決まります
 
さて、先ごろ京都弁護士会所属の南出喜久治弁護士が業務停止3月の懲戒処分を受けました。処分の内容はともかく、南出弁護士は京都弁護士会が
自分の弁明の機会を与えなかったと述べました
また、昨年には京都弁護士会所属の弁護士に懲戒請求を出した一般人が
綱紀調査を受けないで処分ナシの議決をしました
 
京都弁護士会はいったいどうしたんでしょうか
 
「弁護士懲戒手続の研究と実務」
 日本弁護士連合会調査室 (平成23年)
この本は弁護士の懲戒に関わる綱紀委員・懲戒委員のために書かれたものです。
弁護士が懲戒の審査をするときはこの本を参考にしています。
 
(懲戒委員会の審査手続)
弁護士法第六十七条  
懲戒委員会は、事案の審査を求められたときは、速やかに、審査の期日を定め、対象弁護士等にその旨を通知しなければならない。
 審査を受ける弁護士又は審査を受ける弁護士法人の社員は、審査期日に出頭し、かつ、陳述することができる。この場合において、その弁護士又は弁護士法人の社員は、委員長の指揮に従わなければならない。
 懲戒委員会は、審査に関し必要があるときは、対象弁護士等、懲戒請求者、関係人及び官公署その他に対して陳述、説明又は資料の提出を求めることができる。
 
(綱紀委員会による陳述の要求等)
弁護士法第七十条の七
 綱紀委員会は、調査又は審査に関し必要があるときは、対象弁護士等、懲戒請求者、関係人及び官公署その他に対して陳述、説明又は資料の提出を求めることができる。
 綱紀調査への協力
法は綱紀委員会に対し調査に関し必要があるときは対象弁護士等、懲戒請求者、関係人及び官公署その他に対して陳述、説明または資料の提出を求める権限を認めた
(対象弁護士)日弁連会則72条は弁護士は懲戒の手続きへの協力を求められたときは正当な理由がない限りこれに応じなければならないと規程している。
(会則を守る義務)
弁護士法第二十二条
 弁護士は、所属弁護士会及び日本弁護士連合会の会則を守らなければならない。
 懲戒の審査に協力しない場合。綱紀調査や懲戒の調査に呼び出されて出て行かない場合は別途懲戒事由になるとまで書かれています。
 
日弁連懲戒の実務では
「綱紀委員会における「調査の円滑な進行の要領」
⑤ 当事者、関係人が綱紀調査に出頭しないとき原則として再呼び出しをするものと再呼び出しにも応じないときは呼び出しを打ち切ることができる。
7 非協力による終結
議決にあたっては当時者、関係人の非協力の経過を議決書中に必ず明記すること
 
綱紀委員会で懲戒相当となり懲戒委員会での審議
(審査期日とは)
懲戒委員会は事案の審査のために審査期日を開いて審査をおこなうこととなるが審査期日とは懲戒請求事案を審査するに際して対象弁護士、懲戒請求者等の関係人の審尋その他主として証拠を採取する手続き等の行為をおこなうため、懲戒委員会の委員、対象弁護士その他関係者が一定の場所に会合する日時をいうものである。
審査期日は主として対象弁護士の弁明を聴き、有利不利な証拠を採用するものであるから手続き的な保障が求められ多くの弁護士会の会則では審査期日における審査をした後でなければ対象弁護士を懲戒することを相当と認める旨の議決をすることができないとされており、また前述のとおり対象弁護士等には審査期日への出席義務があるが逆に後述のとおり出席権及び陳述権も認められるため、審査期日についてはその日時場所を対象弁護士等に通知して出席権を保障しなければならない。
対象弁護士の陳述等
懲戒委員会の審査は職権によることが原則であるが、法は対象弁護士に対し、審査期日に出頭し委員長の指揮に従い陳述する権利を認めている。【法67条2項】
 
以上は対象弁護士は懲戒審査に協力をすること。しない場合は懲戒事由にもあたるというのです。
また対象弁護士には審査期日において弁明をすることが認められており、審査を経ていないものは懲戒処分をしてはいけないとある。
 
京都弁護士会の2件の違法な懲戒処分
1件は綱紀調査をしないで懲戒処分ナシの議決をしたこと
もう1件は審査期日に対象弁護士を呼び出さずに業務停止3月の懲戒処分を出したとなれば明らかに違法な懲戒をしたことになります。
 
この2件の懲戒処分は瑕疵ある懲戒だとして取り消される場合があると思います。
また、綱紀委員長、懲戒委員長にはおそらく懲戒請求が出されるでしょう
どうせ門前払いでしょうが
(綱紀委員・懲戒委員は職にあるときは公務員としての法が適用されます)
 
京都弁護士会 2012年度 弁護士会役員名簿

 

南出喜久治弁護士業務停止3月の報道
南出喜久治弁護士の懲戒処分の反論
京都弁護士会 綱紀調査なしで議決出す