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京都弁護士会元会長刺傷事件
123日京都地裁205号法廷 14時~
平成25年(わ)991号 被告人尋問 裁判傍聴
 
元京都弁護士会長の彦惣弘弁護士が元依頼人に路上でアイスピックで刺されて軽傷を負ったという事件、裁判傍聴に行ってきました。
 
刺すにはさすだけの理由がある。刺されるにも理由があったはず。
 
刺された弁護士も情けないが刺した被告人はほんとうに愚かだった。
 
205号法廷 14時開廷
多くの傍聴人が来ていたが新聞記者はいなかった。被告人はジャージ姿、年齢は60歳、頑固そうな感じの男、スーツでも着れば紳士に見える。
 
被告人は裁判長に促されて証言台に向かった。
冒頭に裁判長に発言を求めて、すぐに発言をした。
 
『私は弁護人の辻孝司に対し懲戒請求を出しました』
 
この被告人は突然何を言い出すのかと・・・
弁護人 辻孝司弁護士【京都はるか法律事務所】
 
被告人はまだ話を続けたいようだが裁判長が遮り、それはまた別に書面で出してくださいと被告人に言った。被告人は『文書ですか・・・』と呟いた。
辻弁護士は国選弁護人、前回裁判を傍聴しましたが何等の落ち度もなく
弁護人として問題のある行為はなかったように思いました。
 
刑事事件の裁判傍聴で被告人が国選弁護人に懲戒請求を出して被告人質問を
受けるというのはあまり例がないのではないでしょうか。冒頭で被告人が弁護人に懲戒出しています。という発言した裁判も聞いたことがない、
なにやら気まずい雰囲気が法廷に漂った。
  
被告人質問(弁護側)
冒頭から波乱含みで国選弁護人は今日の被告人質問をやるのかどうか
心配になりましたが、辻孝司弁護士は被告人に問いかけました。
これも珍しい光景
 
弁護人『今日はこれからあなたに事件についてお話を聞きたいと思いますが答えていただけますか。お話を聞かせていただきますが?』
被告人『話をします』
 
弁護人 『被告人が彦惣弁護士を刺した理由はなんですか』
被告人 『恨みです』
 
被告人は被害者である彦惣弘弁護士(元京都弁護士会長)に離婚事件(調停)を依頼しました。平成20年妻側から離婚調停が出されました。DVによる保護命令も出されました。被告人が証言したのは妻と彦惣弁護士が結託をしていると思った。自宅の差押えや財産分与など妻側の要望に沿ったものである。
離婚の原因は妻の不貞である。なぜ彦惣弁護士は依頼者のために仕事をしてくれないのかと考えるようになった。どうして自分が頼んでいる弁護士が相手のいうことばかり聞くのか?彦惣弁護士と妻がたくらんでいる。財産分与の話もしてくれなかった。家裁に出す陳述書が彦惣弁護士から送られてきたがメモのような走り書きのようなものであった。態度は話し方も被告人は不満だった。
妻の不貞を疑って興信所に妻の行動を調査しましたが報告書には不貞の証拠のような記載はありませんでした。それでも彦惣弁護士から報告書を持ってこいと言われ持って行くと『こんなもん役に立つか!』と言われた。
彦惣弁護士『あんた全部あげちゃえば!』(被告人に対し財産を妻に)
 
被告人は京都弁護士会に苦情を2回申し入れました。
1回は無料相談2回目は有料相談、相談を受けた弁護士は彦惣弁護士とよく話あってくださいというだけでした。被告人は彦惣弁護士と電話で話をしました。(242月)
被告人『何でおれをはめたのか』
彦惣弁護士『何のことや』
彦惣弁護士は謝らず事実を認めない。被告人は彦惣弁護士を解任しました。次の弁護士は普通(被告人の言葉)の弁護士で離婚調停は終わり、自宅の差押も解除され財産分与を行い離婚事件は終了した。しかしほとんど妻の主張通りに決着した。
 
平成256月 被告人は急に人生が嫌になった。
なんでこんな目に会うんだ。ずっともんもんとしていた。しかし何もすることがない。何もできないことに不満がたまった。自分にも責任があるが彦惣にも責任がある。この引き鉄を引いたのは彦惣だ。
 
彦惣弁護士をほんとうに刺そうと思ったのは事件の1週間前、刺すことによって明るみに出したかった。離婚の真実と彦惣弁護士の怠慢な業務、彦惣の裏切り迷うことはなかったが踏ん切りがつくまで1週間かかった。
 
弁護人『どうして包丁ではなくアイスピックなのか』
被告人『死んだら事実を知っているのは自分だけになる。彦惣には生きても     らいたい。証人は死んでもらっては困る』
弁護人『 2回刺したのはなぜですか』
被告人『1回目は何か固いものに当たったようなので2回刺した。3回目はやらなかった。死んでもらっては困る。刺したことで満足している。死なないように大事なところは刺さないようにした。自分で警察に電話した』
弁護人『刺した理由は』
被告人『真実を追求して欲しかった。彦惣がなにをしたか、それが目的』
 
検察側質問についての被告人の証言
彦惣弁護士の不満、解任するに至った理由
『彦惣弁護士は隠れて妻にアドバイスをした。証拠はないが妻と個人的な繋がりがあって結託をしたに違いない』
検察官:『殴ったり蹴ったりではダメだったのか』
被告人;『殴ったり蹴ったりでは新聞に出ない。インパクトがない。刺せば大きく取り上げてくれるだろう、事件を起こして明るみに出して真実の追及をしたかった。死ぬようなことにならないよう内臓に傷をつけないように身体の横から刺した。ちゃんと刺して目的は達成した』
 
被害者参加制度・代理人弁護士の質問に答えて
弁護士の業務に納得がいかないのなら懲戒請求を出すとかしなかったのか
被告人『懲戒請求制度は後で知った』
弁『今後、彦惣弁護士にどうしたいか』
被『これからも(彦惣弁護士と)話をしたい』
弁『会いたくないと言われたら』
被『お金(報酬)を取っておいて知らんとは言わせない』
弁『民事裁判などは』
被『いい弁護士がいたら教えてください』
被『裁判所は真実を追求してください』
 
【次回212日 340分 206号法廷 論告求刑 被告人意見陳述】
 
 という裁判を傍聴してきました。
何という身勝手な被告人でしょうか。こうなったのも弁護士のせい。弁護士刺せば世間が自分を見てくれる。裁判所が離婚の事実を表ざたにしてくれる。弁護士の怠慢な業務を追及してくれる、だから刺した。そんな甘いことを考えていたのか、この被告人はアホじゃないか!結局、被告人のいう事をマスコミも報道するもなく裁判所が彼の言う離婚の真実や彦惣弁護士の怠慢な業務を断罪してくれることもない。今日被告人が述べたことが真実かも分からない。
警察や検察で話を聞いただけ、話しただけで何も進展はあるわけがない。
 
彦惣弁護士を刺したけれど何も明るみにならない。不満はそのままだ!
これは弁護人である辻孝司弁護士のせいだ。
国選弁護人とはいえ依頼者である私の希望が叶っていない。
ということで裁判冒頭の『辻孝司弁護人に懲戒請求を出した』ということです。
まあお気の毒な弁護人です。
 
彦惣弁護士の怠慢な業務はあったと私は思います。元弁護士会長に離婚事件を委任する方が間違っていると思います。元弁護士会長、立命館大学法学部教授。企業の顧問弁護士をされ私の知っている企業でも年間300万円顧問料を支払っています。そんな弁護士に泥どろの離婚事件を委任すること事態被告人の勘違いです。弁護士会長であれば優秀な弁護士だと思うのも大きな勘違いです。 
刺した理由に同情すべき点があったかも知れませんが、国選弁護人の辻弁護士に懲戒請求を出した時点でこの被告人の主張はまったく通りません。
あきれてしまいました。被告人を守ってくれるのが弁護人です。これこそが逆恨みということですが辻弁護士はそれをいう事もできません。それをいうことが被告人の利益にならないからです。よく我慢されたなと思いました。
 
今日の裁判でも辻孝司弁護士は懲戒を出されたと裁判の冒頭で言われ法廷で恥かかされたようなもんです、それでも最後まで弁護人の務めを果たしたということは見事でした。弁護士としての覚悟を見たような裁判でした。裁判終了後辻弁護士と立ち話をしましたが懲戒を出した被告人を悪くいうこともありませんでした。爽やかな弁護士さんでした。
 
もう少しお気の毒な被告人なら嘆願書や陳述書も書こうかと思っていたのですが、こんな愚かだと思いませんでした。あんた好きにしてちょうだい!です。
今日の収穫は京都弁護士会にもちゃんとした弁護士さんがいたことが分かったことです。
   
(事件の報道)2013年8月8日

逆恨み?元京都府弁護士会会長、アイスピックで刺され軽傷
産経新聞 88()2338分配信
 8日午後6時25分ごろ、京都市上京区駒之町の府道で、「男の人が刺されている」と通行人から110番があった。駆けつけた京都府警下鴨署員が、近くにいた同市南区吉祥院新田下ノ向(しんでんしものむかい)町の無職、韓国籍の朴基洙(きしゅ)容疑者(60)を傷害容疑で現行犯逮捕した。
 上京署によると、刺されたのは同市左京区の弁護士、彦惣(ひこそう)弘さん(66)で、市内の病院に運ばれたが軽傷。朴容疑者は「刺したのは間違いない」と容疑を認めているが「弁護士が来るまで何も言わない」と話している。同署では、弁護士業務に関する逆恨みの可能性もあるとみて、動機を詳しく調べている。
 逮捕容疑は8日午後6時25分ごろ、京都市上京区駒之町の府道で、彦惣さんの右脇腹などをアイスピックのようなもので2回刺し、軽傷を負わせたとしている。 彦惣さんは、京都弁護士会の元会長で、現在は立命館大法科大学院教授。