<奈良地裁>弁護士に賠償命令 説明義務違反認める
毎日新聞 7月11日(金)
 勝訴の見込みがない民事訴訟を起こし、弁護士の職務を誠実に遂行しなかったなどとして、元依頼人の男性が村嶋修三弁護士(79)=奈良弁護士会=に対し、約120万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が11日、奈良地裁であった。新阜(にいおか)真由美裁判官は、勝訴の見込みがあるように説明したことを認め、村嶋弁護士に約100万円を支払うよう命じた。村嶋弁護士が「名誉を毀損(きそん)された」として男性に起こした損害賠償請求訴訟は「不当訴訟」と退けた。

判決などによると、男性は2004年、農地の小作権を巡る違約金請求訴訟で解決金を支払って和解したが、その後に和解内容を覆す資料があったとして村嶋弁護士に相談。村嶋弁護士が「何とかなるかもしれない」と説明したため11年に提訴したが、訴えは棄却された。新阜裁判官は「事件の見通しに対する説明として不適切」と指摘し、説明義務違反を認めた。
村嶋弁護士は「判決文を見てから対応する」とコメントを出した。
村嶋修三弁護士は元東京地検検事・元奈良県人事委員・元奈良地裁調停委員・元自民党奈良県支部顧問.奈良弁副会長。
です。既にこの件で懲戒処分が出ています。
懲 戒 処 分 の 公 告
奈良弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 懲戒を受けた弁護士
氏 名          村嶋 修三
登録番号         13949
事務所          奈良市内侍原町6
             村嶋法律事務所
2 処分の内容      戒 告
3 処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は懲戒請求者から懲戒請求者とAとの間で懲戒請求者がAに対し解決金として300万円を支払うこと等を内容とする訴訟上の和解が成立した事件について上記解決金の取戻しを相談され勝訴の見込みがなかったにもかかわらず、あたかも勝訴の見込みが多少あるかのように懲戒請求者を誤解させ事件の見通しについて適切な説明をせず2011913日上記解決金を取り戻す等を内容とする不当利得返還請求訴訟を着金35万円で受任した
(2)被懲戒者は20111031Aに対し上記不当利得返還請求訴訟を提起した。被懲戒者は上記訴訟において上記解決金の受領は不当利得に当たると主張したのみで、和解の効力が否定されるべき理由その他不当利得の根拠について何ら主張及び立証をしなかった。
 (3)被懲戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規定第29
  第1項及び第3項に上記(2)の行為は同規定第5条に違反しいず    れも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失    うべき非行に該当する。
4 処分の効力を生じた年月日
 2013117
20142月1日   日本弁護士連合会

 (弁護士職務基本規定)

第二十九条
 弁護士は、事件を受任するに当たり、依頼者から得た情報に基づき、事件の見通し、処理の方法並びに弁護士報酬及び費用について、適切な説明をしなければならない。
2 弁護士は、事件について、依頼者に有利な結果となることを請け合い、又は保証してはならない。
弁護士は、依頼者の期待する結果が得られる見込みがないにもかかわらず、その見込みがあるように装って事件を受任してはならない。