弁護士の懲戒処分を公開しています
「日弁連広報誌・自由と正義」2015年2月号に掲載された弁護士の懲戒処分の要旨・東京弁護士会・杉山博亮弁護士の懲戒処分の要旨
専修大学8号館1階にある法律事務所
医療過誤事件を受任したが、以下のような事件処理,東弁懲戒委員会もけっこうきついことを書いてあります。
ここまできっぱりと書いてある医療過誤事件での懲戒処分は珍しいものです。それでも戒告です。
懲 戒 処 分 の 公 告
東京弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 処分を受けた弁護士
氏 名 杉山博亮
登録番号 23069
事務所 東京都千代田区神田神保町2専修大学8号館1階
今村記念法律事務所
2 処分の内容 戒 告
3 処分の理由の要旨
①被懲戒者は2009年3月22日懲戒請求者らから、その亡父Aに係る社会福祉法人等を相手方とする医療過誤による損害賠償請求事件を受任したが、受任に際し、受任内容について十分に説明せず、委任契約書を作成しなかった。
②被懲戒者は医学データの検討及び専門家医師の意見聴取をせず、その他合理的な理由がないにもかかわらず、2009年3月24日付け通知書による最初の受任等の通知から約4か月間示談交渉の申し入れをせず、同年9月13日頃に調停申立ての方針が決まってから約5か月半調停の申立てをせず2010年7月1日頃訴訟提起の方針が決まってから約5か月半訴訟提起をしなかった。
③また被懲戒者は2009年11月15日に懲戒請求者らから調停申立ての進捗状況につき報告を求められたが2010年1月31日まで報告をせず、さらに同年9月6日に進捗状況の定期的な報告を求められたが同年11月20日まで報告をしなかった。
④被懲戒者は2010年2月24日頃、懲戒請求者らから医療過誤事件に精通した他の弁護士の紹介を求められ、また同年9月23日にも医療過誤事件に精通した弁護士と共同受任するよう求められたところ自ら事件を遅滞なく処理できる状態になく、他の担当の勤務弁護士にも医療過誤事件の患者側弁護士に期待される善管注意義務を尽くして延滞なく適切に事件処理できるだけの時間と経験がなかったにもかかわらず、医療過誤事件に精通し、又は医療過誤事件に相当経験のある弁護士を懲戒請求者らに紹介し、当該弁護士と共同受任するよう努力しなかった。
⑤被懲戒者は2010年9月24日にAの全診療記録の情報開示請求をし、同年11月2日にこれを入手するまで、示談交渉申し入れ前のみならず、調停申立てをするに当たっても、Aの死亡前3か月間の診療記録を収集して分析及び検討することをせず、また因果関係が争点となることが当然予想されたにもかかわらず、上記訴訟を提起する前に専門医師等に相談して因果関係に関する医学的知見について聴取する等必要な調査及び検討をしなかった。
⑥被懲戒者は訴えの提起前に懲戒請求者らに対して専門家医師から意見聴取をすることの有用性等について説明して医学的文献等の調査では因果関係の根拠となる医学的知見を獲得できていないとこと、それにもかかわらず専門家医師等から意見聴取をしない方針であること及びその理由並びにこの訴訟方針を採用した場合の不利益等の説明をせず、また訴え提起前に専門家医師等から意見聴取をしなかった。
⑦ 被懲戒者は訴え提起前になすべき調査活動をしないまま訴えを提起したことにより、第1回弁論準備手続期日から辞任に至るまでの8か月、認否及び反論を準備できなかった。
⑧被懲戒者の上記各行為を包括的に評価すれば弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4 処分の効力を生じた年月日 2014年11月5日 2015年2月1日 日本弁護士連合会