業務停止の懲戒処分を受けている間に弁護士業務を行ったなどとして、県弁護士会(若狭昌稔(わかさあきとし)会長)が同会所属の松本勝(まつもとまさる)弁護士を業務停止2年の懲戒処分にしたことが3日、関係者への取材で分かった。松本氏は宇都宮市内のカラオケハウスの一室を借り事務所の女性職員を勤務させたほか、別の弁護士に引き継いだはずの業務について書面を作成していたという。同会の懲戒委員会は「厳格に守るべき職務上の基本的義務に違反する違法性の強い非行」と判断。業務停止期間の中で2年は最長という。
懲戒委が6月に行った「業務停止2年が相当」との議決を踏まえ、県弁護士会は同月23日付で処分を決定。
懲戒委の議決書によると、松本氏は2011年4月、業務停止4カ月の懲戒処分を受けた。直後にカラオケハウスの一室を借り、コピー機などを搬入。女性職員2人が継続して勤務させた。別の弁護士に仕事の引き継ぎを依頼したが、土地登記簿をめぐる訴訟の準備書面の原稿を松本氏が作成。女性職員が書面を作り、別の弁護士名で宇都宮地裁に提出されたとされる。 また松本氏は和歌山地裁などの案件で、08~09年、計約180万円を預かり金として保管しながら清算せず、依頼者側に返還しなかったとされる。 懲戒委は、「弁護士業務を行った」と判断。預かり金の問題を含め「弁護士の品位を害する非行に該当し懲戒が相当」などとした。
一方、松本氏は取材に対し「(業務を)ほかの先生に引き継いでもらったが分からないこともあるので、意見を言って手伝ったことは認める」とした。処分について納得できないとし「異議申し立てをするつもりだ」と話した。