弁護士自治を考える会
弁護士の懲戒処分を公開しています、「日弁連広報誌・自由と正義」2015年9月号に掲載された弁護士の懲戒処分の要旨・沖縄弁護士会・比嘉正憲弁護士の懲戒処分の要旨
預かり金3億円を預かって約1億円を弁護士報酬とした。依頼者から訴訟提起されで返還命令が出た、その後、逮捕
元弁護士7590万横領で逮捕
沖縄市の85歳の元弁護士が、依頼人から預かった土地の売却金のうち、およそ7590万円を着服したとして、業務上横領の疑いで逮捕されました。 元弁護士は、「報酬として受け取った」と容疑を否認しているということです。 逮捕されたのは、沖縄市園田に事務所を開いていた元弁護士、比嘉正憲容疑者です。
警察によりますと、比嘉元弁護士は、平成18年から平成21年にかけて、土地の売却金として依頼人から預かったおよそ3億円のうち、7590万円を着服したとして業務上横領の疑いがもたれています。 依頼人からの相談を受けて警察が調べたところ、比嘉元弁護士が、預かり金の口座からおよそ200回にわたって、現金を引き出していたことがわかったということです。比嘉元弁護士は、4年前、那覇地方裁判所から売却金の返還を命じる判決を言い渡されていて、ことし5月、沖縄弁護士会から、懲戒処分の中で最も重い除名処分を受けています。警察によりますと、調べに対し比嘉元弁護士は、「報酬として受け取った」などと供述し、容疑を否認しているということです。 警察は、事務所から押収した書類を確認するなどして金の使い道や詳しい経緯を調べています。7月16日 以上NHK沖縄 相手からも報酬を取れる。法にあるという比嘉弁護士のお言葉
5月29日 除名処分の報道 沖縄タイムス 5月29日付朝刊
『比嘉弁護士を除名処分』沖縄弁護士会 『依頼者へ1億円返さず!』
沖縄弁護士会(阿波連光会長)は28日、米軍用地などの売却金の一部約1億円を依頼者に返さず弁護士報酬の説明や契約が適切でなかったとして会員の比嘉正憲弁護士(85歳)を除名処分にしたと発表しました。阿波連会長は『市民の信頼を裏切ってしまい、申し訳わけない』と謝罪した。弁護士会によると比嘉弁護士は依頼人ら6人から遺産分割と軍用地など2件の土地の売却依頼を受け2005年2月までに売却。代金のうち約2億9千万円を預かったが所得税などの税金と依頼者への一部返金を差し引いた約1億876万円を依頼者に返金しなかったとされる。懲戒委員会で比嘉弁護士は『残高のうち約6500万円は正当な報酬だ』などと主張したが懲戒委は『慣例などに照らして高すぎる』と認定。さらに報酬以外についても『明細がない』とした。また福岡高裁那覇支部で依頼人の相続人に対し約8500万円の返還が確定したが比嘉弁護士はほとんど応じていないという。
2014年8月 1億円の預り金を不明にした比嘉弁護士
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懲 戒 処 分 の 公 告
沖縄弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1処分を受けた弁護士氏名 比嘉正憲
登録番号 13307
事務所 沖縄市園田1-1
比嘉正憲法律事務所
2 処分の内容 除 名
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は2002年10月頃までの間にAらから遺産分割調停申立事件を受任して2003年12月2日に調停を成立させた後、2004年から2005年にかけて上記調停により取得した土地の売却手続き2件の委任を受け、それらの売却代金から売買に係る経費を除いた残金等合計2億9738万5000円を預かり保管した。被懲戒者は2005年初頭にはほぼ受任事務が終了していたにもかかわらず、預り金から支出した経費等の明細、預り金の残高等の説明をせず、2010年12月頃Aの相続人である懲戒請求者らから預り金の返還を求められたのに、支出した経費等を控除した残額1億0876万4831円について受任事務の弁護士報酬等として極めて過大な金額を主張してこれを返還していない。
被懲戒者の上記行為は弁護士職務基本規定第44条に違反し弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
被懲戒者の預り金の管理方法が極めて杜撰であること、報酬についての説明をしておらず報酬契約も締結していないことを考慮し、除名を選択する。
4処分が効力を生じた年月日2015年5月28日 2015月9月1日 日本弁護士連合会