懲戒処分:弁護士を1年間の業務停止 依頼者に1000万円返還せず /大分
毎日新聞 2015年11月05日 地方版
県弁護士会(西畑修司会長)は4日、依頼者から預かった1000万円を返還しなかったなどとして、大分市の秦文生弁護士(60)を弁護士法に基づき業務停止1年の懲戒処分にしたと発表した。1日付。秦弁護士への懲戒処分は昨年11月と今年4月に続き3回目。
同会によると、秦弁護士は県内の女性から不動産の処理を依頼され、2008年5月19日、土地の売却代金1230万円を預かった。その後、約200万円を返却したが、残りの約1000万円を返還していないという。また、同会が昨年10月、日弁連の規定に基づいて、依頼者からの預かり金の保管状況を照会請求したが、回答しなかったとしている。
今年1月、女性からの相談で発覚した。ただ、秦弁護士はうつ病と診断を受けており、同会の聴取にも1月の1回しか応じていないという。同会は相談窓口(097・536・1458)も設けている。【佐野格】
【弁護士自治を考える会】
秦弁護士3回目の懲戒処分となりました。停止機関が明ければまた弁護士業務が再開できるということです。
過去の報道と懲戒処分の要旨です。
1回目
和解金など不適切処理で弁護士を処分(11/17
裁判の和解金などを適切に管理していなかったとして、県弁護士会は大分市の59歳の男性弁護士を業務停止6か月の処分としました。処分を受けたのは大分市明野南に事務所を置いている男性弁護士です。県弁護士会によりますと男性弁護士は、2012年以降に担当した3件の損害賠償請求訴訟で、原告に相談をしないまま和解を成立させ、自分の口座にあわせて1000万円あまりを振り込ませました。その上、弁護士は裁判所から口座の仮差押決定を受ける去年11月まで原告に和解金を返還していなかったということです。また、この弁護士は裁判所の選任を受けた不動産の売却をめぐって、管理していた預かり金、900万円あまりを紛失していたこともわかりました。県弁護士会はこれらの行為が弁護士法違反に該当するとして今月13日付けで男性弁護士を業務停止6か月の処分としました。
(OBS大分放送)
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懲戒処分の通知も届かないようです。
【平成27年2月27日 官報】
『公示送達』
秦文生氏が本会から送達を受けるべき下記書類は本会が保管しており申出
があればいつでも交付します。なお日本弁護士連合会懲戒委員会及び懲戒手続に関する規程第12条第3項の規定により本会がこの旨を本会掲示場に掲示した平成27年2月27日の翌日から起算して14日を経過したときに下記書類の送達があったものとみなします。
日本弁護士連合会懲戒委員会平成27年懲(異)第2号申出事案の
審査開始通知
平成27年2月27日 日本弁護士連合会
そして今度は業務停止4月の懲戒処分、1回目より2回目が軽くなるという処分の出し方です。5月1日に報道がありました。
2回目
昨年懲戒処分の弁護士 新たに業務停止
2015年5月1日(金)
(大分合同新聞)
離婚訴訟で反訴を起こすよう依頼されたのに起こさなかったなどとして、県弁護士会は30日、同会所属の秦文生弁護士(60)=大分市=を新たに業務停止4カ月の懲戒処分にしたと発表した。処分は26日付。不在者財産管理人として管理していた金銭を適切に取り扱わなかったなどとして、同会は昨年11月にも秦弁護士を業務停止6カ月の処分にした。その後の調査で他に非行行為があったと認定した。
同会によると、弁護士は2012年、離婚訴訟で訴えられた夫側の代理人になり、妻側に慰謝料などを求める反訴を起こすよう依頼された。しかし、弁論終結までに提起せず、昨年4月に判決期日が指定されたのに、こうした経緯を夫に伝えなかった。和解を希望していた夫に、和解できるかのような虚偽の説明をしていた。
さらに離婚までの生活費を夫が支払うとの審判が出たのに、弁護士は知らせなかった。夫は裁判所から178万円の支払い勧告を受け、初めて審判の確定を知った。弁護士は夫に178万円の賠償を約束したものの、支払っていない。夫は昨年5月に懲戒請求した。 弁護士には精神疾患があるという。同会が今回の件で求めた弁明書は提出されなかった。 会見を開いた西畑修司会長は「誠に残念。職務放棄のような事案で、病気が影響したかは本人が来ないのではっきり申し上げられない」とした。
同会によると、弁護士は2012年、離婚訴訟で訴えられた夫側の代理人になり、妻側に慰謝料などを求める反訴を起こすよう依頼された。しかし、弁論終結までに提起せず、昨年4月に判決期日が指定されたのに、こうした経緯を夫に伝えなかった。和解を希望していた夫に、和解できるかのような虚偽の説明をしていた。
さらに離婚までの生活費を夫が支払うとの審判が出たのに、弁護士は知らせなかった。夫は裁判所から178万円の支払い勧告を受け、初めて審判の確定を知った。弁護士は夫に178万円の賠償を約束したものの、支払っていない。夫は昨年5月に懲戒請求した。 弁護士には精神疾患があるという。同会が今回の件で求めた弁明書は提出されなかった。 会見を開いた西畑修司会長は「誠に残念。職務放棄のような事案で、病気が影響したかは本人が来ないのではっきり申し上げられない」とした。
(懲戒処分の要旨 2回目)
懲 戒 処 分 の 公 告
大分県弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 懲戒を受けた弁護士
氏 名 秦 文生
登録番号 22419
事務所 大分市明野南2
秦文生法律事務所
2 処分の内容 業務停止4月
3 処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は2012年4月頃、懲戒請求者から離婚等請求事件を受任し同年9月末までに反訴提起の依頼を受けたにもかかわらず弁論が終結した2014年2月25日までに反訴を提起しなかった。
(2)被懲戒者は2014年4月に解任されるまでの間、懲戒請求者に対し上記(1)の事件に関し反訴提起をしていないこと、和解交渉の経過等について適切な説明をおこなわなかった。
(3)被懲戒者は2012年12月頃懲戒請求者から婚姻費用分担請求事件を受任したが懲戒請求者に対し審判になった場合の見通しを説明せず、2013年12月10日に懲戒請求者が婚姻費用を支払う内容の審判が出されたことを報告せず懲戒請求者が2014年3月28日に家庭裁判所から受け取った履行勧告書について説明を行ななかった。
(4)被懲戒者は懲戒請求者に対し上記(3)の事件について178万円の損害賠償を行うことを約束し紛議調停手続においても上記金員を2014年9月末日までに準備する旨の書面を作成したが、その支払を行わなかった。
(5)被懲戒者の上記行為は弁護士職務基本規定第35条に違反し上記各行為は、いずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4 処分が効力を生じた年月日
2015年4月26日 2015年8月1日 日本弁護士連合会
懲戒処分の要旨 1回目
懲 戒 処 分 の 公 告
大分県弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 懲戒を受けた弁護士氏 名 秦文生 登録番号22419 事務所 大分市明野南2-22
秦文生法律事務所
2 処分の内容 業務停止6月
3 処分の理由の要旨
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被懲戒者は1994年12月21日家庭裁判所によりAの不在者財産管理人に選任されたが家庭裁判所から報告書、財産目録等の提出を繰り返し求められたにもかかわらず、これらを提出しなかった。また被懲戒者はAの不動産共有持ち分を売却し1996年7月30日に744万円を1997年6月26日に174万円を受領したにもかかわらず、これを自己の金員と区別し、預り金であることを明確にする方法で管理しなかった。さらに被懲戒者は2013年7月2日に不在者財産管理人を解任されたが、後任の不在者管理人から上記売買代金の引き継ぎを求められたにもかかわらず、同年8月9日から同月29日にかけて利息相当額を含む合計927万4389円を借入金によって引き継ぐまでこれを行わなかった。
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被懲戒者は懲戒請求者から紹介を受けた複数の依頼者から交通事故に係る損害賠償請求訴訟事件を受任し2013年7月30日から同年9月19日にかけて、いずれも裁判上の和解を成立させたが、和解するに当たって依頼者らの同意を得なかった。また被懲戒者は和解成立後においても速やかに和解内容を報告して、その内容を説明しなかった。さらに被懲戒者は各事件に係る和解金として被懲戒者の預り金口座に同年8月5日から同年10月4日にかけて合計1045万円の振込送金を受けたが、和解金の入金について速やかに依頼者らに報告せず、同年11月12日及び同月21日に依頼者らに和解金を送金するまでこれを返還しなかった。
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被懲戒者の上記行為は弁護士職務基本規定第38条及び第45条に上記(2)の行為は同規定第36条、第44条、第45条に違反しいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。4 処分の効力を生じた年月日 2014年11月13日 2015年2月1日 日本弁護士連合会