弁護士の懲戒処分を公開しています
「日弁連広報誌・自由と正義」2015年11月号に掲載された弁護士の懲戒処分の要旨・第二東京弁護士会・本田洋司弁護士の懲戒処分の要旨
過去に弁護士が詐欺で逮捕起訴されたことは多くあります。
しかし、最初から詐欺をしようということではなく結果的に詐欺になってしまったケースがほとんどです。事件放置をして依頼者から着手金の返還を求められ他の依頼者の預り金を流用した。そして自転車操業になって詐欺となってしまった。
ところが本田洋司弁護士の場合は違います。詐欺団を結成して当初から詐欺を働いたのです。しかも役割分担まで決めてまるでドラマのような事件でした。
私も東京までこの裁判を傍聴しに行きました。本田は無罪を主張していました。売り物でもない国有地を売り物だと購入希望者から手付金などを取りまだですかと求められれば今やっている。詐欺だなどと騒ぐな黙っていなければ土地が取得できないと脅した。中原が客を集め若林がフイクサ―として登場し本田が弁護士としてこの取引は間違いないと念を押す。売主からの委任状や法人の印鑑証明まで偽造し弁護士の名刺を出せばほとんどの人が騙されれます。しかも弁護士の事務所で商談が行われるのですからプロの不動産業者が騙されるのです。
本田洋司弁護士(二弁)詐欺・懲役10年の判決
国有地の架空取引を持ち掛けて9億円超をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた元日弁連常務理事の弁護士本田洋司被告(82)ら3人の判決が30日、東京地裁であり、室橋雅仁裁判長は本田被告に懲役10年(求刑懲役12年)を言い渡した。共犯者の会社役員中原利浩被告(52)は懲役14年(求刑懲役15年)、無職若林秀世被告(77)は懲役8年(求刑懲役10年)とした、主犯の中原は過去にも詐欺で逮捕歴があります。若林はジャーナリストという肩書ですが前科のある詐欺師です。中原が国有地を払い下げする紹介会社を作り若林が募集をしていく。本田が私が任されていますと偽造した委任状を見せて購入希望者を安心させる。所有権移転まではできませんから手付金やコンサル代として購入者から騙しとる。購入者がまだですかという問い合わせが来たらもう少し待てとか、もっといい物件がある。と紹介しまた手付金をだまし取る。
舞台は国会近くの高級ホテルの最高級の部屋や上野公園近くの高級マンションを貸し切って購入者を安心させる。
実際に騙されたのは東京のや静岡の中堅不動産会社等数社、都内の用地は喉から手が出るくらいに欲しい。特別に御社だけ、国有地の払い下げが取得できるとなれば騙される。しかも、この詐欺軍団の頭がいいのは直接に購入希望者にアタックしない。偽情報をひとつの業者に言えば、次々と広がる。そして購入希望者が信頼を寄せている会社に行く、情報元は誰か分からない。東京の業者が情報をもらったのは外資系の証券会社。証券会社が持ってきた情報は疑う余地もない。購入希望者が見つかったら今度は逆回りにかの不動産業者やコンサルタント業に連絡があり中原。若林が会い面談し真実味を持たせるために本田弁護士が登場するのです。本田の法律事務所で偽造された委任状を見せられたら誰だって信用します。
東京都内の不動産会社が、国有地の架空取引で詐欺罪に問われた元日本弁護士連合会常務理事の弁護士、本田洋司被告(80)に対し、別の国有地購入の売買交渉を委任したのに取引が成立しなかったとして3億円の賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は11日、本田被告に全額の支払いを命じた。本田被告は手付金として受け取った3億円を国に納入したと主張したが、小林久起裁判長は「客観的な証拠がなく、金の所在も不明」と退けた。 提訴したのは渋谷区の「シマダアセットパートナーズ」。判決によると、同社は2011年9月、財務省が所有する東京都品川区の郵政宿舎の土地建物を巡り、交渉の委任契約を本田被告と締結。3億円を支払ったが、実際には取引は成立していなかった。 本田被告は静岡県内の国有地の架空取引で浜松市の住宅販売会社から1億7000万円をだまし取ったとして起訴され、同じ会社から他にも約2億円をだまし取ったとして詐欺容疑で警視庁に再逮捕されている。
読売の記事
「国有地を特別に安く売ります」
という詐欺は目新しいものではない。この事件の特徴は、実在するRFO(独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構)という機構が「仲介」すると騙り、「国側の取引の立ち会い」として本田洋司をはじめとして実在する弁護士が関与した点。 第一回刑事裁判では、この事件の主犯である中原利浩、若林秀世(鏡水)、本田洋二弁護士が犯行に至った経緯と犯行状況が検察側より述べられていた。 RFOが仲介するように仕立てて、国有地払い下げの詐欺を行ったのは、中原らが最初ではありません。2009年に浅倉友利という男がRFOが仲介で日本郵政の物件を売るといった詐欺で逮捕され、懲役6年の実刑判決がおり、現在服役中。 今回の事件の主犯、中原利浩と若林秀世は浅倉友利の配下でこの事件に関わっていた。いわば浅倉事件の残党である。
<刑事裁判で検察が述べた犯行に至る経緯>
郵政民営化に伴い、H18年10月頃から浅倉は、複数の不動産会社に対し、郵政物件を随意契約で安く購入できるなど持ちかけ、仲介手数料名目などで金をだまし取ることを繰り返していた。浅倉は、不動産業者らに詐欺の営業を続けていたのだが、ひっかかる不動産業者が少ないため、H20年7月頃までには、RFOを間にカマせる手口を思いつく。中原は浅倉からこのアイディアを聞き、これに加担することを決め、H20年7月30日にRFOの印鑑を勝手につくった(注文して購入したのは中原)。浅倉の指示に従い、売主をRFO、買主を浅倉に指示された不動産業者とする売買契約書等を作成して、浅倉に渡すようになった。
若林はH19年11月頃から浅倉に郵政物件の購入を希望する不動産業者を紹介し、H20年7月頃からは取引が不正だと認識しながら、郵政物件の購入を希望する不動産業者を紹介し、手数料などを得ていたが、H21年9月16日、浅倉が詐欺罪で警察に逮捕されたことを知り、浅倉が進めていたRFO関連の取引が詐欺であることを認識した。
H21年9月18日。若林はRFOの担当者に面会し、RFOが郵政物件を売る法的権限がないことをなどを確認した。遅くともこの頃には若林が浅倉のRFO関連の取引は嘘であることに気づいていた。しかし若林は詐欺の報酬目当てでH22年はじめ頃、(刑務所の)浅倉に面会に行き、浅倉から中原を頼るように言われ、中原と会う。
この後、若林は中原と2人で不動産業者に対してRFOの名前を騙った詐欺を続け、金を騙し取ることを続ける。
本田弁護士は、知人を通じて若林、中原と知り合い、H22年8月頃から、中原や若林のやっていた嘘の不動産売買契約の複数に立ち会うようになる。本田はRFOを訪れ、担当者と面会。RFOを売主とする不動産売買契約書が偽造されたものであることを聞き、遅くともこの頃までには、中原らの取引が嘘であることを認識した。しかし、その後も金ほしさから、弁護士の信頼を悪用して、嘘の売買契約に立ち会い続けた。
RFOは厚生年金関係の施設を運営、売却する機構だが、今回の架空取引に使われた日本郵政やKKRなどの物件を売却する法的な権限はない。この詐欺団が使用した売買契約書には売主がRFOとなっていたが、日本郵政等の物件の売主にRFOの名前が記載されることはあり得ない。それだけでその契約書は「無効」である。
浅倉が逮捕された時、中原は事情聴取を受けていたようだ。しかし浅倉がかばったため中原は逮捕を免れたと言われている。今度は自分が主犯として新たな詐欺に手を染めた。検察の主張の通りなら、刑務所に収監されている浅倉の助言で中原と若林のタッグが誕生したことになる。今回の詐欺事件の被害者は相当数にのぼっているようだ。過去の中原と若林のように、主犯の配下で事件に関与した人間も数多いと言われている。残党が新たな詐欺事件を起こさないためにも、今回はできるだけ多くの関係者に法の裁きが下るよう願いたい (2003年3月6日朝日
本田 洋司
<学歴>
昭和26年長崎県立長崎西高等学校卒。昭和35年中央大学法学部卒。昭和44年司法試験合格。昭和47年3月司法修習生の修習終了。
<職歴>
昭和26年4月長崎家庭裁判所に勤務。昭和33年1月東京地方裁判所書記官補。昭和35年9月最高裁判所第一小法廷書記官。昭和45年3月退官。昭和47年4月弁護士登録(第二東京弁護士会所属)荻野陽三法律事務所勤務。昭和50年1月独立して事務所開業、現在に至る。
<主な仕事歴>
昭和47年から平成13年まで、東京都の都民のための法律相談担当。現在台東区の区民のための法律相談担当。昭和50年スモン訴訟原告弁護団に参加。
<事務所の仕事>
顧問先として、銀行、建設会社、運輸会社、商事会社等。
<弁護士会の役職>
平成3年民暴対策委員長。平成5年第二東京弁護士会副会長。平成6年日本弁護士連合会常務理事。平成14年関東弁護士会連合会副理事長。平成16年第二東京弁護士会常議員会議長。
<役所関係の仕事>
東京地方裁判所調停委員。司法委員。東京都下水道局委員。平成12~16年国家公安委員会専門委員。
懲 戒 処 分 の 公 告
第二東京弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 処分を受けた弁護士
氏 名 本田 洋司
登録番号 12900
事務所 東京都中央区京橋2
本田法律事務所
2 処分の内容 除 名
3 処分の理由の要旨
①被懲戒者はAらと共謀して2011年1月31日独立行政法人Bを売主、懲戒請求者を有限会社Cを買主、被懲戒者を立会人とし独立行政法人Bの偽造された印鑑が押印された不動産売買に関する契約書を示すなどして東京都所在の土地を購入できると懲戒請求者C社を誤信させ同日懲戒請求者C社から売買代金名下に5000万円を詐取した。
②被懲戒者はAらと共謀して2011年8月19日独立行政法人Bを売主、懲戒請求者Dが代表取締役を務める株式会社Eを買主とし独立行政法人Bの偽造された印鑑が押印された不動産売買に関する契約書に立会人として押印するなどして静岡県所在の土地を購入できるとE社を誤信させ同日E社から売買代金名下に3500万円を詐取した。
③被懲戒者はAらと共謀して2012年10月19日独立行政法人Bを売主懲戒請求者株式会社F及び懲戒請求者Gを買主とし独立行政法人Bの偽造された印鑑が押印された不動産売買に関する契約書に立会人として押印された不動産売買に関する契約書に立会人として押印するなどして神奈川県所在の土地を購入できると懲戒請求者F社及び懲戒請求者G社を誤信させ同日、懲戒請求者F社及び懲戒請求者G社から売買代金名下に3000万円を詐取した。
④被懲戒者の上記行為はいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4処分が効力を生じた年月日 2015年7月22日 2015月11月1日 日本弁護士連合会