弁護士ら2人、審理差し戻し=脱税事件で一審無罪—東京高裁
他に罪に問われたのは、元妻の公認会計士小谷万里子被告(65)。2人は平被告が個人事業として行った不動産取引を多数の赤字会社による取引に装い、2004、05年の同被告の個人所得を隠し、所得税約8億円を脱税したとして起訴された。
小谷容疑者が債権者への返済を免れるため、赤字会社を使った脱税に走った疑いがあるとみている。小谷容疑者は、1978年に名古屋市で設立された不動産会社「志摩」を実質的に経営。不動産取引に乗り出したが、バブル崩壊で業績が悪化し、99年、同社は宅地建物取引業を廃業した。
同社はピーク時で銀行などから計約3000億円を借り入れており、小谷容疑者は、同社の借り入れの際に連帯保証をしており、多額の債務を抱える結果となった。
実際に利益を得たり、代金を払ったりしているのは元妻で公認会計士の小谷万里子容疑者(59)が役員を務める「錦町商会」(東京)など6社だった。これらの会社間で資金の貸し借りをしており、小谷容疑者は、支払利息によって赤字を装うなどして、約7億6900万円を脱税した疑いが持たれている。
(2010年2月24日10時26分 読売新聞)
8億円脱税に「無罪」、ダミー会社使った不動産投資
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最終更新:2014年05月21日
不動産取引で得た所得約21億円を隠し、所得税約8億4400万円を脱税したとして、所得税法違反の罪に問われた弁護士の小谷平被告(72)、妻で会計士の万里子被告(63)の判決公判が21日、東京地裁(鹿野伸二裁判長)で行われ、「犯罪の証明がない」などとして2人に無罪(平被告:求刑懲役3年6月、罰金2億5000万円、万里子被告:同2年)を言い渡した。
実質的にペーパーカンパニーに近い赤字法人を利用した不動産取引が、平被告の個人事業として行ったものか、法人事業として行ったかが争点となった。東京地裁は結果的には、この事件については無罪を言い渡したものの、取引のスキームに疑問も呈する場面もあり、グレーな印象を残すものとなった。
小谷平被告は東京弁護士会の弁護士、妻の万里子被告は会計士。法律と会計をよく知る2人が実行したスキームだが、平被告は78年に名古屋市の不動産取引会社「志摩」を設立し、株式の先物取引や不動産の売買を行っていた。バブル期には規模を大きく拡大していたが、バブル崩壊後は多額の債務を出しており、数十社を使って売買を繰り返すなどした。
会社には妻や長男を役員に付けたりするなどしていた。実態としてはペーパーカンパニーに近いもので、2004年、2005年にわたって不動産取引の利益22億円余りを隠して、約8億4400万円を脱税したとされた。あまりに露骨とも言えなくもないが、こうした取引を検察側は問題視していた。
検察は、平被告が不動産取引の意思決定に関わっていたり、また、意図を持って法人から顧問料など給与所得を受け取っていたことを問題視し、脱税の意図があったとした。
しかし、鹿野裁判長は「取引の主体は法人。名義などは契約の際の諸事情を考慮するもの」とした。また、不動産投資が会社の事業目的として登記されていない場合でも「(不動産投資の)目的はないが、営利企業の購入は合理性がないとは言えない」としている。