弁護士会会報【リブラ】12月号


ネットでも会報を見ることができます。「懲戒処分の公表」は見れません。東京弁護士会の会員の処分の公表のみです。この後、日弁連広報誌「自由と正義」に懲戒処分の要旨が掲載されます。
       懲戒処分の公表
本会は下記会員に対して弁護士法第57条に定める懲戒処分をしたので、お知らせします。
           
被懲戒者      杉山博亮
登録番号      23069
登録上の事務所 東京都千代田区神田神保町3
        杉山法律事務所
懲戒の種類   業務停止1月
効力の生じた日 2016年10月18日

      【懲戒理由の要旨】

(1)被懲戒者は2018年8月懲戒請求者A、懲戒請求者B(以下「懲戒請求者ら」という)及びCの3名について長野県内において多数回にわたる
住居侵入、窃盗共犯事件(以下「本件刑事事件」という)の弁護人に就任したものであるが、懲戒請求者らとの間で委任契約書を作成しなかったのみならず、着手金、報酬金の外、懲戒請求者が勾留され公判手続きが行われる長野県内に出張する際の日当等の弁護士報酬及び交通費、宿泊費、通訳費用、記録謄写代等の実費について、その概要に関し極めて不十分な説明しかせず、更には依頼者からの金銭の支払い及び弁護士報酬や実費への充当に関し適正な管理及び清算を怠ったものである。
(2)被懲戒者は本件刑事事件に関し懲戒請求者ら及びCの3名から弁護士報酬及び実費として受領した金銭は総額508万3938円であるところ、本件刑事事件を処理するために被懲戒者が、解任されるまでの間に長野に出張した回数15回で徐すると1回あたりの金銭は33万8929円となる。
他方で被懲戒者が解任された時点において、被懲戒者は公訴事実について認める旨の罪状認否しか行っておらず、上記接見の外には被害者との示談、証人尋問、被告人尋問、弁論等一切行っていなかった。このような本件刑事事件の難易度、進捗状況、費やした被懲戒者の時間及び労力を勘案すると被懲戒者は適正かつ妥当な弁護士報酬とは言い難い高額な弁護士報酬及び実費を受領したものである。
(3)被懲戒者の上記行為は、弁護士法第56条第1項に定める弁護士の品位を失うべき非行にあたる。
2016年11月11日  東京弁護士会会長  小林元治