弁護士自治を考える会
弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌〈自由と正義〉2016年12月号に掲載された弁護士懲戒処分の公告
第一東京弁護士会の野澤渉弁護士の懲戒処分の要旨
 
処分理由・成年後見人でありながら、関係者に対し名誉感情を損なう違法な行為を行った
懲 戒 処 分 の 公 告


 第一東京弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下の通り通知を受けたので懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 懲戒を受けた弁護士
氏名       野 澤 渉 
登録番号     32203
事務所 東京都中央区銀座1    
    野澤渉法律事務所  
2 処分の内容   戒 告
3 処分の理由
被懲戒者は懲戒請求者から懲戒請求者がその夫であったAの相続に関して、税理士の助言によりAの子であり懲戒請求者とは親子関係がなく統合失調症であったBと懲戒請求者自身の実印を押印して遺産分割をやり直すためにBの成年後見人に就任してほしい旨依頼され、これを受任して裁判所よりBの成年後見人に選任されたところ、懲戒請求者がBの権利を侵害するおそれをよく認識しないまま上記遺産分割協議書を作成する等したもので、Aの遺産を不当に取得しようという意思もBの権利を侵害することになるとの認識もなく、Bの人格を無視して不当に扱ってきた事実は認められないことを知っていたにもかかわらず、2011年12月20日、それまで単なる事件の相手方とは次元の異なった信頼関係を築いてきた懲戒請求者に対し、Bについてその人格を無視して不当な扱いがなされてきたことへの反省などと記載され、名誉感情を著しく害する記載を含む書面を交付し、またその後にBの成年後見人として被懲戒者が懲戒請求者を相手方として申し立てた遺産分割調停において、2012年9月12日付け準備書面により、調停における正当な活動として許容される範囲を逸脱して懲戒請求者を情状悪質な犯罪者であるなどと強く非難する等、懲戒請求者の名誉感情を著しく損なう違法な行為を行った。
被懲戒者の上記行為は弁護士職務基本規定第5条第6条に違反し弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する
4 処分の効力を生じた年月日 2016年7月25日 2016年12年1日   日本弁護士連合会
 
〈弁護士職務基本規定〉
(信義誠実)第五条 弁護士は、真実を尊重し、信義に従い、誠実かつ公正に職務を行うものとする。
(名誉と信用)第六条 弁護士は、名誉を重んじ、信用を維持するとともに、廉潔を保持し、常に品位を高めるように努める。