弁護士の懲戒処分を公開しています。
日弁連広報誌「自由と正義」2017年6月号に掲載された弁護士の懲戒処分の要旨・埼玉弁護士会・東由明弁護士の懲戒処分の要旨
懲戒処分で一番厳しい除名処分です。
懲 戒 処 分 の 公 告

埼玉弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規程により公告する。

      記
1処分を受けた弁護士 氏名 東 由明 
           登録番号 15422
 事務所  埼玉県川越市広栄町3  
弁護士法人東法律事務所
2【処分の内容】 除 名
3 処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は、2010年頃、懲戒請求者A株式会社からBに対する店舗造作譲渡代金2138万円の請求訴訟を受任し、同月4月に訴えを提起し、同年6月にBとの間で月額15万円の分割払いの和解を成立させたが、和解金の一部を受領したことやその後の分割払いの支払状況について懲戒請求者A社に報告せず、受領した和解金の一部を返還しなかった。また被懲戒者は2013年10月10日、懲戒請求者A社から200万円を借り入れ、これを返済しなかった。
 
(2)被懲戒者はCから不動産の所有権確認訴訟を提起された懲戒請求者Dから上記訴訟を受任したが2010年12月16日、懲戒請求者Dと十分協議することなくCに合計1500万円を支払う旨の和解を成立させた。その後、被懲戒者はCが懲戒請求者Dに対して上記和解金の支払等求めて提訴した訴訟について懲戒請求者Dから受任したが口頭弁論期日に出席しなかった。さらに被懲戒者はCを相続したEが懲戒請求者Dが上記和解金を支払わなかったことによる損害として528万0450円を請求する訴訟について懲戒請求者Dから受任したが、懲戒請求者Dの承諾を得ることなく請求を認諾した。また被懲戒者は上記3件の訴訟に関し、委任契約書を作成しなかった。さらに2014年10月15日被懲戒者はDに対しEに同年11月末日限りに500万円を支払うこと及び懲戒請求者Dに同日限り1500万円を支払う旨の誓約書を作成したが履行しなかった。
 
(3)被懲戒者は2012年7月17日、懲戒請求者F株式会社から建物建築工事代金542万9150円の支払を求める調停を受任し2013年7月13日調停を申立てたが不調停となり引き続き工事代金請求訴訟の依頼を受け提訴したが上記調停及び上記訴訟の受任に当たり委任契約書を作成しなかった。また被懲戒者は上記訴訟において、被告の主張する瑕疵に関し実質的な工事担当者である下請業者に対する調査を実施するなどして必要かつ可能な事実関係の調査を行うように努めなければならなかったにもかかわらず、その知識を有しない元請業者である懲戒請求者からの事情聴取に終始し2014年6月23日の第4回口頭弁論期日までに被告の主張に対する的確な反論ができなかった。さらに、被懲戒者はこれにより上記口頭弁論期日に上記訴訟が休止となり、その後期日指定の申立てをしなかったことから取下げ擬制により上記訴訟が終了したことを懲戒請求者F社に報告せず、上記工事代金債権の短期消滅時効を完成させた、このため被懲戒者は懲戒請求者F社に対し損害賠償金500万円を支払う旨約したが履行しなかった。
 
(4)被懲戒者はGから建物明渡請求訴訟を提起された懲戒請求者有限会社Hから2013年3月30日に依頼されて上記訴訟を受任し、その後Gから立ち退き料として250万円を受領して預り金としたが懲戒請求者H社に対し100万円を支払った後、残金150万円を返還しなかった。
 
(5)被懲戒者は2014年8月28日懲戒請求者I株式会社及び懲戒請求者Jから懲戒請求者I者及び懲戒請求者Jを被告とする譲受債権請求訴訟を受任したがその後懲戒請求者I社及び懲戒請求者Jに連絡をせず、敗訴したことを含めた事件処理の説明及び報告を怠った。また被懲戒者は懲戒請求者I社及び懲戒請求者Jに対し100万円を支払う旨の和解契約を成立させながら履行しなかった。
 
(6)被懲戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規程第5条、第25条、第36条、第44条及び第45条に、上記(2)の行為は同規程第22条、第30条に第1項及び第36条に、上記(3)の行為は同規程第21条、第30条第1項第36条及び第37条第2項に上記(4)の行為は同規程第45条に、上記(5)の行為は同規程第5条及び第36条に違反しいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
 
4処分の効力が生じた日  2017年2月15日 2017年6月1日 日本弁護士連合会
 
弁護士職務基本規程