高知新聞7月1日号
『過払い金バブル続く?』大手法律事務所 高知進出
10年ほど前から全国で急増した過払い金請求訴訟。一時のバブル状態は終わったといわれるなか、東京を拠点に全国展開する大手法律事務所が高知県に進出した。狙いは? 県内の弁護士に戸惑いも広がる
『払い過ぎた借金の利息、取り戻せるかもしれませんよ』
6月中旬、お笑いコンビが出演する【アディーレ法律事務所】のテレビCMが県内でも頻繁に流れ始めた。
過払い金回収を全面に打ち出す派手な広告宣伝で知られ所属弁護士は約190人、6月13日に高知市にオープンした支店が全国80店目という。
堀り起こす
2006年の貸金業法改正で、出資法の上限金利(年29,2%)が利息制限法と同水準の年20%まで引き下げられ、一つの法の間の『グレーゾーン』が撤廃された。これを受け過払い金の返還を求める訴訟が全国で爆発的に増えた。
手続きは『過払い金を計算して請求するだけだから簡単な話』(県内の弁護士)だといい、成功報酬が約束された訴訟でもある。特に都市部では請求手続きを請け負う弁護士や行政書士らが『過払いバブルに沸き立った』
県内でもそれなりに訴訟件数は増えたが法改正から10年余りが経過。
長年、多重債務者らの支援を行ってきたベテラン弁護士は『県内の件数はピーク時の10分の1以下になった』と近年の印象を話す。
高知地裁が受理した過払い金返還訴訟を含む累型の訴訟件数は10年は626件に上がったが、16年は106件まで減少した(折れ線グラフ参照)
この流れでなぜ、アディーレは高知県に支店を出したのか
全国展開している事務所のスケールメリットやノウハウを前に出して広告を打ち、埋もれた過払い金を堀り起こすー
広報担当者は事務所の進出の狙いをそう話し、『過払いバブルのころよりは減っていると思いますが需要がないわけではないと思います』
日本貸金業協会の調査によると、全国の貸金業者が返還した過払い金はピークの08年度には1兆400億円を超えた。その後は減少傾向にあるものの15年度でも3千億円を超える規模で推移している(棒グラフ参照)
県内ではこのところ別の大手弁護士事務所や司法書士事務所も過払い金請求を促す広告を打ちだしている。
『商機は十分にある』
彼らはそうみているようだ。
意味は【身近な】
地方の弁護士は単独か数人で小さな事務所を運営し、地域に根差して活動する業態がほとんどだ。
過払い金を軸に全国で次々と支店を出すアディーレはこの業界では型破りな存在で高知県進出も県内の弁護士に少なからず衝撃を与えている。
通常、司法修習課程を終えた人が弁護士として活動するためには、各都道府県の弁護士会に入会した上で日本弁護士連合会に登録する。高知県弁護士会の会則では入会には同会所属の弁護士2人の推薦が必要だと規定位されている。
高知県に縁のないアディーレの弁護士には推薦者を1人しか確保できなかった。それでも同会の意思決定機関【常議員会】は入会の可否の判断に苦慮した。訴訟のリスクがあったからだ。
他県の弁護士会では推薦者を1人しか確保できなかったアディーレの入会を拒否した事例があった。
このうち長野県では事務所開設が遅れたことで損害が生じたとしてアディーレが弁護士会に賠償を求める訴訟まで発展した。
こうした事例を加味し高知県弁護士会は”特例”として入会を認めたが県内のある弁護士は『弁護士会の会則の完全性が害された』と嫌悪感を隠さない。
別の弁護士は『我々は社会的使命を持ってお金にならないこともやっている。アディーレはビジネスに特化したイメージだが高地に来た弁護士がどんな活動をするのか注視したい』お手並み拝見の姿勢だ。
『アディーレ』はラテン語で『身近な』と言う意味を持つと。アディーレ高知支店の増﨑勇太弁護士(29)は長崎市生まれで東大大学院終了後昨年12月に弁護士になったばかり、『過払い金に限らず。家事、刑事、労働事件など幅広く相談を受けるという』
以上 高知新聞
アディーレ法律事務所 高知
高知県弁護士会 登録者数 90名
この議論でひとつ言わせていただくなら、依頼者はどちらがいいのかひとつ選択肢ができたともいえる。
弁護士の儲けが減る、客を取られるという論理ばかりが目立つ依頼者は個人でも大手でも関係ないはずなのだが
大手のサービスに負けるから来るなではなく、個人事務所には大手にないサービスができます。とも言えない高知県弁護士会
数を減らせば仕事が増えるという法曹人口と同じ理論、消費者のことなど弁護士会は考えていない