弁護士の懲戒処分を公開しています
日弁連広報誌「自由と正義」201711月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・第二東京弁護士会/有村佳人弁護士の懲戒処分の要旨
裁判で遣った証拠を他の裁判に利用した。
同時に二弁の弁護士が処分(戒告)されています。(文中B弁護士)
江口浩史弁護士(二弁)45844
弁護士の懲戒処分の中で戒告が一番多いのですが、弁護士職務基本規程第7条違反で処分されるのが一番恥ずかしいとされています。
刑事訴訟法 第281条の4  ウイキより
被告人若しくは弁護人(第440に規定する弁護人を含む。)又はこれらであった者は、検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等を、次に掲げる手続又はその準備に使用する目的以外の目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供してはならない。    
当該被告事件の審理その他の当該被告事件に係る裁判のための審理
当該被告事件に関する次に掲げる手続
イ 第1編第16の規定による費用の補償の手続
ロ 第3491項の請求があった場合の手続
ハ 第350の請求があった場合の手続
ニ 上訴権回復の請求の手続
ホ 再審の請求の手続
ヘ 非常上告の手続
ト 第5001項の申立ての手続
チ 第502の申立ての手続
リ 刑事補償法の規定による補償の請求の手続
懲 戒 処 分 の 公 告
第二東京弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下の通り通知を受けたので懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1処分を受けた弁護士
氏 名          有村佳人
登録番号        25307
事務所         東京都新宿区四谷2-4 
             有村綜合法律事務所
           
2 処分の内容     戒 告
3 処分の理由
(1)被懲戒者は、Aを加害者とする交通事故につき懲戒請求者らがAに対して提起した損害賠償請求訴訟においてB弁護士と共にAの訴訟代理人となったが検察官開示証拠に関する刑事訴訟法の規程を十分認識せず、上記訴訟の受任後の調査を怠ったまま、上記交通事故につきAを被告人とする刑事事件におけるAの弁護人のC弁護士らに対して刑事訴訟記録の送付を依頼した。
(2)被懲戒者は2012516日頃、C弁護士らから上記記録の送付を受けたところ、上記訴訟において、民事訴訟における文書送付嘱託などの証拠収集手続を講じることなく上記記録中の刑事訴訟法第281条の4第1項で禁止され、かつ上記刑事事件の公判期日で取調べられなかった証拠を含む複数の文書をそのまま書証の申出として提出した。また被懲戒者は上記文書の一部を証拠に用いることについてAから個別の了解を得ること等をしなかった。
(3)被懲戒者は上記訴訟期日において懲戒請求者から上記(2)において書証の申出として提出した文書の一部に関し入手元について質問を受けた際、事実に反して入手元はAと答えた。
(4)被懲戒者の上記(1)の行為は、弁護士職務基本規程第2条並びに弁護士職務基本規程第7条及び同規程第18条及び第36条に上記(3)の行為は同規程第5条に違反し、いずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4 処分が効力を生じた年月日 2017725日 2017111日 日本弁護士連合会
弁護士職務基本規程

(自由と独立)
第二条 弁護士は、職務の自由と独立を重んじる。

 (信義誠実)
第五条 弁護士は、真実を尊重し、信義に従い、誠実かつ公正に職務を行うものとする。
 

(研鑽)
第七条 弁護士は、教養を深め、法令及び法律事務に精通するため、研鑽に努める。

(事件記録の保管等)
第十八条 弁護士は、事件記録を保管又は廃棄するに際しては、秘密及びプライバ シーに関する情報が漏れないように注意しなければならない。

(事件処理の報告及び協議)
第三十六条 弁護士は、必要に応じ、依頼者に対して、事件の経過及び事件の帰趨に影響を及ぼす事項を報告し、依頼者と 協議しながら事件の処理を進めなければならない。