弁護士の懲戒処分を公開しています

「日弁連広報誌・自由と正義」2018年2月号に掲載された弁護士の懲戒処分の要旨・福井弁護士会・土橋伸吾弁護士の懲戒処分の要旨
 
一般業界でこんな甘い処分は出ません。
普通の社会であれば恥かしくて仕事できませんが、弁護士業界はこの程度です。なぜ、甘い戒告しか処分を出さないかというと、この弁護士は法テラスから仕事を受けていますが、業務停止以上になると法テラスへの出入りが1年~3年禁止されます。戒告であれば法テラスの処分はありません。
 
処分の理由は国選報酬を法テラスから虚偽の内容で取得したとなっておりますが、弁護士会はどうせ国の税金で運営しているからと会には関係ないと考えているのでしょう。
心配なのは刑事事件でこのような弁護活動をされて被告人はどのような判決になったのかです。まともな弁護士が弁護したのとで、言い渡された判決に差が出たのではないでしょうか。この程度の処分しか出さないということは、福井県の弁護士のレベルがこの程度であると弁護士会自らが認めたようなものです。
報道がありました。
43歳弁護士を戒告・示談交渉に遅れ・福井
刑事裁判での弁護活動を巡って、被害者との示談交渉に著しい遅れがあったなどとして、福井弁護士会が会員の土橋伸吾弁護士(43)を戒告の懲戒処分にしていたことが分かった。昨年10月25日付。
弁護士会によると、土橋弁護士は刑事裁判を担当した際、被害者との示談交渉や保釈申請に著しい遅れがあったほか、控訴のための文書作成でも遅れや不備があったという。
弁護士会は品位を失うべき非行にあたると判断した。土橋弁護士が事件を担当した時期などは明らかにしていない。懲戒には除名と退会命令、業務停止、戒告の計4種類があり、戒告は最も軽い。
以上 
毎日新聞 福井
懲 戒 処 分 の 公 告
福井弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 処分を受けた弁護士
氏 名          土橋 伸吾(つちはし しんご)     
登録番号         37549
事務所          福井市宝永3-4-6 
             つちはし法律事務所          
         

 

2 処分の内容      戒 告
3 処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は、懲戒請求者の夫Aが逮捕勾留され起訴された窃盗等の事件についてAの私選弁護人となり、2014年3月14日に委任契約書や報酬見積書を作成することなく、起訴後の弁護費用として21万円を受領し、その後、Aが強盗致傷等の罪で追起訴された事件についてもAの私選弁護人となったが追起訴された事件が先に起訴された事件と共に裁判員裁判で審理されることになったことから、これらの事件の私選弁護人を辞任し、同年5月8日にAの国選弁護人に選任されたところ、Aから受領した上記弁護費用を委任契約書や報酬見積書を作成することなく、またその清算をすることなく、余罪の起訴前弁護費用に振り替え、他方、法テラスから国選弁護人選任後の起訴事件の被告人弁護に関する国選弁護報酬を受領した。
(2)被懲戒者は、上記(1)の事件の控訴審でも国選弁護人に選任されたところ、第一審判決後の2015年2月頃に被害者から弁償いかんによっては嘆願書を書くと言われ、かつAからも支払契約書を作成してもらってくることを依頼され、同年3月中にはこれを行う旨約束していたところ、懲戒請求者及びAが再三催促したにもかかわらず、同年6月末頃まで被害者に支払契約書を提示せず、示談の話もしなかった。また、被懲戒者は控訴趣意書を裁判所に提出する際には事前にAに閲覧、確認させ、Aの考えを適切に反映したものにする旨同意していたにもかかわらず、Aに事前に閲覧させることなく、Aが第一審において主張していた共犯関係の解消についての主張を行わない内容の控訴趣意書を裁判所に提出しAから追加の主張を求められたことにより、同年6月29日に共犯関係の解消についての主張を追加した控訴趣意書補充書を裁判所に提出したものの、翌30日の第1回公判期日における裁判所からの求釈明に対し、追加した主張について「実行犯との共謀が解消されたことを前提にする事実確認の主張をするものではない」と答え、さらに被懲戒者は、書証や被告人質問について、事前に証拠取調請求をせず、検察官に対する事前開示することもなく、第1回公判期日に証拠取調請求を行い、そのためほとんどの申請証拠の採用が見送られた。加えて被懲戒者は上記事件の控訴審においては判決言渡日の前日である同年8月5日まで保釈申請をしなかった。
(3)被懲戒者の上記(1)行為は弁護士職務基本規定第30条に(2)の行為は同規程第46条及び第47条に違反ししずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4処分が効力を生じた年月日 2017年10月25日2018月2月1日   日本弁護士連合会