弁護士の懲戒処分を公開しています。
316日大阪弁護士会が2件の懲戒処分の告示をおこないました。この後、官報公告、日弁連広報誌「自由と正義」に処分内容が掲載されます、大阪弁護士会発行の「大阪弁護士会会報」にも処分内容が公告として掲載されます。
自由と正義よりかなり詳しい詳細が記載されています。
井門忠士弁護士の懲戒処分の理由

「代理人の同道なしで、一人でうちの事務所に来て下さい!!」

 
 

大阪弁護士会 懲戒処分の告示

 
            告  示
本会懲戒委員会の議決に基づき、下記会員を懲戒しましたので、本会懲戒手続規程第58条により告示いたします。
            記
  1、懲戒を受けた会員

    大阪市北区天満3-3-7  井門忠士法律事務所

  対象会員 井門 忠士  登録番号14119
    2、戒処分の内容

         対象会員を3か月の業務停止とする。

  3 懲戒の処分の理由の要旨

         (別紙)

  4、処分の効力が生じた年月日   平成30115

    2018年(平成30年)115

       大阪弁護士会  会長 小原正敏

 

 
懲戒処分の理由の要旨
1     認定した事実
  
1、
懲戒請求者はA法律事務所に事務職員として勤務していたところ2011323日、Bの自宅において同人の遺言公正証書が作成された際に、証人として立ち会った。
  2、
対象会員はBの死亡(2013813日)後、同人の長男Cの代理人として、遺言公正証書作成の状況等について照会する内容の201433日付「訴えの提起前における御照会」と題する書面を懲戒請求者に送付し、懲戒請求者は、この書面に対して201437日付回答書で回答した。
3、 懲戒請求者から上記回答書を受けた対象会員は2014310日付「再度の御照会」および201527日付「御通知」を送付した。これらの書面には、あたかも懲戒請求者が業務上横領の共謀共同正犯、或いは虚偽公文書作成罪の共謀共同正犯であるかのような表現があり客観的な根拠がないにも拘わらず、懲戒請求者が不誠実で不正直な人間であるかのように断定するとともに、本当のことを言いたければ訴状提出を1週間延ばすので対象会員の事務所に来ること、その際には懲戒請求者の代理人は虚偽の事実主張を懲戒請求者に強要しようとしているため、代理人を同道せず1人で来るよう求める内容が記載されていた。
この間、懲戒請求者はD弁護士及びE弁護士に依頼し同弁護士らは懲戒請求者の代理人として対象会員からの連絡に対する窓口になったことと、懲戒請求者は対象会員からの照会に回答すべき法的義務はないこと必要かつ可能な範囲で誠実に回答していること、これ以上対象会員からの照会に回答することはできないこと等を記載した2014318日付「ご通知」と題する書面を対象会員に送付した。しかしその後対象会員は、上記のとおり201527日付「御通知」を代理人を介することなく懲戒請求者に送付した。
 2     判 断
1、 対象会員は上記第13記載の各書面の送付によって法的に回答義務のない懲戒請求者に対して客観的根拠がないにもかかわらず執拗に公正証書の内容が著しく事実に反するとのCの主張に適合する回答を求め続けたものでありその方法もあたかも懲戒請求者が刑事犯を犯しているかのような文章を繰り返し記載したものであって、これらの記載は、懲戒請求者に恐怖感や同人の代理人に対する不安感を抱かしめるといえるものであり、弁護士法第56条第1項に定める品位を失うべき非行に該当する。
 2、
また、対象会員は、懲戒請求者が代理人に依頼していたのに、代理人を同道せず1人で来るように求める旨の通知を送付して懲戒請求者を恐怖感などの精神的苦痛という不利益を与えたものと認められ、その行為は弁護士職務基本規程第52条に該当する品位を失うべき非行に該当する。
    
  3 結論    よって、主文のとおり議決する。                                    以 上
 
 
弁護士職務基本規程

(相手方本人との直接交渉)
第五十二条 弁護士は、相手方に法令上の資格を有する代理人が選任されたときは、正当な理由なく、その代理人の承諾を得ないで直接 相手方と交渉してはならない。