弁護士の懲戒処分を公開しています。
日弁連広報誌「自由と正義」2018年5月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告、神田雅道弁護士(埼玉)懲戒処分の変更の公告、懲戒処分の要旨
戒告⇒業務停止1月
この懲戒処分は、所属の埼玉弁護士会より20171月に戒告処分が下されましたが、懲戒請求者が処分は不当に軽いと日弁連に異議を申し出て認められ、戒告から業務停止1月に変更されたもの、年間100件ほどの懲戒処分がありますが、処分が軽いと異議申立が出て認められるのは年間1件か2件です。

 

「処分理由」 事件放置
事件放置の研究

 当初の懲戒処分の要旨

 

懲 戒 処 分 の 公 告
埼玉弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規程により公告する。
              記
1処分を受けた弁護士 氏名  新槇 雅道
職務上の氏名  神田雅道
登録番号 23415
事務所 埼玉県さいたま市大宮区桜木町1 
さくら総合法律事務所
2【処分の内容】 戒 告(平成30416日 業務停止1月に変更)
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は、20133月、懲戒請求者から懲戒請求者が勤務先会社に対し労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求める事件を受任し、着手金を受領した。被懲戒者はその後、懲戒請求者から何度か経過報告を求められたにもかかわらず、上記受任時から201412月に解任されるまでの18か月余りの間、懲戒請求者に対し、上記事件の経過及び上記事件の帰趨に影響を及ぼす事項を報告せず、かつ上記事件の処理について懲戒請求者と速やかに協議せず、上記事件を適切に処理しなかった。被懲戒者は上記解任による委任の終了に当たり、懲戒請求者から経過報告を
求められたにもかかわらず懲戒請求者に対し上記事件の処理状況等の十分な説明をしなかった。
(6)被懲戒者の上記行為は弁護士職務基本規程第5条、第36、及び第44条に違反しいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。4処分の効力が生じた日  2017130
201761日 日本弁護士連合会
 
弁護士職務基本規程

 

処分変更公告 

懲 戒 処 分 の 公 告
埼玉県弁護士会が2017年1月26日付けでなし2017130日に効力を生じた被懲戒者に対する戒告の懲戒処分について懲戒請求者から異議の申出があった。本会は上記懲戒処分を変更して、以下のとおり懲戒の処分をしたので懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第3号の規程により公告する。
             記
1 処分を受けた弁護士  新槇雅道
職務上の氏名   神田雅道
登録番号 23415
事務所 埼玉県さいたま市大宮区桜木町18
さくら総合法律事務所
2 処分の内容    業 務 停 止 1 
3 処分の理由の要旨
(1) 本件懲戒請求につき埼玉県弁護士会(以下「原弁護士会」という)の設定した事実及び判断は、原弁護士会の議決書(以下「原議決書」という)のとおりであり、原弁護士会は前記認定と判断に基づき被懲戒者を戒告の処分に付した。
(2) 日本弁護士連合会懲戒委員会が審査した結果、原弁護士会が原議決書の「当懲戒委員会が認定した事実」及び「委任契約の成立と終了」において認定した事実に誤りはなく、被懲戒者は20133月懲戒請求者から元勤務先会社に対する地位保全確認事件を受任しながら、その後委任事務の処理について懲戒請求者から何度も経過報告を求められているにも応答せず、また201412月に解任された後、懲戒請求者から説明を求められても、文書で簡単な回答をするのみで十分な説明を行わなかったものと認められる。
この点につき、被懲戒者は労働審判の申立を郵送で行ったが、裁判所からの連絡を受けて事実上取り上げたと弁明する。しかし郵送で申立を行ったことを裏付ける確たる証拠は提出されておらず、裁判所にも何の記録も残らないようなやり方で事実上の取下げが行われたと認めたと足りる客観的な証拠はない。
また日本弁護士連合会懲戒委員会において、被懲戒者は入所したばかりの勤務弁護士に労働審判の申立を指示し、その後労働審判がどうなっているか確認しなかったが、解任後、経過報告を求められ、勤務弁護士に確認したところ、上記のとおり報告を受けたので、その旨を懲戒請求者に回答したなどと述べるが、その陳述は曖昧であり、入所したばかりの勤務弁護士が被懲戒者に何の相談もなく勝手に事実上の取下げを行うとは考えらえず、さらに解任されるまでの間、懲戒請求者から経過報告を催促されているのに、勤務弁護士に状況を確認したというのも不自然であって被懲戒者の弁明は信用し難い、したがって、被懲戒者が本件について労働審判の申立を行ったとの事実は認められず、懲戒請求者に事実と異なる報告をしていたことが認められる。
(3) 被懲戒者は受任事件の処理を怠り、依頼者から再三にわたり経過報告を催促されながら、これに応答せず、解任された後も事件処理の状況等について十分な説明をしないどころか、事実と異なる報告をしていたというものであって、弁護士職務基本規程第35条、第36条及び第44条に違反し、その態様も軽微とはいえず、着手金等の清算もしていないというのであるから、原弁護士会の戒告処分は軽きに失すると、いわざるを得ない。したがって原弁護士会の処分を変更し、被懲戒者の業務を1月間停止することが相当である。
4 処分が効力を生じた年月日     2018416
201851日  日本弁護士連合会