弁護士の懲戒処分を公開しています
「日弁連広報誌・自由と正義」201811月号に掲載された弁護士の懲戒処分の要旨・東京弁護士会・洞 敬弁護士の懲戒処分の要旨

懲 戒 返 し

 

企業法務や経済事案を専門とする弁護士が珍しく離婚事件を受任し相手方弁護士が調停委員に対し非礼な発言があったと相手弁護士に懲戒請求を申し立てた。

企業法務の現場とは違うので驚かれたのでしょうか

懲戒請求は棄却となり、請求を出された相手方弁護士が逆に不当懲戒だと懲戒請求を申立て、こっちが認められたという内容。過去に例の無い特異なケース

東弁は、双方から懲戒が出て、双方、撃ち方止めとはしなかった。

 
弁護士が依頼者から事件を受任し裁判中や調停中に相手方弁護士に対し懲戒請求を申し立てることは、滅多にありません。懲戒を出して、裁判期日が延期になったり、仮に処分になり業務停止になれば相手方弁護士は辞任する場合もありますから裁判にも影響します。和解などにも影響が出るでしょう。
弁護士は委任された裁判を終結させるのが一番の目的ですから懲戒請求を裁判中に相手弁護士に対し自らが懲戒請求者になる事は滅多にありません。今回は相手方であっても、次に一緒に仕事をするかもしれませんし、懲戒請求など報酬にはならないことで時間を使うことは好まないのでしょう。

 
弁護士が懲戒請求者となるケース
自分の名誉が傷つけられた時、法廷や準備書面で相手弁護士から罵倒された時、または自分の依頼者に対し誹謗中傷や差別的な発言や主張があった時、または、目に余る事件放置、相続事件の双方代理があった場合です。
 
「弁護士の暴言、心ない発言による懲戒処分例(懲戒請求者は弁護士が多い)」https://jlfmt.com/category/lack-ethical-sense/thoughtless-word/
 
 
依頼者が相手弁護士の行為や発言に腹を立てて懲戒請求を申し立てたいと言われても、弁護士はこの裁判終わってからにしてといわれるでしょう。
また、依頼者の名前で懲戒請求をし弁護士が内緒で請求書を書くというケースは多くあるようです。
愛知弁護士会の例 

 
相手弁護士に非行があり弁護士を被告とした裁判を提起して、同時に懲戒請求を申し立てた場合、弁護士会は裁判の結果を待って判断する場合が多くありますので懲戒処分が出た、非行が決定されたから裁判で請求が認められるということは、全く期待できません。

逆のパターン、弁護士に懲戒請求を出して同時に裁判を提起して、弁護士会が懲戒を棄却した場合、訴えらえた弁護士は、弁護士会が非行と認めませんでした、原告の請求を棄却して下さい!と被告弁護士が裁判で利用する、ケースは過去いくつもありました。


 
今回の場合は被懲戒者が、どうしても許せなかった事があったのではないかと思いますが処分の要旨では根も葉もない懲戒請求だと一蹴されています。


 懲戒請求は「何人」も申立てすることができるが。
 
(懲戒の請求、調査及び審査)
弁護士法第五八条 何人も、弁護士又は弁護士法人について懲戒の事由があると思料するときは、その事由の説明を添えて、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会にこれを懲戒することを求めることができる。
 
弁護士法では懲戒請求は「何人も」となっており、誰でもできます。
「何人も」の規定はありません。成人でないとダメ、大学を卒業していないとダメなどという決まりはありません。懲戒請求書が書ければ誰でも良いとなっています。自分の住所、氏名、懲戒対象弁護士の氏名、登録番号、事務所名、事務所住所そして懲戒を申立てする理由が書いてあればいいのです。
(身体が不自由で字が書けない人はどうなるのかという議論はあります)
 
【通常人】でなければ申立てすることができないという決まりはありません。
 
過去にNHKの報道番組に出た当時の宇都宮日弁連会長は「弁護士に非行があれば懲戒請求をどんどん出してください」という趣旨の発言をされました。
これは弁護士に非行の疑いがあれば「何人も」であっても構わない。弁護士会に懲戒を出して下さいということです。宇都宮元会長は、懲戒を申し立てて下さいと発言されましたが、処分するとは申しませんでした。当然ですが弁護士会長が懲戒請求に対し、口を挟むことはできません。


【弁護士自治】

弁護士には独自の自治が認められています。
弁護士会、弁護士は国を始め、どこからも干渉、管理されない。人事・予算・懲戒等を弁護士が独自で判断できる。特別な自治を任されています。


懲戒請求に関しても、自分たち弁護士が判断し処分をする。また処分しないことが認められています。自治を認めるが、そのかわり、懲戒については「何人も」という何らの条件を付けないということになっていると思うのです。刑務所の中から自分の国選弁護人に対し、弁護方法について懲戒請求を申し立てた受刑者もいます。
 
懲戒請求を申立て弁護士会が懲戒しないと決定した時、(日弁連に異議申立、綱紀審査会に審査請求が棄却された)そこで終了です。 普通は何もありません。懲戒が棄却されれば、懲戒を出したことが不当である。名誉毀損だ、業務妨害だと素人相手に裁判する弁護士はほぼいません。
個人に対する誹謗中傷が書かれてあっても、その程度の事でいちいち損害賠償を提起するほど暇ではないのです。

弁護士の皆さんは弁護士自治、弁護士懲戒制度を享受するのであれば、ある程度、我慢をしておられるということでしょう。ある程度は我慢しなければならない、そのかわり、滅多に懲戒処分になかなかならない、処分になっても一般社会とはかけ離れた考えられない程の甘い処分にしてくれるのです。

 
懲戒を出され懲戒請求者を訴えて敗訴、業務停止になったケース

https://jlfmt.com/2018/07/07/31858/

 

「何人も」の中には、弁護士、司法書士、行政書士も入ります。

士業と称される方が懲戒請求者となり懲戒を申立てて棄却になった場合
今回のケースのように逆に懲戒を申し立てられたり、名誉毀損で訴えられたりすることがあります。法律の専門家である士業が根も葉もない、懲戒を申立てに全く理由が無い懲戒請求を行った場合は、ぺナルティがある場合も、ということです。
「通常人」「通常人の経験則」あれば、この懲戒請求が処分になるものかどうか、判断できたでしょうということです。法曹界のいう「通常人」とは、懲戒請求の経験がある、または懲戒や法律について一定の知識がある人のことをいうのだと理解をしています。

 

懲 戒 処 分 の 公 告
東京弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 処分を受けた弁護士  氏 名  洞 敬 登録番号 31675
  事務所 東京都中央区日本橋3-29  新保・洞・赤司法律事務所
2 処分の内容      戒 告
 3 処分の理由の要旨
被懲戒者は2014319日、A弁護士と共にBの代理人としてBの妻Cに対する離婚訴訟を提起したところ、同年414日、上記訴訟前の離婚調停においてCの代理人であった懲戒請求者D弁護士に対し、上記離婚調停の期日においてC側から調停委員に対してなされた発言等を非行事実として懲戒請求を裏付ける証拠の収集を十分に行うことなく、また懲戒請求を手段として選択しなければならない程の問題では到底なく、さらに懲戒請求をすることによって、懲戒請求者D弁護士の代理人活動に業務上重大な影響を与えることを容易に予測し得たにもかかわらず、A弁護士と共にBの代理人としてあえて懲戒請求をした。
被懲戒者の上記行為は弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4 処分の効力を生じた年月日 2018717
201811月1日   日本弁護士連合会