岩倉正和弁護士を懲戒 企業法務の専門家
第一東京弁護士会は25日、自身の離婚訴訟で妻の代理人になった弁護士について、正当な理由がないのに懲戒を請求したとして、岩倉正和弁護士(56)を業務停止2カ月の懲戒処分にした。岩倉氏は企業法務の専門家で、一橋大大学院の客員教授も務めている。
弁護士会によると、岩倉氏は平成26年4月、妻の弁護士が離婚調停で虚偽の発言をしたとして懲戒請求。発言は「岩倉氏が妻を一方的に攻撃した」などとする内容で、弁護士会は事実だと認定し、岩倉氏が懲戒請求権を乱用したと判断した。 妻の弁護士は26年10月に「懲戒不相当」となった。
弁護士自治を考える会
正当な事由がないにもかかわらず、自身の離婚事件で妻の代理人弁護士に
懲戒請求を申し立てた。弁護士は「通常人」です。
懲戒に事由があるか、無いかは知り得ているということですが、過去にここまで厳しい処分はなかったと思います。懲戒請求者は相手の弁護士でしょう。
いわゆる「大量懲戒」で、懲戒のことなど詳しくもなく懲戒請求を出してしまった人たちがいます。しかしこれは、弁護士法第58条の「何人も」「誰であっても」弁護士に非行の疑いがあれば懲戒を申し立てることができます、懲戒のことなど詳しくなくても、誰でも可能ということです。
懲戒請求者は「通常人」である必要はありません。弁護士会は、出された懲戒に事由がなければ、処分は相当でないと議決し棄却すればよいことです。
「通常人」とは、弁護士、司法書士、行政書士等が懲戒のことを十分に知り得た士業のことをいいます。あるいは経験則を持った、持っていると客観的に判断できる者です、
判例でも懲戒事由が無い懲戒請求を出して損害賠償請求訴訟を提起され賠償を負った懲戒請求者はほとんどが「士業」です。
懲戒を出された弁護士が「何人も」を言わずに、これくらいは「通常人」であれば、懲戒請求に理由が無いことは分かっただろうという、弁護士もおります。
こういうことをいう弁護士は懲戒に詳しくない弁護士です。
過去の弁護士たちは弁護士自治、弁護士、弁護士会に自治を委ねられることを得るため、法58条の「何人」もにしたのです。つまり広く市民から弁護士がまたは弁護士会が監視されている。法務省、検察、国の権力から独立するために、市民の監視を求めることにした。国民から監視されているのが弁護士である。その証しが弁護士法第58条です。ですから「何人も」に基準は設けませんでした。
弁護士に対する懲戒権は弁護士会・日弁連しかありません。
しかし「何人」であっても、あまりにもしつこく、経験がありながら何度も故意に懲戒を申し立てた場合は賠償請求になった例もあります。
岩倉正和弁護士 20173 第一東京弁護士会
TMI総合法律事務所
東京都港区六本木6-10六本木ヒルズ森タワー23階
岩倉正和弁護士は3回目の処分となりました。
1回目も自身の内容でした。こちらもなかなか興味深い内容でした。
公 告
第一東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会より以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。
記
1 懲戒を受けた弁護士
氏 名 岩 倉 正 和
登録番号 20173
事務所 東京都港区赤坂1-12-32
西村ときわ法律事務所
2 懲戒の種別 戒 告
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は、2002年2月5日、懲戒請求者から宅地を購入し、同年4月ころ、隣接地の所有者との共有である私道につき、他の私道共有者の承諾なく、ガス管の敷地内配管引込み工事を業者に依頼し、本件私道を堀削させた。
ところが、同年9月以降、他の共有者がガス管埋設工事等を行おうとするにあたり、本件私道を堀削する必要がるため、懲戒請求者が私道共有者の一人である被懲戒者にもその承諾を求めたところ、被懲戒者はこれを拒否した。
その後、2003年2月7日、懲戒請求者が工事業者に命じて本件私道の堀削を始めたところ、被懲戒者は、電話で110番通報をし、その結果、警察署員が本件私道に駆けつけたので本件工事は中止された。さらに、被懲戒者は同月20日、懲戒請求者らを債務者とする工事禁止の仮処分を裁判所に申し立てた。
また、被懲戒者は、同年3月4日懲戒請求者が交渉の場に暴力団員風の男を同席させて脅迫的言動を行った。懲戒請求者は虚言に満ちた一方的な説明をする業者であるなどといった、懲戒請求者を誹謗中傷する内容のビラを私道共有者宛てに作成し配布した。
以上の被懲戒者の行為は、身勝手な行為であって、しかもビラを配布した行為は懲戒請求者の名誉を棄損する行為であるから、弁護士法第56条第1項が規定する弁護士の品位を失うべき非行に該当する、
4 処分の効力の生じた日 2005年1月24日
2005年4月1日 日本弁護士連合会
2回目 日弁連で異議が認められた。
懲 戒 処 分 の 公 告
第一東京弁護士会が2013年12月24日付でなし2013年12月25日に効力を生じた被懲戒者に対する懲戒処分について、懲戒請求者から異議の申出があった。日本弁護士連合会は上記懲戒処分を変更して以下のとおり懲戒の処分をしたので懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第6号の規定により公告する
記
1処分を受けた弁護士氏名 岩 倉 正 和 登録番号 20173
事務所 東京都港区赤坂1 西村あさひ法律事務所
2処分の内容 戒 告
3処分の理由の要旨
本件は被懲戒者A弁護士、B弁護士及びC弁護士(以下「被懲戒者ら」という)が訴訟代理人として関与した事件の一審判決について批判する論評を法律雑誌であるD誌、E誌、F誌及びG誌に匿名又は編集部名義で掲載させた行為(懲戒事由1)並びに上記事件の控訴状にD誌の記事を引用して「既に公刊物(D誌○号○頁以下)においても指摘されているが原判決は様々な矛盾点、疑問点を内包している」と記載した行為(懲戒請求2.以下本件引用という)が問題とされた事案である。
懲戒請求事由(1)につき第一東京弁護士会(以下「原弁護士会」という)は被懲戒者らが自らに執筆させるよう要求したとは認められず、出版社側における執筆者名義の選択を困難にする不当な要求をしたとは認められない。公正中立な編集部などを装い批評記事を掲載したもので、妥当性が疑われるが組織的、計画的とはいえず執筆内容も訴訟を有利に導くとはいえない、等の理由から弁護士の品位を失うべき非行に当たらないと判断した。
しかし、被懲戒者らが出版社へ送信したメールの内容や非顕名での執筆を前提に編集部とやりとりした事実からみれば判決文の提供だけでなく被顕名での論評の執筆、掲載をも目的として多数の法律雑誌に積極的に働きかけをしたと認めざるを得ない。執筆内容も被懲戒者の依頼者側に不利益な部分の問題点を指摘するものとなっていることは否定できず、そのような記事が複数の法律雑誌に匿名又は編集部名義で掲載されることが訴訟を有利に導くものではないとはいえず、行為の組織性、計画性も否定できない。懲戒請求事由1の行為は訴訟の一方当事者の関係者や
編集部を装い、批評記事を掲載したもので、読者の信頼を裏切るものであり弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
原弁護士会は懲戒請求2につきフェアーな姿勢が期待される弁護士としての品位に悖るが、組織性や計画性はなく、裁判官の判断に影響することは考え難いとして弁護士の品位を失うべき非行に当たるとはいえないと判断した。
しかし、控訴状は裁判所に提出する重要な書面であり慎重な検討に基づいて作成されたはずであるから、組織性や計画性を殊更に問題にするのは相当ではない。本件引用は裁判官に参照を求める趣旨であり、自ら執筆した記事を第三者によるは判決批判であるかのように引用しているから裁判官を誤解させる行為であり直ちに判決に影響する可能性は少ないとしてもフェアーな姿勢が期待される弁護士として品位を失うべき非行に該当する。
以上のことから被懲戒者を懲戒しないとした原弁護士会の決定を取消、被懲戒者を戒告とするのが相当である。なお本件には委員2名による懲戒しないことを相当とする反対意見がある。
4 処分が効力を生じた日 2014年11月14日
2015年1月1日 日本弁護士連合会
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