弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています
「日弁連広報誌自由と正義」2019年8月号に公告として掲載された弁護士の懲戒処分・茨城県弁護士会 瀧野正裕弁護士の懲戒処分の要旨

被懲戒者の登録番号は55423です。2018年の終わりか2019年に弁護士登録した、まだ新人ですが大きな法律事務所の支店長に就任しています。

処分理由・事件相手に対する誹謗中傷・暴言

弁護士の暴言、誹謗中傷の発言はいろいろなパターンがあります。
一番、多いのが相手方代理人弁護士への誹謗中傷を準備書面に書いた。法廷で誹謗中傷の発言をした。弁護士のプライドが傷つけられたというもので弁護士が懲戒請求者になりますから確実に処分になります。たとえば、相手方代理人に「お金のためなら事件を煽り何でもする」京都 戒告

次に相手方当時者への誹謗中傷、女性差別、出自の差別、在日の方へのヘイトです。これも書面に残っていたり証人がいる場合があります。

「覚醒剤を使用している」「他人の配偶者と不倫関係にある」二弁 戒告

「被告は同和地区に住んでいるのではないか」岡山 戒告

「金を返さないで逃げる奴ら」4回発言、「大陸の人間はしたたかだから」「どうせこんな連中は儒教だから我々とは違うんだから」東京 戒告

少ないですが弁護士が裁判官への誹謗中傷も書面や法廷での発言が残っています。

裁判官に対し「まぬけ」「トンチンカン」「馬鹿な裁判官だったら騙せると思ったのであろうか」金沢 戒告

とにかく処分を取るために一番大事なのは暴言・誹謗中傷・ヘイト発言の証拠です。

今回の処分は被懲戒者と電話の通話中に暴言を吐かれたというもの、電話は後でしまった録音しておけば良かったと思います。文書で弁護士の電話の発言を書きだしても懲戒の審議では、当時者間で「言った、言わない」で争いになり証拠だしてみろと言われます。
過去に福井の弁護士が医療過誤事件の示談交渉で依頼者が「もう少しなんとかならん」と言った時「お前はヤクザか!」と依頼者を罵ったことがあり、懲戒が出されましたが、弁護士はそんなこと言ってないと逃げました。結局、証拠がなく棄却でした。「お前はヤクザか」という言葉が弁護士の品位を落とす言葉かどうかの審議までいきません。そして重要なことは、互いに罵りあってはいけません。
過去に棄却された例でも、懲戒請求者が電話で「おまえは無能だ!」弁護士が「なんだこのやろう!」と懲戒が出されたこともありますが、売り言葉に買い言葉はどっちもどっちで処分しません。

今回の電話での発言、しっかり録音を採ってあったようです。そして自分は冷静に対応し弁護士に誹謗中傷の発言を引き出した。

お見事でした。今年のベスト10に入る処分です。

懲 戒 処 分 の 要 旨

茨城県弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下の通り通知を受けたので懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 処分を受けた弁護士氏 名  瀧野正裕  登録番号 55423
事務所 茨城県水戸市大町1-2-6
虎ノ門法律経済事務所水戸支店     
2 処分の内容     戒 告
3 処分の理由
被懲戒者は、Aから依頼を受け懲戒請求者がAの自宅前に置いた自動車の撤去に関する示談交渉として2018年4月3日午後8時13分頃懲戒請求者に電話をかけた際
懲戒請求者は冷静に会話をしており被懲戒者に敬意を払って丁寧な言葉を用いているにもかかわらず、懲戒請求者に対して「ふざけんなコラー」、「わきまえろ」等怒鳴りつけ、懲戒請求者の言動について根拠を得ていないにもかかわらず、「詐欺」「嘘」等と断言し、その必要もなく「しみったれたことを言ってんじゃないよまったく」、「ガキじゃねーんだから警察に伺いをたてろていうの」等と懲戒請求者を軽悔、威嚇する発言をし、さらに電話を打ち切るために懲戒請求者が顧問弁護士から電話をさせる等と持ちかける等して顧問弁護士に言及する度に、顧問弁護士の名前を教えるように迫るという会話を必要もなく繰り返し、その結果不必要に長時間の通話を行った。

被懲戒者の上記行為は弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行にが該当する
4 処分の効力を生じた年月日   2019年4月25日
2019年8月1日   日本弁護士連合会

 

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